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「怒れない人」のためのアンガーマネジメントって? 上手に怒る7つの処方箋

アンガーマネジメントはいかに怒りを我慢するかではなく、怒りを上手に伝えることが重要です。世の中には怒りを感じても「怒れない人」もいます。そんな人がモヤモヤを残さないための、上手な切り返しや対処の方法について、アンガーマネジメントコンサルタント・一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんに伺いました。

「怒れない人」にもアンガーマネジメントは必要です

 

「私はムッとすることがあっても、はっきり意見を言ったり、怒ったりすることができないタイプなので、アンガーマネジメントは必要ない…」そんなふうに思っていませんか?

 

「怒る必要があるときには、その思いを伝えることも大切です。アンガーマネジメントの目的は怒りの感情で後悔しないことです」(安藤俊介さん)

 

怒ることが苦手な人は、その場では何も言えず、モヤモヤする気持ちを引きずったまま過ごしていたりするのではないでしょうか? それでは怒りの感情と上手に付き合っていることにはなりません。

アンガーマネジメント8回 怒れない人 モヤモヤ

では「怒れない人」の特徴とは?

 

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会と株式会社産業編集センターにより、「怒れない人」に実施されたアンケート調査(複数回答可能・回答数728件)の結果があります。

 

Q  あなたが怒れない理由として近いものを教えてください

 

その結果を見ると、過半数の人が「いい人でいたい」、「怒っても仕方がない」と思っています。

つまり嫌われることに恐怖感を持っているとも言えます。

 

 

Q  後から自分が怒っていることに気づいた時、どうしますか?

 

アンガーマネジメント 後から自分が怒っていることに気づいたらどうするか? グラフ

過半数の人が「他の人に話す」、続いて多いのが「何もできずにモヤモヤするだけ」でした。

 

これではアンガーマネジメントができているとは言えませんね。

 

「モヤモヤするのは立派な怒りの感情です。このときにとる行動の選択肢は、『逃げる』か『闘う』か? また『受け入れる』『断る』『気の合う人とだけ付き合う』『あえて嫌いな人とも付き合う』ことを選ぶ人もいるでしょう。

 

最初から行動の選択肢を狭くする必要はありません。いろいろ試しながら、自分にしっくりくるものを見つけていくのでいいと思います」

 

 

こんなとき…あなたならどうする?

 

ここでは、モヤモヤしそうなよくある7つのケースを想定。こんなときの解釈や心の持ちよう、上手な対処の方法を紹介します。

 

「そのポイントは、『なぜ相手はそう考えるのか』『なぜ自分はそう考えるのか』の両方を考えることです。相手が正しいか間違っているかは問題ではありません。どのようにその場を対処するかの選択肢のひとつとして見てください」

 

 

ケース1 人と比較された

 

叱るにも褒めるにも、すぐに人と比べて、「〇〇さんはこうなのに」といった表現をする人がいます。

 

「そんなときは、心の中で『自分は自分、他人は他人』と唱えましょう。あなた自身も比較ではない判断基準を持つといいでしょう。

 

比較には『絶対的な比較』と『相対的な比較』があります。100点満点のテストで100点に対して何点とれたかは『絶対的比較』、Aさんが90点に対して、自分は70点だったと比べるのは『相対的比較』です。

 

日常的に行われている多くは『相対的比較』です。誰かや何かと比べられたとしても、あなたの価値が変わるわけではありません。あなたの価値をわかっているのはあなた自身なのです」

 

 

ケース2 頑張っているのに認められず否定された

 

どんなときにも、まず否定する人がいます。たぶんそれは癖のようなもの。特に、自分は頑張っていたつもりなのに、その成果が評価されないのは悲しいものです。

 

「そんなときは、『できているところはありますか?』とたずねてみてはどうでしょう? なんでも否定から入る人は、他人の欠点ばかりが目につく人です。

 

