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【西村宏堂の言葉】多様性っていうけれど、同じ人はいないんだから、 人が二人いたら多様じゃない?

僧侶にしてLGBTQ活動家、そしてアーティストとして、世界的に活躍する西村宏堂さん。迷える更年期世代に贈る“自分らしく生きる”ためのメッセージとは?今回は「LGBTQであることを両親にカミングアウトしたときのこと」「西村さんが考える多様性とは」について。

私の父は仏教学者で、母はピアニストです。両親ともに柔軟な考えの持ち主で、これまでに親の考えを押しつけられたことはありません。「こうちゃん、女の子よ」と言って、幼いころの私が母のワンピースを着て遊んだときの写真が今も残っています。でも、成長するにつれて、「私のセクシャリティ(性自認)を知られたら、両親ががっかりするんじゃないか?」「私は見捨てられてしまうんじゃないか?」という考えに縛られていきました。

スペインのLGBTQの仲間が自分のセクシュアリティを隠さない姿を見て、びっくり仰天!

 

かたくなになっていた私の心が解放されたのは、スペイン人の親友がオープンに生きている姿を見て心が動いたからです。スペインの親友チェチに会いに行ったときには、彼のお母さんが「息子がゲイであること」を知っていて、衝撃を受けました。しかもチェチが「今夜はゲイクラブに行ってくる。帰りは明日の朝だよ」って。すると彼のお母さんは息子の彼氏と私の分も、3人分の生ハムのサンドイッチを作って持たせてくれたんですよ!親とこんなオープンな関係を築けるなんて!とびっくり。

 

さらに私を勇気づけたのが、世界中のLGBTQの人たちが集まるニューヨークの「プライド・パレード」です。Appleなどの企業がパレードに参加していたのも驚きだったけど、私がいちばん感動したのは、大好きなディズニーのフロートが「すべての家族を応援しています」(Celebrating All Families)というメッセージを掲げていたこと。子ども時代から大好きだったディズニープリンセスたちも、LGBTQの人たちを応援してくれているんです!

 

日本で暮らしていたころは「同性愛者であることを周囲に知られてはいけない」と思い込んでいたけれど、私は変わりたい!正々堂々と生きていこうと決めました

LGBTQ活動家、僧侶、メイクアップアーティスト西村宏堂さん

©Munemasa Takahashi

両親にカミングアウトしてからは、いつも頭の上にかかっていた蜘蛛の巣がとれた!

 

「自分は同性愛者である」と告げたとき、私はドキドキしながら両親のリアクションを待ちました。すると、「こうちゃんが『男の子と遊ぶのが嫌い』と言っていた理由が、ようやく納得できたわ」(母)、「わかった。宏堂が好きなようにしたらいい」(父)と、受け入れてくれたのです。

 

実は父は、私が高校生だったころに気づいていたらしく、「将来的に息子がセクシャリティを理由に不当な解雇を受けたりしないか、つらい思いをしないだろうか」「仏教のコミュニティで受け入れてもらえるだろうか」と心配していたのだそうです。

 

一方、母は「自分の育て方が悪いんじゃないだろうか」「性同一障害かもしれない」と悩み、精神科や教育センターに相談に通っていたそうです。当時は私もつらい思いをしていたけれど、両親も葛藤し、親子でお互いを心配していたのだとわかりました。

 

両親にカミングアウトする前には「この話はしちゃいけないな」と、バレないように気を使い、常に頭の上には蜘蛛の巣がはっているような日々。でも、カミングアウトしてからは本当に生きやすくなりました。今では、新聞にLGBTQ関連の記事を見つけた父が、何気なくテーブルに置いて私に知らせてくれたり、母には「イベントでこんな相談を受けたのよ」などと伝えたり、情報を共有できるようになったんです。

 

これも18歳から暮らしたアメリカで、LGBTQの仲間たちと出会うことができたおかげ。でも、そんな海外体験がなくてもカミングアウトできる人が増えるとよいと思っています。日本ではまだまだLGBTQが受け入れられていませんよね。「家族に心配させたくないから言えない」とか「今後も周囲に言うつもりはない」という人たちが多く、なんだか複雑な気持ちがします。

 

多様性とは、それぞれの人が違う考えを持って生きていくのを尊重すること

 

今年初めて、「東京レインボーパレード」の前日に渋谷で、男性同士が手をつないで歩く姿を見たときはうれしかった!アメリカやヨーロッパではよく目にする光景ですが、日本の場合、それが当たり前としてとらえられていないのは残念です。

 

アメリカやヨーロッパでは国から国へと多くの人が行き来して、人々の肌の色も言語も宗教も違う。さまざまな人たちが共存し、さまざまなライフスタイルがあります。そういう文化が「多様性」を尊重する力になっているのかもしれませんね。

 

LGBTQのシンボルであるレインボーカラーは、「さまざまなセクシャリティを尊重する」という意味合いで知られています。でも、LGBTQに限らず、人にはさまざまな「色」があり、性格やセクシャリティ、可能性など、すべてが異なると思うんです。100人いたら100通り。100人のお坊さんがいたとして、一見、みんな同じように見えるかもしれないけれど、中身はみんな違うんです。それぞれが「個」として見ることがすごく大事。

 

そもそも言語が一緒だろうが、習慣が一緒だろうが、考えていることはみんな違うわけだから、それもまた「多様性」。つまり、多様性というのは、「それぞれの人が違う考えを持って生きていくのを尊重すること」かなと思うんです。そして、同じ人は1人としていません。人が2人いれば、すでにそれは「多様」といえるんじゃないでしょうか。

 

例えば、「母親として」とか「女性として」など、実体のないものに当てはめるのではなく、自分がどのように生きていきたいのか?「自分の色を求めていく」というのが、自由な生き方なんじゃないかなって、私は思います。

 

私自身、型に押し込まれるのが息苦しくて嫌だったから。そして「型にはめられるのがつらい」と思っている人がいることがわかっているから、私に似ている人を応援していきたいと思っています。

 

 

お話をうかがったのは

西村宏堂
西村宏堂さん
僧侶
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1989年生まれ。ニューヨークのパーソンズ美術大学卒業後、アメリカを拠点にメイクアップアーティストとして活動。ミス・ユニバース世界大会などでメイクを担当する。2015年、修行を経て浄土宗僧侶となり、現在は、僧侶であり、メイクアップアーティストであり、LGBTQでもある独自の視点から「性別も人種も関係はなく、人は皆平等」というメッセージを発信。著書に「正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ」(サンマーク出版)

 

 

 

 

■Youtubeで、西村さんの講話を見ることができます。

全日本仏教青年会全国大会2022特別講演:西村宏堂「本当の多様性ってなんだろう?」
全日本仏教青年会全国大会2022特別講演:西村宏堂「欲は″良くない″って本当?」
全日本仏教青年会全国大会2022特別講演:西村宏堂「イライラしても慈悲の心を持つヒント」

 

取材・文/大石久恵

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