ここで言う「不良」っていうのは、タバコとお酒を飲んで酔っ払ったり、素敵なろくでなしと夜遊びしたりってことです(笑)。
でも、肝臓が悪くなったら、お酒を控えないといけないし、病気になったら朝まで遊ぶ体力がないし、オーロラ見るためにアイスランドはきついし、マチュピチュは酸欠になりそうだし、世界一周豪華客船の旅は、朝からシャンパン毎日がパーティ…結局、一生楽しく遊ぶには、健康でなければ無理!
そう思っていたら、ある時、忌野清志郎も同じことを言っていたって、友達が教えてくれました。
その清志郎も今は天国に。そして私は、緑内障になって、お酒をやめました。一生不良はできなかった!残念!!くやしい!!
でも私、お酒の席は今でも好きですよ。
だって、いろいろな人と出会えるし、シラフでは聞けないような話も聞けるし、ケンカとかしても(私は覚えているが相手は)翌日は覚えてないことが多い(笑)。
若い頃から、好んで酒の席に行って、人生経験豊富な人たちから、良いも悪いも、いろんなことをたくさん学びました。それは漫画を描く上でもすごく役立ちましたっていうか、ハッキリ言って漫画のネタ探しにハイエナしてました(笑)
自分が経験できることってたいして無いし、ネタ探しなら普通の人よりちょっと変わった人というか、トンガってる人の話の方が面白いし。とにかくいろんな体験をしてそうな人と話して、刺激を受けたいという野望を持っておりました。
自分で調べるのは大変でも、知ってる人に聞くのは簡単だし、私の経験では、たいていの人は酒が入れば、楽しく自分の武勇伝を赤裸々に教えてくれます。お酒って、上手に使えば、実に役に立ちます(笑)
だけど、世間では酒飲みって、たいてい嫌われ者でしょ。飲んで人にしつこく絡んだり、酔っぱらって泣き出したり、お粗相したり(色々想像してください)。
悪いイメージばかりなのが酒好きとしてはつらいわ。私はいくら飲んでもたいして酔っぱらわなかったから、そういう経験ってほぼなしです!調子悪い時は酔う前に気持ち悪くなるので、結果的に酔わない。その結果、人の世話をすることが多くて貧乏くじを引いたことも…貧乏くじ…うわあ久しぶりに使ったわ、この言葉。人生でできるだけ遭遇したくない言葉ですね。
まあとにかく、酒好きだからこそ、みんなにはもっときれいにお酒を飲んでほしいって思います!
そういえば、つきあいで飲みの席が多い編集者の人たちって、あんまり長生きしないって聞いたことあります(笑)。若い時から飲んだくれてる人が一生不良をするのは、70過ぎても皴一つないお肌を維持するより難しいのではと、思います!
「有閑倶楽部 PART5」りぼん1982年2月号扉
取材・文/佐藤裕美