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女子3人旅で、陶芸の里・笠間(かさま)へ!アート&おいしいもの、そして笠間焼も堪能

山脇りこ

山脇りこ

テレビ、雑誌、WEB、でモダンなエッセンスを加えた家庭料理を伝える。「明日から料理上手」(小学館)など著書多数。最新刊は「きょうの料理ビギナーズ」での連載をまとめた『50歳から始める、大人のレンジ料理』(NHK出版)。
2023年3月に刊行された書下ろし旅エッセイ『50歳からのごきげんひとり旅』(大和書房)は半年で11万部を超えるベストセラーに。台北のガイドブックなど、台湾3部作もある。集英社では、OurAge「鍋・保存袋・ボウル1つで簡単! ONEレシピ 」の連載以外に、『よみタイ』での連載「わたしとふたりで旅をする~京都・大阪・神戸 西の都のものがたり」も開始に。

茨城に何があるっていうんですかー、と思っていた私。いやはや、いろいろありましたー。 第2回は、関東を代表する陶磁器の街、笠間へ。器だけじゃない、眼福&口福な陶芸の里・笠間への旅、書き下ろしエッセイです。

笠間へ、日動コレクションで烏に惚れた

ぐっすり寝た朝、第1回で訪れた「ぱんや ムムス」さんのパンをいただいて、出発!
結城駅を出て常磐線の枝分かれ水戸線で向かったのは、陶芸の里・笠間に近い友部駅。通勤通学の皆さんと共に、50分ほどで到着。

 

笠間駅ではなく、友部駅に降り立ったのは2つの理由から。
ひとつは、常磐線の特急「ひたち」「ときわ」が停まるから。

帰りはこれでびゅーんと1時間ちょっとで東京へ帰れます。
もうひとつが「かさま観光周遊バス」です。
これは友部駅を出発し、「笠間工芸の丘」「茨城県陶芸美術館」「笠間日動美術館」など笠間の主要な見どころを巡っている画期的なバス。
駅のロッカーに荷物を入れて、まずはこれに乗って笠間日動美術館へ。

笠間日動美術館、アート作品に迎えられます。

 

笠間日動美術館、それはかの銀座日動画廊の創設者・長谷川仁氏が郷里である笠間市に1972年につくった美術館です。しかも、え、ここに? あるのかー、と思うような絵画・彫刻が見られる世界水準の美術館(私の感想です)。

銀座の日動画廊といえば、そこで作品が取引される=世界に通じるアーティストの仲間入り、と言われる老舗名画廊。その創設者=画商である稀代の目利きが、“何を自らの手元に残したのか?“ “なぜ売らずに自分のコレクションにしたのか?” それを考えながら見てまわるととても興味深い。

入ってすぐの庭園にもアート作品が並ぶ

 

美術館と言っても、その規模はまるでアートパーク。
企画展示館(この時は、「没後55年 藤田嗣治展 FOUJITA in Paris & Villiers-le-Bâcle」開催中。藤田嗣治の作品を画商として扱ってきたからこそのラインナップ!)、フランス館、日本館、野外彫刻庭園から成ります。

 

 

 

建築も必見、四季折々の庭もすばらしい。

 

所蔵品の中には、ユトリロ、ドガ(好きなんです)、ゴッホ、ピカソ、ルノワール、モネ、アンディ・ウォーホール(現・長谷川徳七館長の奥様を描いたもの。人生にそんな僥倖があるなんて!)、岸田劉生など、名画がずらり。
また画家たちから長谷川さんに送られた、創意に満ちたパレットの展示も圧巻です。

 

パレットが展示された部屋

 

野外彫刻庭園で、私は柳原義達氏の「道標・烏」という作品に、離れ難くなるほど惹かれました。美術館には推しを見つける楽しみもあります。

 

柳原義達氏の「道標・烏」

 

 

行列覚悟の発芽そばへ!

楽しみなお昼! 3人で迷った末、クチコミや茨城在住の知人のおすすめを頼りに、「手打百藝 泰然(てうちひゃくげい たいぜん)」へ。
長野県の蕎麦の名店「手打百藝おお西」(修業が厳しいとよく聞きます)で修業されたご主人が打つ蕎麦を目当てに、県外からも人が来ると評判のお店です。

名物「発芽そば」とは、甘みが増すという発芽させたそばを粗めに石うすで挽いたそば。独特な香りと優しい食感が後をひきます。
こちらに更科そば、田舎そばを組み合わせた「3種そば」をいただきました。

3種のそば、天ぷらもサックサク

 

揚げたての天ぷらもまた美味。中でもまいたけがツボすぎて、まいたけだけを別に注文してしまいました。
天ぷら屋さんとは違う、衣もしっかり味わう天ぷら、サクサクっとしてたまらなくそばに合います。独特の塗りの器もすてきだったなあ。

発芽そば をお願いするとすばらしい塗り椀に

 

 

