世の中が大きく変わりつつある今、おしゃれに対する思いはもっとシンプルでストレートに! そう、今こそ「好き」という気持ちに素直になって、おしゃれしませんか。新鮮でいて取り入れやすく、ワクワクする新提案、ぜひ参考にして。
時代の流れで変化する“好き”に目を向け、ポジティブに装いたい
2020年の春から夏にかけて、多くの人たちは装うことをいったんお休みしました。そして季節は移ろい、冬へと向かう今、一度立ち止まったからこそ湧き上がる思いがあります。
それは“新しい季節は、やっぱり好きな服を着て過ごしたい”という気持ち。大人の女性が憧れるおしゃれを実践する黒田知永子さんは、どう思っているのでしょうか。
「あの頃に比べれば、外出の機会は多くなりましたね。せっかく出かけるのなら新しいものを何か少しだけでも身につけたいという思いと、まだあれもこれもという気持ちにはなれないという、ふたつの思いがせめぎ合っています。
でも、そんな中でもしみじみ思うのは、私って本当に服が好きなんだなということ」
改めて気づいた、“服が好き”という気持ち。その思いを踏まえてこの冬、どんなおしゃれがしたいですか?
「冬のおしゃれの主役といえば、やっぱりコートとニット。そして今は“ちょっとだけ大きめなシルエット”が気分です。大きめが苦手という人はまず、いつものワンサイズ上を着てみて。
大事なのは、自分が見慣れること。新しい口紅に見慣れないうちは落ち着かないのと同じですね。大きめサイズを着た自分もいつもとまた違って見えて、新しいファッションが楽しめるはず」
「見るとどんどん欲しくなる猫Tシャツとトリコロールのニット。袖口かわい~」。TシャツはParatiisi(パラティッシ)、ニットはトム ブラウン。
定番アイテムでも、やや大きめに作られている今。これは大人にとってうれしい流れ。その一方で、いくらおしゃれでも今は“頑張っている”コーディネートはあまりしたくない、と黒田知永子さん。
「この先、何もかもが前と同じになることはないだろう、と思うと、シルクのワンピースや、以前はお呼ばれ用に買っていた華やかなブラウスは、それほど欲しくなくなって。それよりもっとラクな気持ちで着られて、ちょっと素敵なもの。ハイエンドはいらないけれど、ファストファッションもちょっと…。その真ん中くらいに位置する服がそろっているといいのかなって。
たとえるなら、カジュアル部門の“松・竹・梅”(笑)。先が見えにくい今だからこそ、自分の気持ちに寄り添うおしゃれがしたいですね」
不完全燃焼に終わった春夏を乗り越えた今、自分軸で選んだ“好きな服”で、前向きにおしゃれを楽しみましょう。
黒田知永子さん Chieko Kuroda
1961年生まれ。学生時代に「JJ」でモデルデビュー。その後「VERY」「STORY」「éclat」の表紙キャラクターを務め、女性誌やカタログなどで活躍中。単行本『CHICO MY FAVORITES』(小社刊)VOL.1~3も好評。この秋冬、公私ともに親交の深いユニットブランドyunahica(ユナヒカ)とのコラボレーションyunahica×chieko(ユナヒカチエコ)でデニムとニットジレを発売。完売が続くほど人気を呼んでいます。
撮影/浅井佳代子 モデル/黒田知永子 ヘア&メイク/福沢京子 スタイリスト/小倉真希 取材・原文/向井真樹