夫婦ともに在宅勤務なのに、夫が家のことを一切してくれない――。仕事や子育てで多忙だった頃には見て見ぬフリをしていたけれど、OurAge世代になるとそうもいかなくなってくるのが「夫のこと」。長年一緒に暮らしてきた相手だからこその愛憎劇。老後まで仲良く一緒に暮らすにはどうしたらいいのでしょうか?
Q 家事をしない夫にモヤッとします
コロナの影響で夫婦ともに在宅勤務になりましたが、夫が家のことを一切しないので腹が立っています。今までは私のほうが帰宅時間が早かったので仕方ないと思っていましたが、今は通勤もなく、平等に働いているはずなのに。
以前は疲れた日などに外食することもありましたが、今は自炊中心なので、私の家事の負担も増えています。(45歳・公務員)
お悩みに答えてくれる人生賢者は
水島広子さん
Hiroko Mizushima
精神科医。対人関係療法専門クリニック院長。元衆議院議員。日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。『女子の人間関係』など著書多数
A 「お願いプラス褒める」作戦で、ミッションコンプリート!
ウィズコロナの時代らしいお悩みですね。理屈で考えれば「夫も通勤時間がないんだから、その間に家事ができるよね」という話ですが、「これまでしてこなかった人が家事をする」というのは、実は結構ハードルが高い。
誰でもそうですが、これまでやってこなかったことを急に習慣にしろと言われても、適応するのは大変です。
だからまずは適応のハードルを下げることが大事です。食事中に「おしょうゆ取って」くらいの些細なことから始めて、「ごめん、これからリモート会議だから皿洗い、お願いしてもいい?」などと少しずつハードルを上げていく。
実は男性は“課題達成型”で、課題を与えられ、それが「できた!」というところに喜びを感じる人が多いんです。だからお願いされたことは、わりとちゃんとやってくれるはずです。
さらに男性は、自分がその課題を「ちゃんとこなせたか」にすごく敏感なので、やってくれたことに対しては「ありがとう!」「私が洗うよりお皿ぴかぴかじゃない!?」と、大げさなくらい褒めることが大事です。「えーっ! そこまでやらなきゃいけないの!?」と頭にくる女性もいるでしょうね(笑)。
もちろん本当は「やって当然」ですが、そういう態度をとると、夫は「本来やるべき仕事を自分ができてなかった」と突きつけられた気がして、かたくなになったり攻撃的になったり、元気がなくなったりします。
男性が女性の不機嫌をすごく嫌うのは、自分がちゃんとできていない証拠のように感じるからなんです。
勝ち負けではないですが、結果として夫に家事をやらせることができたら作戦成功。だから面倒でも男女の違いを理解して、「実」を取りましょう。きっぱり割りきって「実」を取りに行く計算高さも、女性ならではの長所です。
イラスト/坂本奈緒 取材・原文/佐藤裕美、本誌編集部