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人が一生に飲めるアルコール量は決まっている⁉ 健康のためには飲まないほうがいい?

飲酒が習慣化している人は毎年、健康診断での肝臓の数値に一喜一憂している人も少なくないのではないでしょうか? 飲酒による健康への悪影響は誰もが気になるところ。そこで、内科医で抗加齢医学の専門医、そして、ソムリエ、ワインエキスパート・エクセレンス資格も持つ、青木晃先生にお話を伺いました。

お酒は“百薬の長”は本当か?

一般的に「お酒を適量飲む人のほうが長生きできる」などと言われています。それは本当なのでしょうか?

 

 

「実は現在、その説はほぼ否定されています。2018年の世界的な医学雑誌『ランセット』での発表で、英国の研究者により、『健康への悪影響を最小限にするなら、飲酒量は0がいい』と結論づけられたのです。

 

もともと、高血圧、乳がん、肝硬変に関しては、飲酒量が増えるほどリスクが上がることは知られていましたが、一方で、少量の飲酒で心筋梗塞や脳梗塞、2型糖尿病のリスクが低下する…という研究結果もあります。

 

また、お酒を適量飲む人は、まったく飲まない人よりも寿命が長く、疾患罹患率が低い…という研究結果もあり、純アルコール量が1日10gまでなら、リスクの上昇があるものの、許容範囲であるともいわれています。

 

ですから医学的な観点からは、飲まずにすむのであれば飲まないほうがいいけれど、ストレス解消などに飲むのであれば、飲む量に気をつけてください、ということになりますね」(青木先生)

 

一生で飲めるのは…男性約500kg、女性250kg

アルコールの分解・代謝はおもに肝臓で行われていることは周知の事実です。では、その分解・代謝能力はどこまで維持することができるのでしょうか?

 

「アルコール分解・代謝のキャパシティは性別と体格に関係します。まず、女性は男性よりも許容量が少ないのですが、それは肝臓の大きさからです。単純に大きければ、それだけ仕事量が増えます。

飲める量の目安は、体重1㎏当たり男性は0.1~0.15g/1時間、女性は0.07~0.12g/1時間。平均すると(男女差は考えない)0.1g /1時間 です。

一生の総量では、男性が約500kg、女性はその半分で250kgといわれています。この目安は肝硬変になった人のデータを分析して、肝臓でのアルコール代謝の限界量を算出したものです」

 

そう考えると、一生楽しくお酒を飲むためには、やはり基準量を守る必要はありそうです。

 

 

乳がんリスクはアップする!

それでは、飲酒による健康リスクにはどのようなものがあるのでしょうか?

「女性特有の疾患については、2021年に愛知県がんセンターがまとめたこんなデータがあります。日本人の女性約16万人を対象にした大規模研究での結果です」

 

それによると、乳がんの発症率は、閉経前では「まったく飲酒しない人」に比べて、「週5日以上の飲酒をしている人」で1.37倍、「1日の飲酒量が純エタノール量換算23 g以上の人」では1.74倍上昇するという結果に。ただし、閉経後では有意な差はありませんでした。その理由はまだ解明されていないそう。

 

「ひとつ考えられるのが、飲酒をすると女性ホルモンのエストロゲンが上昇することがわかっています。これが乳がんの発症と関係している可能性はあります。閉経後はその影響を受けないと考えられます」

 

痩せている人の飲酒は糖尿病のリスクが高まる

また、こんな研究結果もあります。
日本人の中年男女約3万人を10年間追跡して、「肥満度別飲酒習慣と糖尿病の発症との関連」を調べた結果です。

それによると、「痩せぎみの人(BMI値22以下)ほど、飲酒量が増えると糖尿病を発症しやすくなる」というのです。痩せている人は要注意です。

 

 

痛風はビールが原因ではない

痛風はビールの飲みすぎが原因とよく言われますが…。

 

「これも都市伝説のひとつですね(笑)。痛風は高尿酸血症の最終形として起こる炎症による痛みです。尿酸の材料がプリン体のため、ビールのプリン体が原因といわれるようになったのですが、実際の尿酸の8割は体内で合成されて、飲食物からの影響はたった2割です。一般的にプリン体が多いといわれている魚卵はそうでもなくて、気をつけるべきなのは、魚の干物やレバー類です。ビールの摂取は直接関係ありません。

 

ただし、アルコール摂取量が増えるほどに、高尿酸血症や痛風になりやすいのは確かです。それはビールでなくても、お酒の種類は関係ありません。特に気をつけたいのは、運動後の飲酒です。激しい運動をしたあと、体内の水分が少なくなっているところにアルコールを入れると、利尿作用が働き、さらに脱水ぎみになり痛風発作を起こしやすくなるので、注意が必要です」

 

尿酸値が高いので、ビールをやめてサワーやハイボールにする…は、まったく意味がないとのこと。そして、喉が渇いたところの1杯のビールは至福のときではありますが、運動後はまずは水やスポーツドリンクなどで水分を補給してからにしましょう。

 

 

【教えていただいた方】

青木晃
青木晃さん
内科医、日本抗加齢医学会専門医
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医療法人晃和会「ウェルエイジングクリニック南青山」理事長。元・順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座准教授。日本健康医療学会常任理事、日本抗加齢医学会評議員など歴任。日本のアンチエイジング医学の第一人者。ソムリエ、ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMAの資格を持ち、ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン渋谷校」の校長も務める。医療監修を担当した『美しい女は呑んでいる』(主婦と生活社)が好評。

 

取材・文/山村浩子

 

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