デビューから25年以上経つ今も、ルックスにあまり変化を感じさせない風間俊介さん。
俳優として舞台や映像作品に出演する一方で、コメンテーターやMCとしても大活躍。
さらに主演舞台『モンスター』では、かなりの難役に挑むことになる。
八面六臂の活躍の、その活力の源は何?
頭の回転の速さと、スマートなそのたたずまいを支えているものは、いったい何なの?
(風間さんが思う『モンスター』と自身が抱える「闇」についてのインタビュー前編はコチラ)
撮影/富田一也 ヘア&メイク/清家いずみ スタイリスト/手塚陽介 取材・文/岡本麻佑
風間俊介さん
Profile
かざま・しゅんすけ●1983年6月17日生まれ、東京都出身。1997年に芸能活動をスタートし、98年にドラマデビュー。翌年『3年B組金八先生』で日刊スポーツ・ドラマグランプリ最優秀新人賞を受賞。2011年のドラマ『それでも、生きていく』で日本放送映画藝術大賞 優秀助演男優賞などを受賞。俳優として活躍するとともに、朝の情報番組『ZIP!』の月曜パーソナリティや、ハートネットTV『フクチッチ』の司会も務めている。近年の主な出演作に舞台『儚き光のラプソディ』(24)、『隠し砦の三悪人』(23)、映画『先生の白い嘘』(24)、ドラマ『初恋、ざらり』(23)、『たとえあなたを忘れても』(23)、『silent』(22)などがある。
体にいいこと悪いこと、バランスよく(笑)
11月30日から始まる舞台『モンスター』に主演する風間俊介さん。朝の情報番組や連続ドラマ、バラエティ番組など、ただでさえ忙しいのに、今回の舞台ではかなりの難役に挑戦することになる。体調は、どのようにキープしているの?
「僕、健康とか全然気にしてない。何もしていないんです。体を動かすということに積極的になれなくて。
僕が普段やっている仕事は、毎日場所も時間も決まっていない。レギュラー番組は定時ですけど、ロケや収録もあるから、ルーティンワークにはならない。だから習慣的に何かをするということが、それほど得意じゃないのかもしれません」
でも、舞台が始まるとスイッチが入る。
「稽古の時期から本番中、ずっと筋トレをしています。ここ3年ぐらいですが、舞台が始まると、なぜか筋トレ(笑)。
毎日劇場に通うから、そのときだけちょっと習慣性みたいなものを手に入れるチャンスなのかもしれません。だから僕の筋力のためにも年に何回かは舞台をやるべきなんだと思います」
主に鍛えるのは、腹筋。
「腹筋の補助器具を使って、毎日200回くらいですかね。それを見たら『あぁ、やらないと』と思うところに置いてあります。
あまりルックスに変化がないってよく言われるんですけど、さすがにもう40代ですから、お腹まわりだけは贅肉がつくようになりました。でも腹筋ばかりやっているから、背筋が全然足りなくて、バランスが悪いのかもしれないです(笑)」
舞台の上では、その演技力や身体能力だけでなく、滑舌が良くて声が通るのも、舞台俳優としての彼の大きな魅力。
「若い頃はどんなに大きな声で叫んでも、声が枯れるということはなかったので、インナーマッスルみたいなものはもともと備わっていたのかもしれません。
でもその声が近年、枯れることもある。やっぱり年齢とともに何かが足りなくなっているのかもしれないなと思いつつ、何が足りないのか、まだ明確には見つけられていません」
人間ドックもご無沙汰気味。人生で一度だけ健康に不安を感じたのは…。
「6年ぐらい前かな? 『風間さん、栄養失調です』って言われました(笑)。この飽食の時代に、何の自覚症状もなかったから『嘘でしょ?』って。
その後1週間半くらいは気をつけていたと思うけど、また自然と泡のように健康意識は消えてしまいまして…。でも野菜も食べるし、好きなのはステーキや焼き肉なので、タンパク質は十分とっているほうだと思います」
舞台中は、食生活も変化する。
「どうしても、ハイカロリーなものを食べますね。絶対的にエネルギーが必要になるので、体が求めるんだと思う。ついついジャンクフードやファストフードが多くなります」
もちろん、体のためにはバランスの良い食事がマスト、と知ってはいるけれど。
「これは僕の持論なんですけど、体に良いものにも必ずデメリットは存在するし、体に悪いとされているものにもメリットはあるのではないかと思っていて。
だからあまり気にせずに、ジャンクフードを食べているときも“体に悪いものすらエネルギーに変えている自分”に酔いしれていますね(笑)」
人間に光と陰があるように、食べ物にもメリットとデメリットが混在する。薬は毒にもなり、毒は薬にもなる。なんか、舞台『モンスター』と構造的には同じような。
では、体に絶対必要だと思われる睡眠については?
