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耳鳴りに効果抜群の「ハチの羽音呼吸法」(耳を守る呼吸法)

耳鳴りや難聴は脳が疲労していると症状が悪化します。そんなときには、脳をリラックスさせることが大切です。今回は、特に耳鳴りに効果抜群な方法を、耳鼻咽喉科医で医学博士の石井正則先生に伺いました。

腹式呼吸が耳鳴り軽減の基本

耳鳴りの悪化には、寝不足やストレスが影響していて、特に脳の疲労が深く関係しています。日頃から疲れをためないことが大切ですが、ほかに心がけておくことはあるのでしょうか?

 

「呼吸法がとても大切です。特に耳鳴りに悩まされている人は、横隔膜を使わない浅い呼吸で、肩を上下する肩式呼吸をしている人が多い傾向です。耳鳴りを軽減するためには、まずは腹式呼吸を意識するといいでしょう」(石井正則先生)

 

【基本の腹式呼吸のやり方】

1 背すじを伸ばして椅子に座ります。

上体が前に倒れない姿勢が大切です。

 

2 口をしっかり閉じて、ゆっくり鼻から息を吸って、鼻から息を吐きます。

息を吸うときはお腹に空気を入れるイメージで膨らませ(※)、吐くときはお腹をへこませながら、空気を吐き切るイメージで吐きます。

※実際に空気が入るのは肺です。

 

3 吐く息を長くしていく。

腹式呼吸が上手にできるようになったら、吐く息の時間を吸う息の2倍、さらに3倍と段階的に長くしていきます。

 

鼻で呼吸をすることで、空気が鼻の中で温まり加湿されて、鼻腔や気道の粘膜にある線毛運動により、空気中の細菌やウイルスを排出する効果があります。

 

「こうしたゆっくり吐く腹式呼吸を行うことで副交感神経が優位になり、脳や体がリラックスします。

朝目覚めたときに行えば一日が爽やかに、食事の前に行うことで食欲がアップ、寝る前に行えばぐっすり眠れると思います。1日数回、12週間くらいは続けてみてください」

 

 

「ハチの羽音呼吸法」で脳と耳をすっきりさせる!

もうひとつ、「簡単で効果抜群のおすすめの呼吸法がある」と石井先生。それがハチの羽音呼吸法です。

 

「これは古代インドの呼吸法のひとつである『ブラーマリー呼吸法』をアレンジしたものです。ブラーマリーとはサンスクリット語で『メスのハチ』という意味です。

 

両耳の中に軽く人差し指を入れて、小さな声で『ウーン』と言うのですが、この自分の声の振動が頭蓋骨に伝わり、脳全体に満たされることで、深いリラックス感を得られ、頭がすっきりします。特に耳閉感や低い耳鳴りがひどいときに、人によっては症状を軽減する速効性があります」

 

【ハチの羽音呼吸法のやり方】

1 テーブルにひじをついて両耳を軽くふさぐ

難聴 耳鳴り軽減 ハチの羽音呼吸法 イラスト

椅子の中央に、背もたれに寄りかからないようにして座り、足を腰幅くらいに開きます。上体を前に傾け、両ひじをテーブルにつきます。両手の人差し指を両耳の中に浅く入れ、目を閉じます。お腹が膨らむのを意識して、鼻からすっと短く息を吸います。

 

 

2 「ウーン」と言いながら息をゆっくり吐く

難聴 耳鳴り軽減 ハチの羽音呼吸法 イラスト2

自分だけに聞こえるくらいの小さな低い声で、「ウーン」と言い続けながら、ゆっくり息を長く吐きます。お腹をへこませるようにして、苦しくなる一歩手前でやめて、また短く息を吸います。息継ぎをするとき以外は「ウーン」と言い続けます。これを5分を目安に繰り返します。

 

【ポイント】

●耳に指を入れる際、周りの音が聞こえない程度でいいので、深く入れる必要はありません。

 

●口は閉じたまま、自分だけに聞こえるくらいの小さな「ハチの羽音」のようなイメージで。

 

●ゆっくり吐く腹式呼吸をしながら行います。長く吐こうと頑張りすぎないで、苦しくなる前に息を吸ってください。

 

「この呼吸法を21人に行ってもらい、5分後に腹式呼吸に戻してから調査したところ、程度の差はありますが16人に耳閉感の改善がみられました。

 

また、これを12週間続けた人を対象に脳波を測定した結果もあります。

5分の『ハチの羽音呼吸法』を行ったあとには、脳の興奮が抑えられているアルファ波が増加する傾向が見られ、副交感神経が優位になっていることがわかりました。

 

この呼吸法による、耳閉感や耳鳴りの改善効果の持続性は当然ながら個人差がありますが、ひとつの改善策として実践してみる価値はあります。

 

特に耳鳴りの悩みがない人でも、腹式呼吸やハチの羽音呼吸法を行うと脳がリラックスするので、疲れたときにもおすすめです」

 

 

[教えていただいた方】

石井正則
石井正則さん
耳鼻咽喉科医・医学博士
公式サイトを見る

JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。東京慈恵会医科大学大学院卒業とともに、米国ヒューストン・ベイラー医科大学耳鼻咽喉科へ留学。帰国後、東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科医長、同大学准教授を経て現職。岐阜大学臨床教授を併任。専門は耳鳴り、めまい、難聴、宇宙酔い。日本耳鼻咽喉科学会代議員、宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙医学審査会委員。ヨギー・インスティテュート認定インストラクターであり、ヨガのポーズと呼吸の応用で、耳鳴りやめまいの軽減法を提唱している。著書に『70歳から難聴・耳鳴り・認知症を防ぐ対処法』(さくら舎)など多数。 石井正則先生著書

 

イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子

 

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