♦これは本当に「今の私」が好きなモノ、必要としているモノ? 大切なのは「自分軸」で考えること
断捨離はモノを厳選し、手放す作業の連続。今の自分にとって不要・不適・不快なモノを取り除き、未来に連れていきたいモノだけを残していきます。その際大切なのは「私がどうしたいか」という「自分軸」で考えること。
「高かったから」「いただきものを捨てたらひんしゅくを買いそうだから」という世間の常識や他者の目といった「他人軸」、「まだ使えるから」という「モノ軸」で考えるのはやめにしましょう。
値段が安くても自分が好きなモノなら残して使えばいいですし、ブランド品やいただきものでも使いたいと思わなければ手放すのが断捨離です。(柳井尚子さん)
実家から贈られたひな人形は、女雛と男雛以外はすべて処分。「出し入れが面倒で、10年近く飾っていなかったのです。自分が飾りやすいように、今私が欲しいものだけを残しました」
♦モノを手放せば、いらない思考も手放せる
「〇〇なら~すべき」「よき妻・よき母・よき嫁は~してはいけない」「自分さえ我慢すれば」。このような考え方にとらわれている人はいませんか?
断捨離はモノを通して自分と向き合い、モノと自分との関係性を俯瞰して見る作業の連続です。その取捨選択のプロセスを繰り返すうちに、「私は自分のことを自分で決められるのだ」という自信が生まれ、いらない思考を手放せるように。
「私は〇〇が好き」「私が〇〇したい」と「私」を主語にすることで、自分にとって心地よい状況を作り出せるようになります。(柳井尚子さん)
♦ごきげんは周囲に伝染し、しかも家事もラクになる!
断捨離でモノが少なくなると、家事にとられる時間やエネルギーが大幅に減少。物理的・精神的に余裕ができるため、イライラすることが少なくなります。
機嫌のよさは周囲に伝染するので、家庭の雰囲気が明るくなったり、家族仲がよくなったりといいことずくめ。
と同時に、モノを整頓しやすい量に絞り込むと、出しやすく、しまいやすくなるため、家族も以前ほど散らかさず、自ら片づけるようになるといううれしい変化も起きます。(柳井尚子さん)
整然と並んだ夫婦二人分のカトラリ―。「小さいスプーンは無印良品で購入。シンプルで余計な飾りがないものが好みです」
♦「ネガティブな気持ち=悪いこと」ではなく、ごく当たり前の感情です
「あの人、嫌い」「こんなの許せない」などといった、日常で感じる嫌悪感や不快感、怒り。私たちは日頃から、こういった感情を持つことをよくないことと思いがちです。けれど断捨離では、どちらも自身の感情として向き合い、受け止めることにしています。
怒りを感じたら「今、私は怒っているんだ」、悲しみを感じたら「今、私は悲しいんだ」と自覚する。そしてなぜ怒っているのか、悲しいのかを考察してみるのです。
自分の感情から目をそむけていては、見えるものも見えなくなります。感情に寄り添い、考察して、答えが見えたら、自分自身で選択して行動しましょう。(柳井尚子さん)
♦悩んでいるなら一度やめてみる
断捨離は、不要なモノをひとつ捨てるところから始まります。けれど、向き合うのはモノだけではありません。なんとなく続いているコト・ヒトとの関係、例えば、だんだん負担になってきているお中元やお歳暮などの贈り物や年賀状、通っていないスポーツジム…。
これらの関係や習慣が本当に必要かどうか悩んでいるなら、一度やめてみませんか? 贈り物をやめたことで切れる縁ならそれまでですし、ジムも行きたくなったらまた入会すればいいのです。(柳井尚子さん)
【お話を伺った方】
大分県生まれ。22歳で保健師として大分市役所に入職。25歳で結婚、40歳まで専業主婦に。二女の子育てが一段落した40歳のとき仕事に復帰。働きながら学び、50歳のときには保育士の資格も取得。51歳で断捨離と出会い、53歳で断捨離トレーナーになる
※断捨離はやましたひでこさんの登録商標です
写真/本人提供 取材・原文/上田恵子