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血圧をリセットする注目の物質「NO(一酸化窒素)」とは?【専門医が解説-1】/更年期世代の「いつの間にか高血圧」⑦

血圧調整の救世主ともいえるすごい物質が「NO(エヌオー)<一酸化窒素>」。注目の“血管拡張ガス”とは一体どのようなものなのでしょうか? 高血圧治療の第一人者・市原淳弘先生にお伺いしました。

 

お話を伺ったのは

市原淳弘さん 高血圧・内分泌内科教授

市原淳弘さん
Atsuhiro Ichihara

東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科教授。日本内分泌学会内分泌代謝科専門医。日本高血圧学会理事。高血圧治療の第一人者として、日々患者に向き合う。著書に『食べ方、座り方、眠り方で下がる! 血圧リセット術』(世界文化社)など

 

血圧をリセットする注目の物質「NO」とは?

放っておくと怖い高血圧ですが、実は血圧をリセットする“救世主”的存在があるのです。それが、血管を柔軟にするガス「NO(一酸化窒素)」。

 

血管をしなやかにして拡張し、正常な血圧を維持してくれる画期的成分です。その発見には、1998年にノーベル医学・生理学賞が授与されたほど。

 

「NOは血管内皮細胞が血液の流れによって刺激されることで産出されます。それが血液に吸収されると血管が柔軟になり、流れる血液の量に合わせてしなやかに伸縮するので、上下の血圧も安定するのです」(市原淳弘先生)

 

NOは、血管のみならず、体内でさまざまな役割を果たしています。神経情報伝達のメッセンジャーとして脳と体を結んだり、腸内環境を整えたり、副交感神経を活性化し、血圧を下げる役割も。

 

また、白血球の一種であるマクロファージから産出されるNOは、免疫力を上げ、炎症を抑える働きも担っています。

 

「NOは高血圧や血圧高めの人にとって心強い味方。ウォーキングなどの有酸素運動や鼻呼吸など、簡単な方法で産出量が増やせるので、ぜひ日頃から意識して実行してください」

 

 

血圧が上がると血管が細くなり血流悪化

血圧が上がると血管が細くなり血流悪化

高い血圧にさらされ続けることで血管がダメージを受けて硬くなる(動脈硬化)と、血管の内皮の裂けめに余分な脂肪が入り込んでこぶ(プラーク)を作ります。すると血管が細くなり、血流が悪化してしまいます。

 

血栓ができて血管をふさぐと…

血栓ができて血管をふさぐと…

さらに、滞った血液が固まって血栓ができると血管が詰まり、血液がうまく運べなくなります。血栓は、手足の末梢血管がゴースト化したり、臓器への血流が阻まれることで心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因に。

 

血液がスムーズに流れるとNOが発生♪

血液がスムーズに流れるとNOが発生♪

逆に、適度な血圧でしなやかな血管が保たれ、血流がスムーズに流れていると、血液が血管内をずりずりと流れる刺激「ずり応力」が高まります。血管の内皮細胞がその刺激を受けると、血液中にNOが放出されます。

 

NOが血管を広げ血流促進!

NOが血管を広げ血流促進!

NOは血管を柔らかくして広げてくれるので、血流がスムーズになり血圧もダウン! でも、発生したNOの命はわずか3~6秒。血管の健康を保つためには、つねに血流をよくし、より多くのNOを産出することが必要です。

 

 

[参考文献]

『食べ方、座り方、眠り方で下がる! 血圧リセット術』(市原淳弘著/世界文化社)、『「治せる高血圧」を見逃すな!』(市原淳弘著/学研プラス)、『高血圧 最高の治し方大全』(市原淳弘共著/文響社)

 

 

イラスト/寺田久美 取材・原文/安齋喜美子

 

 

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