こんにちは小野アムスデン道子です。娘が高校に入学するのを機にダンナのホームタウンであるポートランドに移転し、トラベルジャーナリストである私が日米を行き来しています。
ご存知のようにコロナによって、今は飛行機への搭乗や帰国時にも72時間以内の陰性証明書が必要となり、帰国後は14日間の待機が必要。それでも、アメリカでは光明が見え始めたかなと思うのは、やはりワクチン接種が進んできたことが理由です。
街の真ん中に流れる川で東西に、街を横切るバーンサイドという大きな道路で南北に分かれるポートランド。私はサウスウエスト側に住んでいて、よく例えでいうのですが「丸の内のようなダウンタウンから車で15分も走ればそこは軽井沢」という感じで、家の周りにも森に囲まれている住宅地があります。
車で10分も行けば、2000ヘクタール(東京ドーム約427個分)の広大な森が広がるフォレストパークがあって、トレイルウォーキングができます。原生林が広がる森の中をお散歩するのは本当に気持ちがいいもの。CDC (米疾病対策センター)が5月13日に、ワクチン接種を完了していればマスク着用や物理的距離の確保も求めないという方針を出し、トレイルでマスクをしている人は、ほぼいません。
ポートランドも振り返れば2020年3月に私の住んでいるエリアもロックダウンになり、飲食店は長らく営業停止。その後、年初から医療従事者や高齢者などから始まったワクチン接種が猛烈な勢いで進みました。車で30分以内にワクチン接種空きが出た場合、オンラインでお知らせが来て、家族は4月にワクチンを接種。
私の第1回目のワクチン接種は5月8日、2回目は6月4日でファイザー社製でした。OHSU(オレゴン健康科学大学)がエリアのワクチン接種を主導していて、オンラインで日付を決めると接種場所や時間の指定が来ます。1回目はOHSU、2回目は空港の広いパーキングスペースでほぼドライブスルーのような感じ。打ち手は、引退後のドクターだったり、トラベルナースと言われるいろんな病院で看護業務をする人だったり。とにかく接種アポイントをオンラインで確認したら、接種のブースに行ってどんどん進みます。接種後はその場で、最低15分を様子を見て問題なければ終了です。
心配していた副反応は、1回目は腕の筋肉痛程度でしたが2回目は夜になって発熱。2日間ほどは腕の腫れ、熱っぽさが抜けなくて心配になりましたが、3日目ぐらいからよくなっていった感じでした。5月には、ワクチンを打たないことにはどこに行くにも心配、逆に言えばワクチンの接種完了していれば安心という風潮が一気に進んだように思います。それまでは、飲食店も屋外営業やテイクアウトのみのところも多かったのですが、2021年の6月30日には知事が規制解除をして、マスク着用なしでバー、レストラン、ジムなどに入ることができるようになったほど。
現在のところオレゴン州全体の60%が第1回の接種、54%が接種完了しています。これは州全体の数字なので、私の実感では都市部のポートランドではもっと接種完了率が高いように思えますが、オレゴン州全体でも公共交通などでのマスク着用以外はコロナ規制は解除されています。
基礎疾患のない60代以下がワクチンを打てるようになってから、3ヶ月ぐらいでドラマティックに変化したように思います。東京都の3倍の人口であるカリフォルニア州でも同様で、この6月には店舗への入場制限がなくなり、ワクチン接種を完了していれば公共交通機関利用時を除いて、マスク着用の義務もなくなっています。アメリカの国内経済活動の再開の鍵は、ワクチン接種だったわけです。
現在、帰国時は空港での手続きや検査に5時間はかかり、さらにデルタ株発生州は3日間の政府指定施設(ホテル)隔離、全部で14日間の待機。さらに今年に入って待機期間中のチェックは厳しくなっていて、毎日位置確認とビデオ電話で確認が入ります。この待機がなくならないと一般に海外旅行を楽しむのはなかなか難しそうだなと思いますが、アメリカのワクチン接種のスピード感と規制解除に希望の光を見るこの頃です。
*原稿内容は2021年7月7日時点の状況にもとづいています。