「基本、夜型人間なんです。朝の番組をやっていて言うことじゃないですけど、全然夜型です。調べものをするのが好きで、ネットであれこれ調べていると、どうしても睡眠時間が削られてしまいます。
しかも20歳くらいから、椅子で寝られなくなってしまったんですよ。この仕事をしていると、移動時間とか椅子で寝るのって必須科目だと思うんですけど、もう徹底的に、ベッドじゃないと寝られない。
逆に言うと、ベッドだったら、体を横にすればどこでも寝られるので、寝たいのに寝られないという経験はそんなにないですね」
ハードワークをどうやって乗り越えているのかというと。
「そういう時は、楽しんでます。日本にいるのに時差ぼけ状態のときとか、感覚がズレてしまうときとか、ちょっと面白いじゃないですか。
基本的に、大変なことに対峙しているときこそユーモアを発揮できるのが人の強さだと思うので。不規則な生活で大変だなと思ったら、その中でやっている自分を楽しんでしまおう、と。
日常生活にユーモアを足せる人、ハードな場面でもちょっとそれを揶揄したりして、ウィットに富んだ感性で過ごすことができる人って、カッコいい! すごい!と思うので、そうなりたいなと思っています」
突き進む先に、目指しているのは。
「目標を定めると、進むべき道は一本道になって、目的地まで最短距離で行ける。それは素晴らしいことだと思うんですけど、僕は目標を掲げたくないです。
自分がどこにたどりつくのかわからないまま、いろいろな人たちに出会うことによって寄り道をしながら前に進んで、最後に『ああ、こういう景色の場所にたどりついたんだ』って、思いたい。どんな景色が見えるのか、わからないままでいたいなと思います」
インタビュー時間の終了をスタッフに告げられ、立ち上がりながら、風間さんはこう言った。
「すみません、なんか、健康について何もしていないから、あまり役に立つことが言えなくて。大丈夫ですか?」
いえいえ、楽しいお話を十分いただきました!
「体ネタといえば…。僕、扁平足なんですよ。扁平足の人は、そうじゃない人に比べて歩くのが疲れるっていわれるけど、ほかの人になったことがないから、わからないです。はい、扁平足で頑張っています(笑)」
『モンスター』
華やかな職場から逃れ、深い問題を抱えて再出発を目指す新人教師のトム。彼の目の前に現れたのは、家族から十分な愛情を受けられず、問題児として扱われる生徒ダリルだった。ふたりの対話から、各々が抱える闇が見えてくる。未成年の反社会的な行動の背景には大人の責任があるのか、教育や家族の果たすべき責任とは? 劇作家ダンカン・マクミランが2005年に執筆し、英国演劇界で頭角を現すきっかけとなった戯曲で、マクミランは今や英国を代表する劇作家になっている。
出演:風間俊介 松岡広大 笠松はる 那須佐代子
【大阪公演】松下IMPホール 2024 年11月30日(土)、12月1日(日)
【水戸公演】水戸芸術館ACM劇場 2024年12月7日(土)、8日(日)
【福岡公演】福岡市立南市民センター 文化ホール 2024年12月14日(土)
【東京公演】新国立劇場 小劇場 2024年12月18日(水)~28日(土)