笠間に行く目的、とゴーラーの友が言った、夢のかき氷へ

そしてすぐ横に咲く、六花! 六花とは花ではなく、「茨城おとなのかき氷 四季と六花 」のこと。
かき氷通=スパーゴーラーの友人から、「笠間に行く理由は六花でしょう、そのために東京から笠間まで行くのよ」とまで言われたのが、この六花。
が、予約激戦。インスタ→LINEと、ほんとに必死で予約しました。

実は今回の3人、かつて台湾で十数軒のかき氷を取材し、期せずしてかき氷通になったのです。だから、どれどれ・・・という思いもありつつ、楽しみにしていたのでした。
「うわ、おいしーーーー、なにこれ? おいしすぎる」と3人とも歓声をあげました。

「石岡産 富有柿とマスカルポーネ」

 

いただいたのは地元の柿を使った柿ごおり! 六花さんではシーズンごとに、旬の地元のフルーツや野菜を使って作っているのです。
氷のふわっふわ感、柿のフレッシュさ、味のバランス、すべてよし。生あり、ペーストありの柿のテクスチャーの違いがまた憎いっ。

 

この宝石のようなかき氷を作っているのは石岡コージさん。
「茨城って、柿、栗、さつまいも、これからはいちご、メロン、りんごと1年を通じてスイーツの食材が豊かなんです。地元のパティシエの方とも相談しながら、地元の食材にこだわってオリジナルを考えるのが楽しいんですよね」と。

 

ちなみに、栗は茨城県が生産量日本一で、中でも笠間が有名なのだとか。

ピスタチオは大人気メニュー

 

もうひとつは、年間を通じて食べられる定番、ピスタチオ!

見よ、このそそる姿。

夏は超激戦ですが、冬は予約できる日も増えるそう。ストーブの湯気を味方に冬の氷、寒がりになってくる50代ですが、おすすめしたい。

 

 

 

しめくくりに笠間の陶器を、自分へのお土産に。

さて、笠間と言えば笠間焼。栃木の益子と並ぶ北関東の陶芸、民芸の里でしょう。

笠間焼の歴史は江戸後期から。250年を越えると言われています。令和2年には「かさましこ」として日本遺産に認定されました。

私の勝手な印象だと、わがふるさとに近い有田や波佐見のような「らしさ」が強くない、新しい感覚の作風のものが多いのが、笠間焼のおもしろさかと。笠間には、伝統に縛られすぎず、柔軟な発想で「自分の器」を作っている若い作家さんが多いと感じます。
器の沼にはまって早数十年。やはり見ないで帰るわけにはいきません。買い物する前提で、旅の最後に笠間焼を見に、いざ。

必見の、回廊ギャラリー門

 

笠間を訪れると必ず寄る「回廊ギャラリー門」さんへ。

ぐるりと回廊になった店内には、笠間で創作する作家さんたちの作品がずらり。
私は、器を見て「あれを盛りたい」と料理が浮かぶものを手に取ります。
そして手にとったら、目を閉じて触感を確かめてから、好きかどうか、連れて帰るかどうか決めます。器の肌感が、自分にとってとても大切だから。

 

 

茨城県陶芸美術館の庭で。

 

ここから坂を登れば、笠間芸術の森公園、そして茨城県陶芸美術館です。
美術館の常設展では城県にゆかりの深い陶芸家の代表的な作品を見ることができます。あわせて、笠間焼の歴史を知ることも。

またギャラリーショップには笠間の作家さんの器が並んでいるので、ぜひのぞいてみて。私もこちらで器を求めたことが数回あります、おすすめです。

そして企画展もいつも楽しみなのです。4月7日までは「グラスアート・ライジング 藤田喬平、リトルトン、リベンスキーと世界の作家」として、1960年ごろからバラエティ豊かになっていくガラス造形を牽引した世界の作家23名の作品が展示されています。

これがなんと茨城県内の企業の秘蔵コレクション。ガラスアートの黎明期を知る、見る、ガラス好きならたまらないはずです。

ちなみに、陶器市が開催されるのもここ、笠間芸術の森公園。毎年ゴールデンウィーク中にひらかれ、20万人以上が訪れる春の大陶市「陶炎祭(ひまつり)」と、10月下旬から11月初旬にかけての 秋の陶器市「陶と暮らし」があります。
以前訪ねた10月上旬の「笠間浪漫」という笠間焼と地場産業のお祭りも楽しかったなあ。

 

西日の芸術の森

広々とした丘を西に傾く夕陽を感じながら、友部行きの周遊バスの時間までのんびり歩きました。ぐるぐる巻きに包んでもらった器を大事に抱いて。

 

 

最後に。笠間で買った器たちです。笠間焼は作り手で作風がまったく違うのと、盛り付けるお料理によって表情も変わるのが、楽しい!

白いお皿には、赤大根の甘酢漬を。

 

このお皿には、かぶを塩もみしてオリーブオイルとお酢で和えただけのシンプルおかずも映えます。

 

 

次回はふたりで! 温泉と絶景の旅です。

 

【DATA】
笠間日動美術館

★手打百藝 泰然
茨城県笠間市下市毛229-1

 

茨城おとなのかき氷 四季と六花

回廊ギャラリー門

 

笠間芸術の森公園

茨城県陶芸美術館

 

 

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