ライブ会場としての日本武道館
「ライブハウス武道館へようこそ!」というのは、1986年、BOØWY(ボウイ)初の日本武道館公演で、曲の間奏中に氷室京介さんが発したロックの名言。
私もさまざまな場所でライブを観ていますが、確かに武道館ってライブハウス感があるなと思っています。
特に最近は、アリーナツアーだドームツアーだと、人気アーティストのライブ会場がどんどん大きくなっている中、約1万人収容の武道館だと、もはや小さいぐらいの感覚に。
八角形のすり鉢状で傾斜も急なため、わりとどの席からもステージが近くて観やすい。実際に、アリーナはブロック別のオールスタンディングにして、ライブハウスのように使っていたロックバンドもいました。
そんな武道館に久々に行った9月19日。
目的はこちら、9mm Parabellum Bullet(キューミリ パラベラム バレット)です。
拳銃用の弾薬として広く普及している9mmパラベラム弾だなんて、物騒なバンド名ですね。
シンプルなステージに、唯一掲げられるバックドロップ(背景幕)のビジュアルは、両手に拳銃を持った双頭の鷲だったりします。
メンバーは、写真右からギターの滝 善充さん、ボーカル&ギターの菅原卓郎さん、ドラムのかみじょうちひろさん、ベースの中村和彦さんの4人。
この写真ではよくわからないと思いますが、菅原さんは『ミステリと言う勿れ』の主人公・久能 整(くのう ととのう)君ばりの天然パーマで、スラリとした体型。
少し鼻にかかったような個性的な声なんだけど、歯切れが良くて明瞭で、張りも伸びもある。独特な色気を感じさせるバンドマンだなと思います。
9mm Parabellum Bulletって?
彼らは2004年に横浜の大学で出会ってバンドを結成し、2007年にメジャーデビュー。
バンド名に9がつくことから、9の数字にこだわりを持ち、2009年9月9日には初の武道館公演を成功させました。
結成19周年である今年は、「19th Anniversary Tour」として毎月9日と19日には必ずライブかYouTube配信を行っています。
そして今回の武道館公演は前回の2014年から9年ぶりというオマケ付き。
お祝いの花もたくさん届いていましたよ。
ちなみに2014年の武道館は2月7、8日の2DAYSで、1曲の被りもなく2日間で58曲を演奏するというスペシャルな企画でした。
しかも2日目は都心でも積雪量27センチという45年ぶりの大雪に見舞われ、伝説のライブとなっています。(私、2日とも行きました・・)。
今回は「9mm結成19周年、9月19日、9年ぶりの武道館」と、ネタとしては面白いのですが、冷静に考えると三連休明けの平日火曜日の夜。「行きたいけど無理~(泣)」という方もきっと多かったことでしょう。
残念ながら満員にはならず・・でしたが、それでも集まった観客がサイドのスタンド席や2階席の後ろまでバランス良くいて(私は正面南スタンド2階の真ん中あたり。もっと前でも観られるやん、といったことは言いっこなしです)、会場全体が熱気に包まれるという状態を十分に体感しました。
デビューアルバム『Termination』や、いちばん聴いたかもしれない2ndアルバム『VAMPIRE』は関係者用のサンプルCDをいただいたりしたので、この写真には入れませんでしたが、実はデビューの頃からずっと好き。
彼らの音楽の何が魅力かというと、パンクやメタル、ハードコアなど、さまざまなロックの要素を取り入れた激しいサウンドの中に、絶妙に取り入れられているメロディアスな昭和の歌謡曲風味。
哀愁を感じさせるマイナーコードな曲が多く、菅原さんの歌声とも相まって、どこか懐かしい感じがするのです。
作曲は、ほとんどがギターの滝さんによるものなのですが、ワルツやロシア民謡の要素を取り入れたり、キャッチーなギターリフで遊んだり、その柔軟な音楽性には感心します。
さらに作詞を担当する菅原さんは、読書家なだけあって(村上春樹が好きらしい)、歌詞の物語性や、独特な比喩や硬派な言葉選びなどもカッコイイなぁと思うのです。
速弾きと超絶技巧で暴れまくる滝さん、腰より低い位置にセットしたマイクに向かって時折メタル的なシャウトをするベースの中村さん、2つのバスドラムを両足で連打するドラムのかみじょうさん。
最初にライブを観たときは、「いや、そんなにギターやベースを振り回さんでも・・。落ち着いて演奏してくれてもええんやで(なぜかエセ関西弁)」と、おばさん、ちょっと引いてしまいましたが、曲は好きなので、やっぱり楽しい。
彼らの定番曲『Black Market Blues』の、腕振り上げからのハンドクラップも、やっぱり楽しい。
結果、ライブ通いは続き、高速爆音の中で菅原さんの声に乗せられ、踊りまくるのでした。
個人的なお宝です
ライブの中盤で、かみじょうさんのドラムソロが披露されて思い出したのですが、私、2022年9月のZepp Nagoya公演で、終演後、客席に投げ込まれたドラムスティックをゲットしたことがあります。
薄れてますが、9mmのロゴとChihiro Kamijoの文字もちゃんと入っています。
今にも折れそうで、いかに激しいドラミングかがわかりますね。
今回の武道館では、曲と曲の間を新しいアレンジで繋いでノンストップで演奏する「激つなぎ」もあり、ますますスピードアップ。
サポートギターの2人を呼び込み、4本のギターが絡み合う圧巻のアンコール3曲を含め、全27曲。
実に濃密な時間を過ごすことができました。
大きなスクリーンモニターもなく、本当にライブハウスそのままの熱気と親密性。いやほんと、ライブハウス武道館、楽しかったです!
余談ですが、翌日、会社のメールソフトを立ち上げるために携帯に送られる二段階認証の数字が99で、思わず笑ってしまいました。
推し活って、些細なことにも喜びを与えてくれますね。