高血圧の人が避けるべき習慣・行動を、高血圧治療の第一人者・市原淳弘先生にお伺いしました。
お話を伺ったのは
市原淳弘さん
Atsuhiro Ichihara
東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科教授。日本内分泌学会内分泌代謝科専門医。日本高血圧学会理事。高血圧治療の第一人者として、日々患者に向き合う。著書に『食べ方、座り方、眠り方で下がる! 血圧リセット術』(世界文化社)など
スマホを見すぎない
スマホを長時間見ていると、首に頭の重さの負荷がかかって「スマホ首」に。すると、延髄の血圧調節中枢が刺激されて、高血圧を引き起こす原因になります。かがむ角度が深くなるほど血圧リスクも上昇。
また、60分以上携帯で通話すると、4倍近く血圧リスクが高くなるという報告も。スマホを見る時間を減らし、見るときは背すじを伸ばして。
座りっぱなしをしない
市原淳弘先生いわく、座りっぱなしは「座りっぱな死」。座りっぱなしでいると、1時間ごとに14%ずつ血圧が上昇します。
オーストラリアの研究機関の検証で、1日の座る時間が11時間以上の人は、4時間未満の人と比べて死亡リスクが40%上がることがわかりました。別の実験では、10時間以上座ると心臓病リスクが2倍になることも判明しています。
8時間以上寝ない
短時間睡眠は交感神経を休ませることができず、高血圧になる可能性大といわれていますが、一方、寝すぎも問題です。
40歳以上になると、7時間睡眠と8時間以上の睡眠では後者のほうが高血圧者の割合が高いことがわかりました。適度な睡眠を心がけて。
甘草に注意!
甘じょっぱい味のお菓子やお茶漬けのりに多く含まれる甘草。漢方薬としても使われますが、実はこれには、塩をため込むホルモンであるコルチゾールの分解を妨げる作用があり、塩分が体にたまりやすくなる一面も。
血圧が気になる人は、漢方薬の成分やお菓子のラベルをチェックしてみて。
[参考文献]
『食べ方、座り方、眠り方で下がる! 血圧リセット術』(市原淳弘著/世界文化社)、『「治せる高血圧」を見逃すな!』(市原淳弘著/学研プラス)、『高血圧 最高の治し方大全』(市原淳弘共著/文響社)
イラスト/寺田久美 取材・原文/安齋喜美子