世界遺産、唯一残る平安の遺構「東寺さん」へ。ご近所アクティビティで「ブラ歴史散歩」を楽しむ
アワエイジ世代なら、きっと何度か訪れている京都。でも、以外に盲点だったと言われるのが、東寺かいわいです。世界遺産にも登録された、平安京の唯一の遺構。弘法市などで馴染みのある人も多いかもですが、その奥行きに触れる機会は意外と少なかったかも? それが今回、4月に開業した「星野リゾート OMO3京都 東寺」では、スタッフの案内による東寺かいわいの町歩きがローカル気分満点で思いのほか楽しいと聞いて、泊まってみる事にしました。
「星野リゾート OMO3京都東寺」が立つのは、JR京都駅の南、タクシーなら約5分の距離。近鉄京都線東寺駅からなら徒歩約2分です。
星野リゾートの中でも新しいブランド「OMO」は、それぞれにテーマを持ち、ホテルから徒歩圏内の“ご近所旅”をサポートしてくれる都市観光型の気軽なホテル。「星野リゾート OMO3京都東寺」のテーマは、スバリ密教を中心とした『仏教』です。
ロビーに入ると、出迎えてくれるのは、東寺の立体曼荼羅を構成する諸仏諸尊を描いた「まんだらアート」。不動明王も帝釈天も、ポップでイカした絵柄で登場。
ホテル正面玄関を入ると、壁一面のまんだらアートがお出迎え。東寺の講堂にある仏像群にちなんでいます
他にもロビーには、砂でできた「写経テーブル」や仏教関連の親しみやすい本に出会える「心柱ブックテーブル」など、「仏教」「仏」との出会いの仕掛けがさまざまに用意され、新しい視点から京都を楽しめそうです。
白い砂で満たした大きなテーブルは、密教の「砂曼荼羅」にヒントを得たという「写経テーブル」。やがては消える砂の上に、備え付けの筆で、好きな文字や言葉、絵を気ままに描くことができます
空海のスゴさを今一度実感する「東寺まんだらさんぽ」
この日は、OMO独特のサービス、ホテルスタッフが旅をアシストしてくれるガイド「OMOレンジャー」さんとともに尋ねる、ご近所アクティビティ(無料!)のひとつ、「東寺まんだらさんぽ」に出かけました。
ご一緒したOMOレンジャーは、八十八ヶ所を一気に歩いて回ったこともあるという、歴史好きの石橋さん。まずは、ホテルから歩いて5分ほどの真言宗総本山・東寺を目指してGo!
京都では、“東寺さん”と呼ばれ親しまれている東寺。毎月21日が定例の弘法市
「東寺は、平安京時代から現代まで唯一残っている、いわば、京都の始まりのお寺なんです」と、石橋さん。
8世紀末、平安京の正門にあたる羅城門の東西に東寺と西寺、二つの寺院が建設されました。国家鎮護の寺として創建された東寺は、その20年後、真言宗の開祖である空海(弘法大師)に託されたそうです。
まずは、歴史のお話から。池には、蓮がぎっしりと広がります。平安京の始めからこの地にあったお寺だと思うと、なんだか不思議にも思えます
「空海さんは、今で言えば、マルチクリエイターな方だったと思いますね」
唐から真言密教を持ち帰り日本に広め、高野山を開山した空海。杖で地面を突くと水が湧き出たなど、超人的な逸話を日本各地に多く残しています。OMOレンジャーは、いわゆる観光ガイドさんとは違って、場所や物語のポイントをダイジェストして、わかりやすく教えてくれるのが、いいところ。
「檜皮葺きの御影堂は、空海さんが修行していたお堂で、信仰の中心です。朝6時から朝参りすることもできますよ」
御影堂には、地元の信者さんが一生懸命に祈る姿も見られます。1200年ほど前から現在まで、変わらず篤い信仰を集めているお寺なのだなあ、と実感します。
他にも、空海が高野山へと出かける際のお話などを聞きながら、寺内をふらり。御影堂の反対側に回ると、いくつもの石碑が並んでいます。
「実は、こちらが、人気のポイントなんですよ」
と石橋さんおすすめなのが、石版を背負った大きな亀の石像。これは、中国の想像上の動物「贔屓(ひいき)」で、万病平易のご利益があるのだとか。万病ぬぐいの布で贔屓をこすり、その布で、さらに自分の体の気になるところをさするのが流儀です。
「贔屓(ひいき)」さんの説明に熱が入る石橋さん。万病ぬぐいの布は東寺で購入
あちらこちらをさすって楽しんでいると、ふと石橋さんが教えてくれました。
「その向こうの門からそっと、空海さんは山に向かわれたと言われていています」
そんなことをこの場で聞くと、なんだかリアルな現場に立ち会ったような気分になって。まさに歴史の現場に立っているんだな、と実感しました。
曼荼羅の世界を広めようと空海が仏像群に作り上げた「立体曼荼羅」は必見! 五重塔、古来の道も楽しい
真言密教の根本道場として発展した東寺は、密教の至宝が数多く伝わる仏教美術の宝庫。
空海は密教の奥義を表した曼荼羅図を、さらに、わかりやすくしようとイノベーション。平面を立体にして、講堂に仏像群からなる「立体曼荼羅」を作りあげました。
折々に図やイラストを使って、難しい密教のことをわかりやすく説明してもらえます。講堂の内部は撮影不可ですが、今説明を受けたそれぞれの像が並んでいて、圧巻
「密教の宇宙が、まさにここにあるんですね。仏像パラダイスです」
OMOレンジャーの石橋さんは、とてもわかりやすくて、なんとなく知っているような気もしていた曼荼羅ですが、その謂れや仏像の立ち位置がわかると、よりふむふむと納得! 諸仏諸尊も身近に感じられてきます。やっぱり、お寺は、ガイドさんと巡るのが楽しい!
