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フィンランドウイスキーとジェラートで夏を楽しもう!

新谷麻佐子

新谷麻佐子

あらたに・あさこ●イラストレーター&編集者。2014年にムーミンの作者トーベ・ヤンソンが暮らした島「クルーヴハル」に、友人でライターの内山さつきと1週間滞在したのをきっかけに、kukkameri(クッカメリ=フィンランド語で「花の海」の意) を結成。以後、フィンランドの小さな町や四季、暮らしと文化をテーマに取材を続けている。著書に『とっておきのフィンランド』『フィンランドでかなえる100の夢』(ともにダイヤモンド社)がある。http://kukkameri.com

フィンランドウイスキーの飲み比べ、自家製ジェラートを都内で味わえる

 

夏ですね。6月は、日本でも北欧の夏至祭があちこちで開催されていたようで、私も埼玉県飯能市にある「メッツァビレッジ」の夏至祭に行ってきました。

 

ザリガニ料理を食べたり、みんなでかがり火を見つめたり。楽しい企画が目白押しの中で、個人的に驚いたのが、ザリガニパーティーでサーブされていた、フィンランドのウイスキー(下の写真で「SAVU」のラベルが貼ってあるもの)。

 

フィンランドのウィスキー

 

フィンランドのお酒といえば、やっぱりジン。私もフィンランドに行くと、グラスにベリーやハーブを入れた見た目にも爽やかなジントニックや、ジンをグレープフルーツジュースと炭酸で割った「ロンケロ」を飲むことが多かったのです。

 

気になって仕方がないフィンランドウイスキー。都内でフィンランドウイスキーが飲める店があると聞き、訪れました。しかも自家製ジェラートが絶品なのだとか!フィンランドは、アイスクリームの消費量が世界3位と言われますし、最高の組み合わせですね。

 

そのお店とは、四ツ谷にあるカフェバー「ティグラート」。ティグラートは、イタリア語でトラ猫の意味。かつて画家の藤田嗣治がこの土地に住んでいたので、藤田が描く猫にちなんで名づけられたのだそう。メニューには、藤田のメガネと猫をイメージした素敵な写真が。

「ティグラート」メニュー

 

店のディレクターを務めるのは、バーテンダーの髙宮裕輔さん。長年、バーテンダーとして働く中で、女性バーテンダーは、結婚すると夜に働きにくくなるのをもったいなく感じていたそう。そこで、女性が妻や母になっても働きやすい環境をと、2018年にランチタイムからカクテルが飲めるティグラートをオープンしました。

カフェバー「ティグラート」

 

ビール、ワイン、カクテル、コーヒーなど、豊富なドリンクのメニューから、お目当てのフィンランドウイスキーをチョイス。私のようにウイスキー初心者にぴったりなのが、飲み比べセットということで、そちらをオーダーしました。

「ティグラート」_ウィスキー飲み比べ

 

フィンランドの蒸留所「TEERENPELI(テーレンペリ)」のウイスキー「KULO(クロ)」と「SINGLE CASK(シングルカスク)」の20mlずつのセットです(1600円)。

フィンランドのウィスキー2種

 

髙宮さんは、私がウイスキー初心者だというのを知ると「テーレンペリのウイスキーは、まさにウイスキーを勉強してみたい人におすすめ。クセが強くないので入りやすいんです」と教えてくれました。

 

まずはグラスを回して香りを楽しみます。そして一口。「クロ」はほんのりと甘みがあるような?一方の「シングルカスク」は、2021年のフィンランドのウイスキーデーのためにつくられた限定品。スパイシーな風味が特徴なのだそう。確かにシングルカスクの方が個性を感じるかも!

 

飲み比べてみて、私は「クロ」がお気に入りに。蒸留所のテーレンペリの説明によれば、クロは、カラメルやダークチョコレートの香りがあり、クレームブリュレの風味やナッツなどのニュアンスがあるとのこと。まさにジェラートに合いそうですね!

