知識を持って、ポジティブに向き合ったもの勝ち!
正しく知りたい「更年期」
「更年期って何?」「私って更年期なの?」「このつらさ、いつまで続くの?」etc。40代、50代といっても年齢によって、また人によって、更年期についての知識や、現れる症状にはかなり差があります。
ホルモンのバランスがくずれることで、実は誰にでも来る更年期は、不調の感じ方や症状の程度に差こそあれ、私たちの体に大きな影響を及ぼします。今と将来の自分の健康を考えるために、ここでしっかりと更年期のこと、学んでみませんか?
Part2
真っただ中の人に朗報
あの手この手で
更年期もHAPPYに過ごす!
今までとは違う疲労感、不眠、だるさ、のぼせ、多汗…、さまざまな症状が出ている人こそ、目をそらさずに向き合ってください。
約10年間の更年期をネガティブになることなく快適に過ごす方法と、元気で素敵な60代、70代にステップアップするための知恵を身につけたい!
足りなくなった女性ホルモンを薬で補う!
HRT(ホルモン補充療法)を知る
更年期の不調改善法の最右翼といえば、HRT。自費診療のイメージが強いのですが、健康保険が適用になる治療法です。
ここでは、もっと知りたい8つのHRTのことについて、Q&A方式でご紹介します。
根本治療 HRT
■もっと知りたいHRTのこと■
Q1 がんのリスク、本当は?
エストロゲンだけの補充では子宮体がんのリスクが上がるため、プロゲステロン(黄体ホルモン)を併用することで安心してHRTを受けられます。子宮を摘出した人がエストロゲン単体の補充でもよいのはそのため。また、試しに1~2カ月受けてみる場合もエストロゲン単体で心配ありません。乳がんのリスクに関しては、【HRT(ホルモン補充療法)を知る②】の回の説明を参照。
Q2 いつ開始するものなの?
更年期のつらい症状があり、ホルモン値が減少しているのであれば、閉経前から始めてもまったく問題ありません。閉経後、だいぶたってから始めるよりメリットが高いといわれます。閉経後何年もたってから開始した場合、飲み薬で血栓症や脳梗塞のリスクがやや上がる一方、貼り薬では上がらないという報告が多くあります。
Q3 どれくらいで効果が表れるの?
薬の種類や投薬法、出ている症状にも個人差があるため、一概には言えません。投薬を始めて1〜2週間でピタッと症状が治まる人もいれば、数カ月かかる人もいるようです。また、いくつもの症状を抱えている人は、すぐによくなる症状と、後までクリアにならない症状があることも。慌てず効果を楽しみに待ちましょう。
Q4 HRTが効かなかった場合は?
「HRTで症状が改善された」というのは、症状の出ている原因が女性ホルモン不足だったために、補充されて効き目があったということ。ホルモンを補充したのに効かなかったということは、症状の原因が他にもあるということが考えられます。薬の量や投薬法などを含めて、主治医とよく相談して方針を決めるのが賢明です。
Q5~Q8は次ページへ→
Q5 体に変調は起こらないの?
使用する薬によっても違いますが、最初は乳房や下腹部が張ったり、むくみや不規則な出血など、マイナートラブルが出る人もいます。続けるうちに体が慣れて、消える症状がほとんどです。消えるのを待つのも嫌だという人は、医師と相談のうえ、薬の用法や量を調節して改善してもらいましょう。
Q6 美容目的ではいけないの?
HRTが普及している海外では、HRTは「若返りの薬」などといわれることもあります。現に若く見えるようになる人は多いもの。日本では健康保険制度が病気の治療に限定されているので、保険内で美容を目的にHRTを行うことはできません。アンチエイジングクリニックなどで、美容を目的とする場合は自費診療扱いに。
Q7 月経が復活してしまうの?
すでに閉経して月経を再び起こしたくない人に、わざわざ月経を復活させるようなことはありません。出血をしない程度に不快症状だけ取るような微妙なさじ加減は、医師の力量だといわれます。薬の量や投薬方法に納得がいかなければ、よく相談を。体に感じるメリットは大きく、違和感は少ないという状態が理想です。
Q8 どれくらい続けるのがいいの?
体が女性ホルモンの少ない状態に慣れると症状も落ち着くので、そのタイミングで徐々にやめるのが理想。短ければ数カ月。医師と相談して10年近く続ける場合もあります。副作用を考慮して「使用期間は5年までと決まっている」と告げる医師もいますが、実際は決められているわけではありません。医師とよく話し合いを。
宮沢あゆみさん Ayumi Miyazawa
ジャーナリストから医師へ転身。
都内病院勤務を経て、女性外来「あゆみクリニック」を開業。
思春期から更年期までの女性のトータルケアに力を注ぎ、
「じっくりお話を聞いて一緒に治療法を探したい」という熱血ドクター。
働く女性のために夜間や土曜も診療。
http://www.ayumiclinic.com
東舘紀子さん Noriko Higashidate
1953年生まれ。
1987年から、東京女子医科大学附属成人医学センターの
婦人科にて外来を担当。
女性医学、更年期医療に積極的に取り組む。
25年以上前からHRTを推進して女性の健康寿命を延ばすことを啓蒙し、
年間400人以上にHRTを処方。
イラスト/平松昭子 構成・原文/蓮見則子