どうしてお酒を飲むと酔うの?
→原因は肝臓の分解時にあった!
ところで…私たちはどうしてお酒を飲むと酔っぱらうのでしょうか?
「お酒を飲むと、そのアルコール(エタノール)は胃と小腸で吸収され肝臓へ運ばれます。肝臓に入ったアルコールは、
①『アルコール脱水素酵素(ADH)』によって、『アセトアルデヒド』になります。このアセトアルデヒドが酔う原因であり、発がん性物質でもあります。さらに、
②『アルデヒド脱水素酵素(ALDH)』により『酢酸』に分解されます。
その後『酢酸』は血液に乗り、全身に運ばれ、筋肉や心臓、ほかの臓器に取り込まれて分解され、最後は
③尿や汗、息などで体外に排出されます。
このように、摂取したアルコールは体内で3段階で分解されて排出されます」(青木先生)
「この①のアルコールを分解する力と、②のアセトアルデヒドを分解する力が人により異なります。それを決めるのは遺伝子で、その力(活性度)の組み合わせで、お酒への感受性は5パターンに分かれます」
これは自分がお酒を飲んだときに、顔が赤くなるなどの、自覚症状でだいたいの予測はつきますが、今は「アルコール感受性遺伝子検査」が登場して、それを遺伝子レベルで解析することができます。インターネットの申し込みでOK。料金は5000~6000円ほどです。
「アルコール分解は高活性型、活性型、低活性型があり、これは速度の違いはありますが、ほぼみんな分解できます。しかし、アセトアルデヒドの分解は、活性型(分解が早い)、低活性型(分解できるが遅い)、非活性型(分解できない)という3タイプで、まったく分解できない人もいるので注意が必要です」
特徴でだいたいわかるので、どのタイプに当てはまるか、この後、checkしてみてくださいね。
それぞれのタイプの特徴とは?
Aタイプ
アセトアルデヒドの分解はできるので、お酒は強いタイプです。しかし、アルコールの分解が遅いので、いつまでも血中アルコール濃度が高い状態で、酩酊気分が長く続きます。そのため、アルコール依存症になりやすいのが特徴です。翌日まで「お酒が臭う」ことも。
Bタイプ
アルコールもアセトアルデヒドの分解も快調にできてしまうので、大酒飲みのタイプ。いくら飲んでもあまり変わらず、翌日にお酒が残ることが少ないので、ついつい酒量が増えてしまい、結果、肝臓を酷使してしまいます。
Cタイプ
アルコールもアセトアルデヒドも分解はするので、飲めるけれど、分解力は低いタイプ。そのためお酒が飲めると勘違いして、無理をすることで食道がんなどの健康リスクが一番高くなります。
Dタイプ
アルコールの分解は早いので、結構飲んでしまいますが、アセトアルデヒドの分解がしにくいので、二日酔いになりやすいのが特徴。顔がすぐに赤くなる人はこのタイプが多いようです。
Eタイプ
アルコールの分解はできても、アセトアルデヒドの分解がまったくできません。お酒を受けつけない“下戸”タイプ。お酒を飲むことが生死にかかわるので要注意です。このタイプはアセトアルデヒドの分解ができないだけで、肝臓の機能が弱いわけではありません。糖質や脂質のとりすぎで脂肪肝になることがあったとしても、肝機能が弱いせいにはできないのです。
あなたはどのタイプでしたか?
白人と黒人はAとBが圧倒的に多く、日本人の40%はお酒は飲めるがそれほど強くないCまたはDタイプで、まったく飲めないEタイプが4%といわれています(異なる説もあり)。
「特に、『アルコール感受性遺伝子検査』はお酒を飲み始める前の、10代にこそ受けてほしい検査です。自分のタイプをきちんと遺伝子レベルで知っていれば、飲酒によるリスクを回避することができます」
このように、お酒への感受性は人によりさまざまです。自分の体質を知って、上手にお酒と付き合っていくことが大切ですね。
【教えていただいた方】
医療法人晃和会「ウェルエイジングクリニック南青山」理事長。元・順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座准教授。日本健康医療学会常任理事、日本抗加齢医学会評議員など歴任。日本のアンチエイジング医学の第一人者。ソムリエ、ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMAの資格を持ち、ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン渋谷校」の校長も務める。医療監修を担当した『美しい女は呑んでいる』(主婦と生活社)が好評。
イラスト・表/内藤しなこ 取材・文/山村浩子