赤ワインは血液サラサラ効果、抗酸化作用、腸活の効果も!
特に「赤ワインの長寿効果」をよく耳にします。それは本当でしょうか?
「確かに、赤ワインは酒の中ではアンチエイジング的であるとは言えるのですが、赤ワインを飲めば長寿になるというエビデンスはありません。一時、赤ワインに含まれるレスベラトロールが長寿遺伝子を活性化させる作用があるとして、赤ワインが注目されたことがあります。しかしながら、現在はその説は否定的にとらえられています。
もしも、レスベラトロールにそのような効果があったとしても、赤ワインから摂取するとなると、毎日数本も飲まなければならず、現実的には不可能です。アルコールのとりすぎの弊害のほうが高くなるでしょう。
とは言え、赤ワインに含まれるポリフェノールには、血液の粘度を下げて、毛細血管の血行を促進させるという報告があります。また、レスベラトロールが持つ抗酸化作用によって、アルツハイマー型認知症、糖尿病、肥満症、動脈硬化症、白内障や骨密度の低下に関連した疾患の改善効果が期待されています。美容面でも紫外線ダメージの軽減など、アンチエイジング効果の知見が出ています。
さらに、腸内で食物繊維と同じような働きがあり、腸内細菌叢の多様性に一役買ってくれます。これは赤ワインでも白ワインでも同様です」(青木晃先生)
ちなみに、ポリフェノール含有量は黒ぶどう由来のものが圧倒的に豊富です。
白ワインはむくみ予防&血圧上昇を抑える効果が!
「白ワインにもポリフェノールは含まれています。しかし、その内容は赤ワインのものと異なり、量も少なめです。それは、赤ワインには黒ぶどうが、白ワインには果皮が黄緑色の白ぶどうが使われており、製造方法も違うからです」
白ワインの特徴はカリウムを豊富に含むことです。カリウムはむくみを予防して、血圧の上昇を抑えます。
また、白ワインは大腸菌やサルモネラ菌などに対する抗菌作用に優れています。また、爽やかな酸味がありますが、これが腸内のpHを下げる方向に働き、悪玉菌を減らすことで腸内環境を整えます。
ビールは腸をきれいにする!
一般的にビールといえば、ビール腹や痛風の原因といったことが先に立ち、あまり健康によいイメージがありませんが…。
「実はビールに含まれる『酵母』に健康効果があります。酵母は麦芽からつくられた麦汁の栄養素を取り込んで発酵します。その発酵の最終段階で、麦汁の栄養素がたっぷり吸収されます。その約50%はタンパク質で、18種類のアミノ酸をバランスよく含んでいます。ほかにビタミンB1、B2、B6、アルコール代謝に関与するナイアシン、造血に関与する葉酸などのビタミンB群や、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラル、そして食物繊維も豊富です。
最近の研究ではラガービールを1日1杯(約330mℓ)飲むと、腸内細菌叢の多様化が増したという報告があります。ただし、麦芽の使用料が少ない発泡酒や第三のビールでは、その効果は期待できません。飲むならビール、特にクラフトビールは酵母が豊富なのでおすすめです」
ワインやビール以外でも、適量の飲酒は血栓(血の塊)をできにくくして、心筋梗塞や脳梗塞を起こしにくい状態になり、善玉コレステロールを増加させる作用も確認されているとか。
【適量:純アルコール20g相当の量(女性はこの1/2~2/3の量が目安)】
ビール :ロング缶1本(500mℓ)
日本酒 :1合弱(160mℓ)
ワイン :グラス2杯(200mℓ)
焼酎 :半合強(100mℓ)
ウイスキー:ダブル1杯(60mℓ)
「あくまで適量の飲酒です。飲みすぎるのは禁物です」
【教えていただいた方】
医療法人晃和会「ウェルエイジングクリニック南青山」理事長。元・順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座准教授。日本健康医療学会常任理事、日本抗加齢医学会評議員など歴任。日本のアンチエイジング医学の第一人者。ソムリエ、ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMAの資格を持ち、ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン渋谷校」の校長も務める。医療監修を担当した『美しい女は呑んでいる』(主婦と生活社)が好評。
イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子