漢方薬剤師・漢方ライフクリエーターの樫出恒代です。
みんな「うつうつ」している
妹に、漢方コラム何書こうか、と聞いたら
「うつうつだよ」
「みんなうつうつしてるんよ」と即答。
そうだね、確かに。
みなさん、いろんな症状があるけど、
根っこに「うつうつ」あるよね。
これ、という原因はないのかもしれないけど…
何となく、氣もちがのらないというか、
「あー」ってため息がでるとか、
漠然とした不安みたいなものとかありませんか?
例えば…
動悸がする、眠れない、夜中に目が覚める
寝汗をかく、急に熱くなる、
食べられない、
痩せられないなどのご相談の根っこには、
「うつうつ」や
「くよくよ」があることも。
「うつうつ」の原因は「脾(ひ)」。胃腸・消化器系の不調に関係しています
「うつうつ」「くよくよ」は漢方〈五行説〉の「脾(ひ)」というところに関係しています。
※「脾」といっても、老化した赤血球を破壊したり、免疫に関係する脾臓の働きとはちがいます。
脾-胃腸・消化器系のはたらきですが、単なる消化吸収だけでなく
身体に必要なものは全身に供給させ、
不要なものはちゃんと体外へ出すはたらきがあり、
私たちにとても大事な「氣」と「血」をつくってくれる。
そして、脾のはたらきのもうひとつ大事なのは「思」。
思うことや考えることと関係していること。
ついつい考えても仕方ないことを考えてしまう。
考えすぎ、思い悩むことは「脾」を傷めて、より「うつうつ」「くよくよ」を呼んでしまう。
そして、食欲も落ちてきたり、偏食しがちになったり、下痢やお腹がはってきたり、便秘になったり。
むくみや、吹き出物もできやすくなる。
更年期、また更年期以降も。
女性だけでなく、男性もお子さんもみんな。
「脾」はお腹真ん中、身体の中心。
ここが弱くなると「芯」がぶれてくる。
自分を信じられなくなる。
先のことも不安になる。
でもね、
自分だけじゃないよ。
みんなも少なからずそうなんだ。
私ももう30年も漢方カウンセリングしていてそう思います。
そうか、私だけ「うつうつ」してるわけではないんだ、
って、思うだけで案外楽になることもありますよね。
日本人は「脾」が弱りやすい。理由は高温多湿な気候と気をつかう性格
日本人は「脾」が弱りやすい。
それは、高温多湿のこの気候のせい。
「脾」は湿をきらうんです。
水浸しの胃腸は、胃液も薄まり、消化吸収してエネルギーを出すちからもなくなるから。
その上、日本人は人に氣をつかうことが多く、それを美徳としてきたから。
人のことを考える、それは大切なことだけど。
でも、いつの間にか
自分より人のことを考えすぎたり、思いすぎたりする。
それで「脾」は力が落ちるのです。
「脾」のはたらきは「食べ物」と「ツボ」で高められます
さぁ!
「脾」のはたらきを高めてくれる養生をしましょう^_^
おすすめの食べ物
大豆・枝豆・ジャガイモ・山芋・さつまいも
オクラ・なす・人参
にら・ねぎ・しょうが・らっきょう
いわし・しいたけ・えびなど
おすすめのツボ
〇足三里(あしさんり)
ひざのお皿から指4本下。すねのすぐ外側。
胃腸のはたらきを高めるツボ
消化吸収を高めます。足の疲れにも。
〇中脘(ちゅうかん)
おへそから指4本上のツボ。
みぞおちとおへそを結んだ中間
胃腸の調子を整える。
氣分が悪い、氣持ち悪い、スッキリしない時、精神的なストレスにも。
湯たんぽをおいてもグーですね。
〇三陰交(さんいんこう)
内くるぶしから指4本上のところ。
脾経・腎経・肝経の3つ経絡が交わったところなので、三陰交といいます。
女性の生理不順や冷え、更年期障害にもよく、胃腸のはたらきも高めます。下痢便秘にも。
ツボはご自分で触ってみて、ひびく感じがあるところを、ぐーっと息を吐きながらゆっくり押します。約5秒。
お灸、ドライヤー、つまようじなどをつかっても(やりすぎに氣をつけてね)
リラックスして押してください。
「脾」のはたらきを高める漢方薬
おすすめの漢方薬
○半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
漢方の精神安定剤として有名ですが、のどのつまり、不安感、逆流性胃腸炎などに。
蘇葉(紫蘇の葉)が配合されていて、紫蘇がお好きな方に、よく処方します。
○ 香蘇散(こうそさん)
胃が弱く、神経質。
氣が不足しがちで、不眠、不安感などにも。
こちらも蘇葉が配合されています。
○六君子湯(りっくんしとう)
胃腸のはたらきが落ち、食欲不振・もたれ・吐き気・貧血・疲れなどにも。
○桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
動悸・不眠・緊張があり、胃腸が弱く、不安感など。
「うつうつ」や「くよくよ」がいつのまにか「あ、最近ないかも^_^」
そんな感じに、いつのまにか手放せるように
きっとなります^_^
未来(心配)うつうつと
過去(後悔)くよくよに
自分のエネルギー〈氣〉をつかわず
〈今〉につかっていきましょうね!
注:漢方薬については
漢方専門の医師や漢方薬剤師
漢方アドバイザーなどにご相談・
カウンセリングの上お飲みください。
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