一人で対処することが難しい[うつ]は、無理せず病院へ行くことがおすすめです。
寺内公一さん Masakazu Terauchi
1994年、東京医科歯科大学医学部卒業。2003年、医学博士。
’05 年、米国エモリー大学リサーチフェロー。
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科女性健康医学講座教授
[うつ]
自分で何とかしようと思わない
自分で対処できることには限界があります。よく「ストレスをためないようにしましょう」などと言いますが、それができたら苦労はしませんよね。いちばんよくないのは、自分で何とかしようとすること。「具合が悪い」「落ち込んでやる気が出ない」というときに、一人で対処しようとすること自体に無理があります。つらいときは、まず病院へ。(寺内先生)
更年期のうつ治療が得意な婦人科にかかる
患者さんに「私は更年期のうつですか? 精神的なほうのうつですか?」と聞かれることがあります。明確に区別することは難しいですが、婦人科でも抗うつ薬や睡眠薬は出せますし、HRT(ホルモン補充療法)や漢方薬を使うこともできます。例えばHRTをすることで、精神科の薬を減らしていけるケースもあるので、まずは更年期治療を得意とする婦人科で相談することをおすすめします。(寺内先生)
イラスト/坂田優子
[睡眠障害]
更年期の「眠れない」はふたつある
更年期の不眠は大きくふたつに分けられます。ひとつは「ほてりやのぼせ、寝汗がひどくて眠れない」というケース。これらは血管運動神経症状によるもので、症状を改善することで睡眠の質もよくなります。もうひとつは「気持ちが落ち込む」など、うつと密接にかかわっているケース。こちらは少し時間がかかりますが、HRTと睡眠薬を併用する治療などもあるので、まずは婦人科に相談してみてください。またもうひとつ、脚に違和感があって眠れない「むずむず脚症候群」もありますが、こちらは有効な治療薬があるのでご相談を。(寺内先生)
体の不調には対処薬がある
つらい症状で悶々としているくらいなら、婦人科の専門医に相談しましょう。医師と話して問題を整理してみるだけでも、かなり視界が開けてくるはずです。逆に避けたいのは、インターネットの不確かな情報に振り回されること。特に更年期症状のような命にかかわらない不調の場合、ネットに書かれていることをうのみにする人が非常に多いです。がんや心臓病だけが病気ではありません。QOLを下げる症状があるなら、ぜひ医師に相談してください。(寺内先生)
次回は、骨粗しょう症などに代表される[骨]に関するトラブルについてご紹介します。
撮影/伊島 薫 ヘア&メイク/Yoboon モデ ル/田村翔子 スタイリスト/安野ともこ(CORAZON) 取材・原文/上田恵子