GSMや骨盤底障害に気がついた場合、クリニックではどんなことができるのでしょう? 八田真理子先生の婦人科クリニック「ジュノ・ヴェスタ クリニック八田」で実際に行われている改善・治療法がこちら。
お話を伺ったのは
八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1990年、聖マリアンナ医科大学医学部卒業。順天堂大学、千葉大学、松戸市立病院を経て、98年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。
GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)や骨盤底障害に早くから注目し、クリニックでは腟まわりのレーザー治療「モナリザタッチ」にも積極的。オリジナルのデリケートゾーンケアジェルの開発も。幅広い世代の女性の診療を行い、クリニックはいつも女性でいっぱい。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)など。ホームページはコチラ
腟の治療機器で、潤いと引き締めを
顔のたるみ用を腟に活用した機器は、大きくは2種類。ひとつは炭酸ガスレーザーを腟表面と外陰部に照射して、潤いを与え、腟萎縮やニオイを改善する「モナリザタッチ」など。もうひとつは腟の1.5~3.5㎜の深さに超音波を当てて腟を引き締める「ビーナスハイフ」などで、尿もれや子宮脱初期の改善が期待できます。
「モナリザタッチ」は、麻酔クリームを塗り、腟内にプローブを挿入して照射。外陰部にも照射した後、軟膏を塗って保冷剤で冷やして終了。全工程でも10分ほど。
弾力がなく萎縮してペラペラな腟粘膜に、レーザーを照射することでコラーゲンが生成され、ふっくら豊かな腟によみがえっていきます。
その他のおもな治療
HRT(ホルモン補充療法)
女性ホルモンを薬剤で補う根本治療。飲み薬やパッチ、ジェルなど。
腟錠
HRTの中でも、特に腟に直接挿入するエストリオールなどエストロゲン製剤。
潤滑ゼリー
性交痛対策として。デリケートゾーンに直接塗るタイプのジェル状のエストロゲン剤。
過活動膀胱治療薬
頻尿や尿もれの症状に、膀胱の異常収縮を抑えたり膀胱を広げる作用も。
トレーニング指導
骨盤底筋トレーニングの指導。特に尿トラブルがある人向けに。
専用ジェル・オイル
腟まわりの保湿や腟内フローラのための、デリケートゾーン専用ジェルやオイル。
ホルモン含有クリーム
医薬品ではないが、エストロゲン(女性ホルモン)のほか、テストステロン(男性ホルモン)クリームも。
サプリメント
がんなどのためにHRTが受けられない人には、エクオール(更年期の不調改善、婦人科で可能な対応って?/不調コントロールのためにできること③参照)などのサプリメントも。
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/蓮見則子