遠出はちょっと億劫だけど、蒸し暑い夏、ひとときでも気分転換したいもの。虎ノ門の高層ビルの谷間に、緑美しい庭を見るだけでも爽快になれそうな、とっておきのカフェを見つけました！それも、現代陶芸にゆっくりと触れることのできる美術館の併設で、いつもと違う時間の過ごし方ができます。
そんな都心の穴場は、2024年4月20日にリニューアルオープンした「カフェダイニング茶楓 by 温故知新（以下「茶楓」）」。最寄駅は、地下鉄日比谷線の神谷町駅で徒歩約6分、私は歩いて8分ほどの虎ノ門ヒルズ駅から向かいました。高層ビルを仰ぎ見ながら坂を上がっていくと、木立の向こうに白壁が続き、「菊池寛実記念 智美術館」の看板が見えてきます。
敷地内へのアプローチの向こうには、緑豊かな敷地に三角屋根の大正時代の西洋館（国の登録有形文化財）と、白くモダンなビルが立っています。「茶楓」は、このビルの１階に入っていて、全面ガラスに囲まれた店内から西洋館の前に広がる芝生と日本庭園が一望できます。まるで、外の緑と店内が一体となって見える眺めは、ここが都心であることを忘れさせます。
「地域のショーケースを東京に」をコンセプトに、選りすぐった日本各地の素材を使ったカジュアルフレンチ、和の素材を生かした甘味や個性的な日本のクラフト・ドリンクなどが楽しめます。訪れた日のランチセットは、釜揚げしらすの大葉のジェノベーゼパスタがメインのパスタランチ（2,300円）と気まぐれランチ（2,480円）の２種類で、共にサラダ、パン、ドリンク付き。単品での注文もできますし、他に料理の品数が多いコースも２種類あります。
ランチセットでは、まずグリーンサラダとココットに入った前菜が２品、パンとオリーブオイルが出てきて、これだけでもなかなか食べごたえがあります。塩麹につけてじっくり旨味の出た鶏肉のローストも美味しそうでしたが、私はオーダーしたジェノベーゼパスタをおすすめしたい！
ニンニクと玉ねぎを炒めて、白ワインでフランベしてパスタと合わせ、大葉の香る和風ジェノベーゼソースとしらすで仕上げた一品。通常ならバジルと松の実をトッピングしますが、代わりに大葉とオイルのみを使った大葉のピューレを使用。しらすのフレッシュさを引き立てています。パスタは、創業1943年の品川のはしづめ製麺のもの。もちもちのパスタが、このソースに絡んで絶品でした。
ドリンクも、コーヒーには心斎橋焙煎所（大阪市）の自家焙煎コーヒー豆を使ったり、お茶は静岡の富士山まる茂茶園のブレンドや長崎・五島列島のオーガニック・レモングラスティーを、と凝っています。私のおすすめは、自家製クラフトコーラ。クローブ、アニス、ジンジャーパウダーで香り高くフレッシュなコーラに仕立てています。
気軽なカフェダイニングでありながら素材も調理も雰囲気も洗練されていて、庭園を眺めて非日常な気分のランチが楽しめます。