それに引きずられずに、減点主義ではなく、加点主義への切り替えが必要です。こうして自分自身の意識を変えることで、人の否定的な意見も上手に聞き流せるようになるかもしれません」

 

 

ケース3 決めつけられた

 

「あなたって〇〇だよね」と決めつけて評価をする人がいます。それは自分のほんの一部であり、それが全部であるかのように言われるとカチンときます。

 

「ほんの少しでも当てはまるのであれば、『そういう部分もありますね』と、それはあくまで『部分的』であることを強調して伝えます。

 

世の中には白黒をはっきりさせたい人がいますが、そんな人は怒りを生みやすい傾向があります。実際にはグレーや曖昧さのほうが多いものです。それを理解しておくと、こんな場面でも無駄に怒らずに、上手に対処する第一歩になるでしょう」

 

 

ケース4 論点をずらされた

 

さまざまな話をしていると、いつの間にか論点をずらされることがあります。

 

「そんな人の心理は『このままでは自分が不利になる』とわかっているのです。この場合は『今の発言は論点がずれていますよ』とやんわりと指摘します。相手がどのような反応をしても、話を元に戻さない限り、その話をこれ以上進めないのが得策です」

 

 

ケース5 話を遮られた

 

自分が話しているのに、突然それとは関係のない話を始める人がいます。話の腰を折られることもモヤモヤの原因のひとつ。

 

「相手も話したいのだろうから、そこを考慮して『まずは、最後まで話してもいい?』と言ってはどうでしょうか。『まずは』と前置きをすることで、その後に相手の話も聞くつもりであることが伝えられるでしょう。

 

ほかには、その時点で会話をやめてしまう方法もあります。これは拒絶の表現で、『話はお互いのキャッチボールである』というルールを相手に示す行為です。一方でこの際、聞き上手に徹する方法も。実はこの聞き上手のほうが人気者になることが多いのです」

 

これも自分に合った方法で対処するのがいいかもしれません。

 

 

ケース6 約束を破られた

 

「〇〇までにこれをする」といった小さな約束を守らない人から、重要な約束をすっぽかす人まで、約束を破る程度はさまざまです。

 

「そんなときのクレームには、『私はあなたが約束を破ったことが悲しい、こんなにつらかった』というように、私を主語にして伝えます。あなたを主語にしてしまうと、『あなたはどうして約束を守れないの?』という、責める表現になりがちに。これでは、売り言葉に買い言葉になりかねません。

 

もうひとつの対処法としては、平気で約束を破る人とはそもそも約束をしない。少し距離を置いて付き合うことも選択肢のひとつです」

 

 

ケース7 嫌なことを押しつけられた

 

「怒れない人」はとかくNOと言えない人が多いのではないでしょうか? 一度、なんとなく流れで受けてしまうと、そのあとも押しつけられることがあります。

 

「ただNOと言うのでは角が立つので、『それはできないけれど、ほかにできることがあれば協力します』と、相手に気遣う言葉を加えるのがポイントです。

 

また視点を変えて、この嫌なことの苦痛レベルは10段階のどこなのか? と考えてみます。するとこの程度ならなんてことはないと感じて、押しつけられた感をやわらげることができるかもしれません」

 

いかがでしたか? 「怒れない人」もこうした言い方や対処法を参考にして、モヤモヤ気分を残さずに、怒りと上手に付き合うことを目指しましょう。

 

 

安藤俊介
安藤俊介さん
アンガーマネジメントコンサルタント
公式サイトを見る
Twitter

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。新潟産業大学客員教授。怒りの感情と上手に付き合う理論と技術をアメリカから導入。教育現場から企業まで幅広く講演、研修、セミナー、コーチングなどを行う。ナショナルアンガーマネジメント協会では世界で15名しか選ばれていない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルの唯一のアジア人。『[図解]アンガーマネジメント超入門  怒りが消える心のトレーニング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

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イラスト/カケハタリョウ 取材・文/山村浩子

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