【教えていただいた方】
1973年生まれ。日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2017年、スーパーフードとしての牧草牛(グラスフェッドビーフ)の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm」をオープン。2022年、機能性医学と再生医療を融合させた治療拠点として「斎藤クリニック」を開設。著書に『サーファーに花粉症はいない』(小学館)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)ほか多数。斎藤クリニック、Saito Farm
♦「不調の原因究明に欠かせなくなったきた」と医師も太鼓判!
今回、読者3名が検査したのは、自宅でできる遅延型フードアレルギー(食物過敏症)の検査キットを利用してのこと。
キットを14年前から販売している「アンブロシア」は、米国シアトルのラボと提携し、海外の郵送式検査キットとしては初めて厚生労働省の改正薬事法に準拠した認可を取得しています。
「閉経前後の女性の不調は多種多様です。
女性ホルモンの減少が直接の原因のこともありますが、実は食生活が原因であることも多いもの。
遅延型フードアレルギー(食物過敏症)検査は、複雑な更年期世代の不調や不定愁訴の原因究明に役立つと思います。
実施している医療機関は増えつつあるとはいえ、全国的にはまだ少ないので、検査キットを利用するのも賢い方法ですね」
というのは、「機能性医学」の国内第一人者でもある斎藤クリニックの斎藤糧三先生。
もともと、スタートが婦人科の医師であった斎藤先生ならではの目のつけどころです。
では、今回参加してくれた3名をご紹介しましょう。
♦ストレス満タン! 不調山盛りの54歳! 不調改善のためにできることとは?
エントリーナンバー①
小園 桂さん
(1968年生まれ・主婦)
10代の息子さん二人の子育てを含め、何かとストレスが多すぎる環境の中、年々つらい不調が増えている小園さん。
半年前に最後の月経がきたきりで、閉経前後の揺らぎの時期の真っただ中にいます。
家族のことばかり考えて日々忙しくしているうちに、いつしか更年期のど真ん中に突入していました。
【特に気になっている不調】
1)気力・やる気が湧かない(朝すっきり起きられない)
2)だるい、疲れる、息切れする
3)記憶力の衰え(肝心なことも忘れがち)
*そのほか、きちんと眠れない、時々感じるのはめまいや耳鳴り、まぶたの痙攣、手足にしびれた感じ、肩こりや頭痛、イライラしやすい…など多数
【食生活】
野菜中心。外食をあまりせずに、できるだけ規則的に3食食べる。夕食は早めに。
ぬか漬けなどの発酵食品をとり、小麦・砂糖・乳製品をやや少なめに。
【睡眠】
平均5時間。20年近く、夜中に目が覚めたり早朝に目が覚める。
【運動習慣】
週1,2回は溶岩ヨガ。たまに登山。週2回、自転車に1時間。
食事や運動にはとても気を配って頑張っているのに、不調がひどくなっていることについて「とにかくストレスが多すぎる! 不調がこのくらいですんでいるのが不思議なくらいです。かといって環境はすぐに変えられないので、何か改善できることがあればいいなとずっと思っていました」と小園さん。
栄養療法に興味があり、今回は嬉々として遅延型フードアレルギー(食物過敏症)の検査にトライしました。
結果は…9種類の食品が高反応。さて、ここからどう対応していきましょうか?
大麦:レベル5
ライ麦: レベル5
卵白:レベル5
牛乳:レベル5
クランベリー:レベル4
エンドウ豆:レベル4
羊乳:レベル4
醸造用イースト:レベル4
カゼイン:レベル4
♦花粉症を含め、食物アレルギーもいろいろありそうな48歳! 真実はいかに!?
エントリーナンバー②
渡邊奈津子さん
(1974年生まれ・ヘア&メイクアップアーティスト)
渡邊さんは、子宮筋腫のため2年ほど前に子宮摘出をし、強制的に閉経しました。
卵巣はあるので、急に更年期の症状は出ないだろうと思っていましたが、気がつけばなんとなく不調が増えている気がするといいます。
【特に気になっている不調】
1)めまいや耳鳴り、時々動悸など(15年ほど前から)
2)逆流性食道炎の症状がときどき出る(その場合、処方薬を飲む)
3)肌の乾燥や血行不良、皮膚炎が起こりやすい
*そのほか、食事のあとに眠くなる、特定の食品でお腹が痛くなったり気持ちが悪くなったりすることも。毎春、花粉アレルギーの症状がひどいことも悩みです。
【食生活】
野菜中心。高血圧・高コレステロールと診断されたことがあるため塩分は控えめに。
コーヒーや牛乳を飲むと、気持ちが悪くなったりお腹が痛くなるなどの不調を感じるにもかかわらず、カフェラテがどうしてもやめられない!
