血糖値を上げないためには、食事やスイーツを食べるタイミング、飲み物の選び方にも注意が必要です。
そのひとつが“食べる順番”です。野菜から食べる“ベジファースト”を実践している人も少なくないでしょう。
「しかし、私が最近、推奨しているのが“ソイファースト”です」(池谷敏郎先生)
血管コンシャスな食事術①
ソイファーストのすすめ
「大豆に豊富に含まれるタンパク質は、筋肉や血管、骨の元になります。またイソフラボンは、骨からカルシウムが溶け出して骨がスカスカになるのを抑えます。
大豆のえぐみの成分である大豆サポニンや食物繊維には、糖の吸収を緩やかにして、血糖値の急上昇を防いでくれる効果が。そんな私たちの体にうれしい大豆を食事の前に1品お腹に入れておこう、という提案です」
特に会食や飲み会、パーティなどでは、自分で料理の順番を選べないこともあります。また、夕食前に空腹が耐えられなくなって、ついスナック菓子をポリポリ…なんてことも。そんなときに、大豆製品を活用するのです。
「例えば、納豆や蒸し大豆。蒸し大豆はヨーグルトやスープに入れてもOK。また豆乳を飲むのも手軽です。これらを食前や食事の最初にとるだけで、空腹のうちに不足しがちなタンパク質をしっかりとることができます」
その後、野菜→汁物(スープ)→メインのタンパク質→最後に炭水化物の順番を守るのが理想。最初に糖質をとってしまうと、血糖値の急上昇を招きます。少なくとも炭水化物は最後!と覚えておいてください。
また、おかずをご飯と一緒にとると、どうしても味つけが濃くなりがちです。おかずを単独でとる習慣をつけると、自然と薄味になり、高血圧の大敵である塩を減らすことができます。
血管コンシャスな食事術②
おやつは午後2時~6時に間に食べれば太らない!?
「肥満や糖尿病のリスクを抱えている場合、おやつを食べるのであれば、その分の糖質やカロリーを前後の食事で制限する必要があります。また、おやつを食べた後に軽い運動を行うことも食後の高血糖対策になり、血糖値のコントロールや肥満防止に役立つでしょう。
それらを考えると、おやつやデザートは夕食以降にとるとカロリーや血糖値の調整がしづらいことになります。どうしても食べたいものだけに絞って、朝から夕方までの間に楽しむのが、動脈硬化のリスク軽減に役立ちます。しかし食べすぎはやはりNGです。」
血管コンシャスな食事術③
飲み物が大きな味方になる!
ドリンク類もどうせなら血管力アップにつながるものを選びたい!
フィトケミカルという言葉を聞いたことはありますか? 野菜や果物、海藻などの植物に含まれる化学成分の総称です。植物が紫外線や有害物質、害虫などから自分自身の身を守るためにつくり出している、色素や苦味成分などです。その代表的なものがポリフェノールで、アントシアニン、レスベラトロール、イソフラボン、カテキンなど。
「血管力を意識した場合には、抗酸化作用があるポリフェノールを含む飲み物がおすすめ。代表選手が赤ワインです。活性酸素を除去する抗酸化作用があり、悪玉コレステロールが動脈硬化を進めるのを防いてくれる可能性があります」
また、カテキンを含む緑茶は、抗酸化作用に加え、抗ウイルス作用、糖やコレステロールの吸収を抑える作用などが期待できます。数年前に国立がん研究センターから、緑茶を習慣的に摂取する群において、死亡リスクが低くなるという研究結果が発表されました。
「最近ではコーヒーも心疾患や脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクが半減するという発表が。ただし、コーヒーの場合は1日3~4杯程度に抑えておくのがいいようです。
そして、もうひとつ、私はトマトジュースもすすめています。抗酸化作用の高いリコピンやリラックス効果があるGABAが豊富。長期的に飲むことで、血圧を下げたり、アルコールを分解する速度を速めるので、二日酔い対策に、ホットトマトジュースをすすめています」
【教えていただいた方】
池谷敏郎さん
池谷医院院長。1962年生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年に、池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科・循環器科。現在も臨床現場に立つ。心臓、血管、血圧などの循環器系のエキスパート。
池谷医院院長。1962年生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年に、池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科・循環器科。現在も臨床現場に立つ。心臓、血管、血圧などの循環器系のエキスパート。
『1日5分! 血管ケアだけで20歳若返る!』(青春出版社) ¥1100
イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子