東寺と言えば、五重塔。新幹線内からこの塔が見えると、京都に来た!という気になります
東寺の象徴として知られている、こちらも国宝・五重塔も、遠くから、真下からじっくりと眺めました。
五重塔を堪能して帰りがけ、石橋さんがふと、
「すぐそこの石畳の道は、平安時代からそのままである道なんです。幅もそのまま。行ってみますか?」
洛南高校の横を通る道、その向こうには新幹線が通ります。まるで、過去から現代を見通すような京都らしい景色。これはガイドしてもらわないとわかりません。
平安時代からある塔頭・観智院前の通り。左は名門洛南高校なので、朝は制服の高校生でいっぱいの通学路になるのだとか
地元の美味しいものもガイド付きでお買いもの
東寺からそのままふらりと歩いて、案内されたのは菓子司「東寺餅」。1912年創業で、東寺ご用達のお菓子屋さんです。名物は、よもぎ大福と東寺餅。
真っ白でころりと丸い東寺餅は、思わずつまんで1個ペロリと食べたくなります。ふわりとした皮は、求肥にメレンゲを混ぜ込んでいるのだそうです。
ふわふわのやわらかな東寺餅。中は上品な甘みのこし餡。店頭の軒下に下がった美味しそうなお品書きにワクワク!
次は、老舗の佃煮店「あめ久」へ。地元のお客さんだけではなく、関東から訪れたり、全国各地から注文を入れるお客さんも多いとか。
ほのかに店内に香るお醤油の香りに惹かれて、看板商品の「松茸昆布」や「きゃらぶき」などを購入。独特の食感が楽しめる「ししゃもキクラゲ」も、石橋さんのおすすめです。お寺の拝観だけではなくて、ちょっと通なお店へも連れて行ってくれるのがOMOのご近所散歩のいいところ。
「あめ久」店内には、自家製の佃煮類がずらり。ここも東寺のすぐそば。どれも買いたくなって困る!(笑)
おさんぽ途中の路地には、ローカルな雰囲気の銭湯なども発見。マニアックな映画を上映する映画館にも興味津々です。
これで、コースタイムは1時間半ほど。お寺を拝観して、買い物をして。ちょうどいいボリューム感です。しかも、これで料金が無料! というのには、あらためてびっくりです!
「東寺まんだらさんぽ」に参加したことで、あまり知らなかった東寺かいわいが、ぐんと身近になったような気持ちになりました。
急にこのかいわいに興味が湧いて、ホテルに戻ると、壁一面の「ご近所マップ」をチェック。これは、“ご近所旅”を提案するホテルブランドOMOの各ホテルに必ず備わっている、歩いて行けるおすすめの訪問先や、ガイドブックには乗っていないような地元で愛される名店など、スタッフが歩いて見つけた穴場情報がぎっしり載っているオリジナルのマップ。口コミ的な面白さに興味津々です。
扉面(写真右半分)に現代、中面(写真左半分)に平安時代のマップを備え、引き戸を開閉することで時代を切り替えで、東寺エリアの今と昔を楽しめる力作
ちなみに、東寺では、8月6日から9月19日まで「チームラボ 東寺 光の祭 – TOKIOインカラミ」も開催されます。
このエリア再発見に最適な、「星野リゾート OMO3京都東寺」。星野リゾートの中でもOMOブランドは若い人向けな印象でしたが、十分、大人旅にもイケそうです。
客室のインテリアもシックで、どことなく寺院を思わせる色づかいも(部屋により色づかいは変わります)
1日2回開催 所要時間:90分
料金:無料
拝観料等実費は別途要
最小催行人数1名
京都府京都市南区九条蔵王町11-6
全120室
¥4,500〜(2名1室利用の1泊1名料金、食事別)