【睡眠】
睡眠時間は平均8時間。寝つきが悪いことが多く、睡眠導入剤も使用。
【運動習慣】
週1回パーソナルトレーニング、週3回は1時間程度の散歩。
食べた直後に反応する食品が多いということで、渡邊さんはまず普通のアレルギー検査を受けました。
すると、みごとに何も反応がなかったのです!
そこで今回、遅延型フードアレルギー(食物過敏症)の検査にトライ!
結果は…乳製品や卵が高値の「レベル6」より高く、グラフを振りきってしまう勢いでした。さあ、どうする!?
カゼイン:レベル6
卵白:レベル6
牛乳::レベル6
羊乳:レベル6
大麦:レベル5
エンドウ豆:レベル5
ヤギ乳:レベル5
卵黄:レベル5
醸造用イースト:レベル5
グリアジン(グルテン):レベル5
オレンジ:レベル4
ソラマメ:レベル4
♦61歳、まるで不調のデパート!? この状況から脱するためにやるべきことは何?!
エントリーナンバー③
草深理恵さん
(1961年生まれ/宿泊業、菓子・パン製造業)
母と伯母のダブル介護、それと更年期が重なり、不調まみれになっていた草深さん。
7年ほど前に遅延型フードアレルギー(食物過敏症)の検査をしたこともありました。
検査結果は卵と小麦粉が高反応。日頃ほとんど口には入れていない食品ではあったものの、職業柄、味見の際に口にしないわけにはいかない環境です。
更年期のような症状が多いとはいえ、閉経したのは約8年前なので、一般的に言われる更年期の時期は過ぎているような気もします。
【特に気になっている不調】
1)朝、目覚めが悪い(起きた瞬間から落ち込んでいることが多い)。
2)疲労感、倦怠感、寝ても疲れが取れない。
3)気持ちが塞ぐ、人に会いにいく気持ちが湧かない。
4)手指をはじめ、あちこちの関節の痛み。
5)ひどい皮膚の乾燥とかゆみ、炎症、シワ、シミ… 。
*そのほか、 時々感じるめまい、肩こり、足や顔のむくみ、便秘がち、筋力低下、喉に何かつかえを感じる、手足のしびれ、肌の乾燥や低体温…と、挙げればキリがない不調の数々。
【食生活】
宿泊施設を経営している仕事柄、きちんとした食事は夜1回。朝と日中は、プロテインや完全栄養食などのドリンク、MCTオイル、ナッツや チーズなどの補食を数回。
そのなかでも高タンパク質&低糖質、野菜やきのこで食物繊維の摂取も心がけています。
【睡眠】
平均5時間、忙しいと3時間。布団に入っても眠れずにいたり、早朝覚醒することも多い。
【運動習慣】
コロナ禍も重なり、長く続けてきたトレーニングとヨガを中断(時々自分で行う程度)。
今、運動と呼べるものはほとんどしていない。
実家が健康食品を扱う環境で育ったこともあり、添加物も避け、清く正しい食生活をしてきたと思われる草深さん。
はたして今回の遅延型フードアレルギー(食物過敏症)の検査結果は…、除去しきれていなかった卵や乳製品、補食として食べている豆やナッツが高反応でした。
これをどう役立てて、不調を解決していくのでしょう!?
卵白:レベル6
牛乳:レベル6
大麦:レベル5
ピーナッツ:レベル5
羊乳:レベル5
エンドウ豆:レベル5
カゼイン:レベル5
ヤギ乳:レベル4
カシューナッツ:レベル4
3人の検査と不調の解決にご協力くださったのは、この連載ではおなじみのアンブロシア 代表取締役の志賀惠子さん。
「健康のために食べ物に気を遣ってきた方は、高反応の食品をどう除去してよいのか悩んでしまいますね。
卵や乳製品などは、単に除去するとタンパク質不足に陥りがちで、逆に不調を招くことも…。
プラスマイナスを考えて食事を改善していただけたらと思います。
好きな食べ物を再び食べられるようにするために、一時頑張ってみてくださいね」
【お話を伺った方】
外資系エレクトロニクス企業でキャリアを重ねる。2名の若い同僚の突然死をきっかけに、「残りの人生、人の健康と幸せに関わる仕事がしたい」と思うようになり、2008年にアンブロシアを設立。同年、ボンド大学大学院MBA卒業。遅延型フードアレルギー検査キットをはじめ、ストレス、ホルモン、有害物質など、体の状態を知り健康に近づくための各種検査キットを提供
取材・文・撮影/蓮見則子