メガネを新しく作るときは、遠くがよく見えることを第一に考える人が多いでしょう。でもいちばん大事なのは、疲れにくく、快適に見えること。
視力検査の結果にとらわれず、〝屈折値”を重視するメガネの矯正について、梶田眼科院長の梶田先生に聞きました。
更年期の不調? と思っていたら
過矯正のメガネが悪さをしている
ケースも
「婦人科で治療を受けても更年期の不快症状が改善しないという場合、"合わないメガネ"が影響している可能性があります。目の不調が自律神経を乱してしまうケースがあるからです」(梶田先生)。特に、パソコンワークなど、手元の作業をすることが多い人は、見えすぎる〝過矯正″のメガネが不調を招いている可能性が。「午前中は遠くがよく見えるメガネなのに、夕方になると目を細めないとよく見えない」というときは、遠近両用メガネに替えるほうがいいでしょう。
梶田先生によれば「新しいメガネを作るときには、午前中から午後早めに眼科を受診するのがおすすめ」とのこと。なぜなら、仕事帰りの疲れた目に合わせてメガネを作ると、度の強い"過矯正"になりやすいからです。40~50代以降は白内障、緑内障、加齢黄斑変性など、目の病気を発症しやすい時期でもあります。見え方に異変を感じたときは、目の健康チェックも兼ねて、早めに眼科を受診しましょう。
メガネやコンタクトレンズ
を替えると世界が変わる!
「私は、メガネを処方するときには"過矯正"にならないように、屈折検査を行って"屈折値"を重視しています」と梶田先生。
屈折検査とは、屈折の度合いを赤外光で測る検査。物をはっきりと見るためには、角膜から入った光が水晶体で屈折され、網膜の上でピントが合っていなければいけません。でも、近視の人は網膜の手前で、遠視の人は網膜の後方でピントが合い、物がぼやけて見えるのです。この検査では、レフラクトメーター(のぞき込むと気球の絵が見える機器)で赤外光を鏡で反射させて網膜に当て、網膜に当たって反射した光を集め、その人の目が持つ屈折度数=屈折値を計算します。その数値をもとに、視力矯正に必要な度数を計算して、メガネやコンタクトが処方されるのです。
「自分の目に合うメガネやコンタクトレンズをつけると、新聞や本の文字がくっきりと、楽に見えるようになります。そして、長時間装着しても、目が疲れません。きっと人生観が変わりますよ」
次回は「正しいピント合わせで、頭痛、肩コリ解消。認知力低下の防止も!」をご紹介します。
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/大石久恵