 

私が選んだのは、チョコレートとピスタチオのジェラート(ダブル600円)。

「ティグラート」_ピスタチオとチョコレートのジェラート

 

チョコレートは、濃厚なカカオが口の中いっぱいに広がって、びっくりするほど甘くないので、確かにこれはお酒に合います!ピスタチオのジェラートは、普段から大好物なのですが、今まで食べてきたものとまったく違いました。刻んだピスタチオが入っていて、とにかくフレッシュ。どちらも素材の味をしっかり感じます。

 

それもそのはず、ジェラートは、髙宮さんが農家から直接フルーツを買いつけるなど、新鮮な食材を厳選して作っているから。これぞ本物!と感動しました。この日は残念ながら店頭になかったのですが、ティグラートで人気のゴルゴンゾーラのジェラートもウイスキーによく合うとのこと。

「ティグラート」_ジェラート

 

今回は、フィンランドのウイスキーをチョイスしましたが、髙宮さんはコーヒーのリキュールを使ったカクテルなど、数々の賞をとっている人気バーテンダー。髙宮さんによれば「カクテルを作るのと、ジェラートを作るのは似ていますよ。液体で出すのか、固体で出すのかの違いくらい」とのこと。なるほど。このジェラートを味わったら、髙宮さんが作る他のカクテルも試さずにはいられなくなります。

 

ちなみに、日本で手に入るテーレンペリ蒸留所のウイスキーラインナップはこちら。

テーレンペリ ラインナップ

 

左から、モルトの香ばしさにスモーキーな味わいがおいしい「SAVU(サヴ)」、シェリーの樽で熟成された甘くリッチなフレーバー「KASKI(カスキ)」、フルーティーでほのかに甘く、スモーキーな余韻が続く「PALO(パロ)」、私のお気に入り「KULO(クロ)」、フィンランド圏初の10年熟成シングルモルト「10 YEARS(テン・イヤーズ)」。

 

そして、この夏、日本限定のウイスキー「LAHJA(ラハヤ)」が発売になるそうです。ラハヤとは、フィンランド語で贈り物の意味で、まさにフィンランドから日本への贈り物ですね。

日本限定のウイスキー「LAHJA(ラハヤ)」

 

その味わいはというと、スコットランドのアイラカスクで熟成させるため、潮風を感じるような塩味があるのだそう。そしてスモークの香りも(ウイスキー初心者には、スコットランドの樽を使うのも知らなかったので、そういう話を聞くのもとても楽しいです)。

 

なんでもジャケ買いしてしまう私としては、素敵なラベルからも目が離せません!フィンランドを代表する画家、アクセリ・ガッレン=カッレラの描いた作品「Lake View」(1901年)が使われています。フィンランドの湖を訪れたことがある人なら誰もが知っているこの美しい空と湖の景色。うっとりとラベルを見つめながらの1杯。きっと最高ですね。

 

ちなみにフィンランドのウイスキー蒸留所は4つしかなく、そのうちシングルモルト(大麦麦芽のみで作ること)にこだわって作っているのは、テーレンペリだけなのだそう。

 

テーレンペリ蒸留所は、ヘルシンキから北東に100kmのところに位置するラハティにあります。地元で育った大麦を原材料とし、氷河期の地層を通って濾過されたピュアな水を使って作るからこそ、おいしいウイスキーができるのだそう。

 

また、もともと家具の製造が盛んだったラハティは、木材の街。テーレンペリでは、蒸留所にほど近い製材所から出た端材を使って、お湯を沸かし、ウイスキーを蒸留しているとのこと。フィンランドに行くと、日々の暮らしの中にサステナビリティの精神が根づいているのがよくわかるのですが、ラハティの人たちも意識の高さがうかがえます。実際、2021年は環境モデル都市になり、ヨーロッパ各地からたくさんの人が視察に訪れたそう。フィンランドのウイスキー造りを通して、ラハティの街にも興味が湧きました。次回フィンランドに行くときは、ぜひ訪れようと思います。

 

テーレンペリのウイスキーを飲んでみたいという方、以下のお店で取り扱いがあります!
リカーズハセガワ本店(東京駅八重洲地下街)
オンラインショップはこちらから

 

なお、埼玉県飯能市のメッツァビレッジで開催される「メッツァ ビアガーデン」でも、テーレンペリのウイスキーが飲めますよ! 夏の花火の夜限定です。7月22日から毎週土曜日、5週にわたって開催。スウェーデンの夏の味、ザリガニプレートも一緒にぜひどうぞ。https://metsa-hanno.com/news/press_release/27202/

 

冒頭で紹介した、ジェラートもおいしいカフェバー
TIGRATO(ティグラート)
東京都千代田区六番町13-6 ASビル1階
営業時間:月〜土 12:00〜22:00、祝日14:00〜18:00、日曜休み

 

新谷麻佐子さんの北欧旅連載

『今人気の田園ツーリズム。フィンランド、ラトビア、エストニアに行ってきました!』

 

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