薬の保管方法次第で雑菌が繁殖することも!
Q1:市販薬の瓶に入ったビニールはそのまま入れておいたほうがいい?
A:輸送時の緩衝材なので捨ててください。
「市販薬の瓶に入っているビニール。これは輸送中に錠剤が破損するのを防ぐために入っています。必ずしも薬が瓶にパンパンに入っているわけではなく、瓶との間に隙間ができてしまいます。その空間を埋めるための緩衝材なので、開封したら捨ててください」(鈴木素邦さん)
でも、あったほうが空気が遮断されて、酸化を防げるような気がするのですが…。
「逆です。一度開けてしまうと、外の湿度がビニールに残ったり、出し入れするときに雑菌が入ることがあり、ビニールが酸化を助長してしまう可能性があります。衛生面を考えてもビニールは捨てたほうがいいです。一方、乾燥剤は入れたままにしてください」
Q2:薬の保管は常温で問題ありませんか?
A:特殊なもの以外は室温保存でOKです。
薬は室温で保管していますが、それで問題ない? 冷蔵庫に入れたほうがいいのでしょうか?
【薬保管の温度目安】
冷所:1~15℃
常温: 15~25℃
室温: 1~30℃
微温: 30~40℃
「中には冷蔵庫で保存する指示があったり、逆に冷蔵庫で保存してはいけない薬もあります。そうした指示がない場合は大部分は室温でかまいません。ただし、直射日光に当たらない場所でお願いします。
冷蔵庫での保存が指示される薬は、例えば、体温で溶けるように設計されていて熱に弱い坐薬。ほかに目薬の一部などです。
目薬の基本は室温保存1~30 ℃なので、夏の暑い時季などは冷蔵庫に保存してもいいでしょう。そのとき注意が必要なのは凍結させないことです。一度凍ってしまうと、成分が変性してしまうので、使わないでください。
また、インスリン製剤などでは、使用開始前は冷蔵庫 (2~8℃) で遮光して保管し、使用を開始したあとは室温 (30℃以下) で保管します。インスリン製剤でも注意が必要なのが凍結です。薬液が変性したり注射器が故障する原因になるので、一度でも凍結したものは使用しないでください」
このように、適切な保管環境は薬によって違うので、よく注意書きを読んだり、薬剤師に確認をしましょう!
Q3:処方箋の薬は家族となら共有してもいい?
A:予期せぬ副作用があることも。共有はNGです。
風邪や皮膚のかゆみなど、家庭内で同じようなが症状があった場合、ほかの家族に処方された薬をもらって飲んだり、使用してしまうこと、意外とやっていませんか?
「薬の譲渡はNGです。処方薬は医師が一人一人の症状を診察して、最適な薬と量を処方します。同じような症状であっても、原因が違う場合があります。また、同じ子ども同士であっても年齢の違い、子どもと大人、男女差や体格の違いなどで飲む量も変わってきます。
他人の薬を飲むことで、かえって具合が悪くなる場合もあります。症状の重篤化につながるリスクを避けるため、薬の譲渡は行ってはいけません。
また、薬による健康被害(予期しない副作用など)を受けた場合、通常は公的なセーフティネットが設けられています。しかし、仮に薬に不備があっても、譲渡された薬だと薬の健康被害の対象外になります」
Q4:処方箋の有効期限はありますか?
A:医師から処方されて4日以内と決められています。
病院で処方箋を出してもらったものの、すぐに薬局に行けず、そのまま日にちが経ってしまった経験はありませんか?
「処方薬は処方箋が出されてから、発行日を含めて4日以内に購入するように決められています。これには休日や祝日も含まれます。ただし、長期の旅行など特殊な事情がある場合は、医師に相談のうえ、処方箋の期限を引き延ばしてもらうことも可能です。
期限を過ぎたらその処方箋は無効となり、調剤薬局で薬を出してもらうことはできません。その場合はもう一度、病院に行って再発行してもらう必要があります。その再発行分の処方箋発行代は保険が適用されず、自費になります。
期限が設けられている理由は定かではありませんが、医師の診断から時間が経つと、症状が変わっている可能性があります。そうすると、その薬を服用しても適切な効果が得られないことがあるためと考えられています」
Q5:薬はどのように捨てるのが正解?
A:出してくれた調剤薬局で処分してもらうこともできます。
処方された薬を飲み忘れたり、症状が治ったので飲み切らずに余らせてしまったことはありませんか? なんとなく捨てにくいと思う人も少なくないでしょう。
「こうした薬のことを『残薬』といいます。これらを処分する場合は、錠剤は封筒に入れ、軟膏などは紙に包み、目薬などの液剤は新聞紙や布に吸収させて、それぞれ可燃ごみへ(各自治体の分別方法に従ってください)。
ただし注射針など血液がつくようなものは、医療廃棄物となるのでそのまま捨てることはできません。病院に返却してください。
また、処分方法がわからない、処分に困るような場合は、処方された調剤薬局に持ち込んで処分してもらうこともできます。まずは相談を!」
【教えていただいた方】
イラスト/いいあい 取材・文/山村浩子