「今、フルリモートに切り替えて、実家に帰って母の介護中なんです」「父が施設に入る事になって頻繁に飛行機で帰省しては、その間はリモートで仕事しています」「体調を崩した母をひとりにしておけなくて、一緒に住むことにしました」など、久しぶりに会う人たちから聞こえてくる声の数々。
50代になると親の年齢が80歳を超え「介護」という言葉が現実のものとなる方も多いことでしょう。
実際、要介護認定の割合は80代前半で26%、これが80代後半になると59.5% にもなります。(厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」2023年9月審査分、総務省「人口推計月報」2023年9月確定値より)
人生100年時代といわれる昨今では、身内の介護やサポートは誰しも経験することのひとつなのかもしれません。
50代、女性だからこその多重負担
厚生労働省の雇用動向調査によれば、介護・看護のために離職した人は約7.3万人(2022年)となり、男性に比べて女性は約2倍にもなります。
そして、この介護離職をする年齢は男女問わず50代後半が一番多くなっています。
50代という年齢は、介護、仕事、家事、育児(サポート)に加え、ご自身の更年期など体調の変化や、将来に向けての金銭的な悩みなど多くのことが重なる時期でもあります。そのためすべてのことを一手に引き受けると問題も生じやすくなります。
そういう私も介護離職未遂者のひとり。
母の闘病サポートと仕事、自分の生活を含めての毎日。長期化することで心身の疲労や気力など含め、「もう無理かな」と観念し辞表を提出したことがありました。
しかしながらその辞表は受理されず、保留されたままとなり、その後すぐに母が他界したことで未遂となった訳です。
ただ、その時「こんな風に辛い思いをしてる人は大勢いるはず。だから睡眠をとることで少しでも心身を休められるようにしてほしい」。そう願ってこの仕事を始めた訳です。
介護しつつも「睡眠」で自分を守る
介護にしっかり向き合う人は真面目で愛情深く、責任感が強くて真正面から取り組むため、とにかく「自分がなんとかしなければ!」という方々が多い印象があります。
子育てと違い、この先の事を考えるといつまで続くのか不安な気持ちも拭えず、ストレスから眠れない日々が続くこともあります。また、夜間に介護する方のトイレに付き添う、痛みの訴えに対し介抱するなどしばしば睡眠を連続して取ることができず、細切れ睡眠になって熟睡した感じが得られない方もいます。
そのうち「また、今夜も同じかな?」と思うだけで交感神経が優位になり、なかなか上手く眠ることができなくなることも。
そうなると自分のカラダも重く、疲れが取れない状態となり、場合よってはメンタルにダメージを抱えることにもなりかねません。
たかが睡眠、されど睡眠です。
疲れは睡眠でリカバーするため、眠れないのは辛いです。
そこで介護中の睡眠問題は
1 時間があれば昼間でも少し眠る
2 公私ともに周囲のサポート体制を利用する
3 誰かと話しをする。ひとりで抱え込まない
といったことが助けになります。
睡眠時間の総量が足りない場合は、少しでも昼間の空き時間を利用してカラダと脳を休めてください。
普段のように規則正しく寝られる時の睡眠とは異なり、まずは足りない分を少しでも補充するイメージです。徹夜をすれば翌日は耐え難い眠気に襲われますが、徐々に削られた睡眠時間の場合は、睡眠が足りていなくても眠気がないことが分かっています。そのため、万全でなくても無理をしてしまう可能性があるのです。
細切れ睡眠が毎晩続くようなら、介護者のショートステイを施設に頼むとか、近親者に交代を申し出るなど「頑張ばればなんとかなる」と抱え込まないことが大事です。
介護者のことがすべてとなり、どうしても犠牲的になりがちですが、そうなるとこの先カラダもココロも参ってしまいます。睡眠不足は判断力の低下も招きますから、まず自分軸を忘れることなく、カラダとココロを守りつつ介護できる方法を探ってみてくださいね。
介護するみなさんにエールを込めて、今宵も良い眠りを。
※現在:少しでもお役に立つならと、介護をされている方限定で睡眠相談を無料で行っています(1回40分@ZOOM/月3人限定)