こんにちは小野アムスデン道子です。ゆっくりと外食するのもなかなか難しい今日この頃。でも、これはぜひ行ってみたいと思ったのが、竹芝にあるホテル「メズム東京、オートグラフコレクション(以下メズム東京)」のレオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」の世界観を表現した『サパー(Supper)』というアフタヌーン・ティーです(2021年10月29日まで。平日15食限定)。
メズム東京が提供する美食と共に芸術の世界も体験できる「アフタヌーン・エキシビジョン」は、これまでもダリの「記憶の固執」や、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」といった名画の世界をアフタヌーンティーで表現。「最後の晩餐」に描かれている12人の弟子とイエス・キリストが、いったいどんな方法で、セイボリーやスイーツになるのか?全体の世界感を表現するのにどんな演出がされるのか?と、期待が膨らんでいたのでした。
メズム東京があるのは、東京の水辺を楽しめる複合施設「ウォーターズ竹芝」。16階のロビーラウンジを訪れると、ベイエリアや浜離宮恩寵庭園を一望する眺めにまず見とれてしまいます。中央にあるグランドピアノは、誰でも自由に演奏してよく、お客様の素晴らしい演奏に驚かされることも。同階のバー&ラウンジ「ウィスク」の予約席に案内されると、イーゼルにアフタヌーン・エキシビジョンのサインボードが飾られていました。
今回のアフタヌーティーは”サパー”と題されているだけあって、最初に「洋梨のモクテルとグリッシーニの生ハム巻き」がアペリティフのように登場します。モクテルは洋梨ピューレとジャスミンティーなどでフルーティ&爽やか、絵筆のようなグリッシーニが香ばしくて、パレット型のお皿にのって出てきたこの2品がハートを鷲掴み。
さて、いよいよ次はイエス・キリストと12人の弟子達を描いた「最後の晩餐」の登場!ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の食堂の壁に描かれた名画。世界遺産になっていて、見学は予約制でなかなか容易ではありません。私は以前に訪れたことがあるのですが、まるで教会の奥でキリストを囲んだ晩餐が繰り広げられているようで、見入ってしまった記憶があります。さて、その晩餐が、大きな箱に囲まれて運ばれてきました。ジャーン!とカーテンが開くかのごとく蓋が持ち上げられ、おおーと驚く13品が並びます。
これまでは絵画の描写をそのまま再現した感じでしたが、今回は登場人物にまつわる伝承やゆかりのある地をスイーツとセイボリーで表現しています。それぞれにストーリーのあるメニューを読みながら、一品一品味わうのはまさに美食体験&エキシビジョンの合体!12人の弟子のプロフィールが込められた中でも印象的ないくつかをご紹介すると…。
イエスから「この中に裏切り者がいる」という衝撃的な発言が飛び出し、ざわつく晩餐。その裏切り者であるユダは、こちらの右から2番目。イエスを銀貨30枚で売り渡したというエピソードにちなみ、銀貨を連想されるクッキーで表されています。濃厚なチョコレートがサンドされていて後を引く味でした。その右横は最後の晩餐には贅沢な1品ですが、聖ペテロのゆかりの地であるローマから話題の伝統菓子マリトッツオ。ブリッシュ生地に挟まれたカスタードと生クリームを合わせた、たっぷりのディプロマットクリームと甘酸っぱいイチゴがおいしい。
左横は、セイボリーのミートパイ。ペトロの弟、ヨハネの弟子のアンデレは、元漁師だったので魚の形に。アンデレが連れてきた少年が持っていた5つのパンと2匹の魚にイエスが感謝の祈りを捧げると、5000人の群衆が満腹になったという奇跡にも着想を得ているそう。サクッとおいしいミートパイでした。
真ん中のイエスの右横は、キリストの死後インド方面で布教をしたトマス。インドのアイスクリームであるクルフィに発想を得て、カルダモンが香るトウモロコシのアイスクリームです。キリストは、やはり「これが私の体である」と弟子に与えたパン。でも、チーズ入りパン・ド・カンパーニュなのでペアリングの赤ワインと合いました。
エピソードにちなみながらも、それぞれが個性のある味で楽しめるようにと、メニューは練りに練ったよう。この「最後の晩餐」は、メズム東京のクリエイティブディレクター、キュリナリーアーティスト、ミクソロジストの力作です。
アフタヌーン・エキシビジョン『サパー』は、メズム東京16階のバー&ラウンジ「ウィスク」にて、2日前の22:00までに予約が必要。一人4,950円(税・サ込み、キャンセル料は7日前より)。人気のアフタヌーンティーなので、早めに予約を入れることをおすすめします。