気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【おいしく正しく食べるための「習慣」】では、食べ物をしっかり、そして楽しく食べることに関するしきたり22~43をご紹介します。
今回は、しきたり29:美しく楽しく食べるためにも、姿勢を正しく、箸使いも綺麗にする、についてです。
●おいしく正しく食べるための「習慣」●
四季があることは、食材にも四季があるということです。四季は身体にも影響があり、身体をスムーズに動かすためにも、四季に合わせた食べ物を身体に取り入れることが必要です。
食べられればなんでもいいのではなく、四季に合わせた食べ方、取り入れ方を考えなければなりません。食べ物に困らないからこそ、食べ方、食材の選び方が大切になっているのです。
食べ物をおいしく、楽しく食べることも大切です。姿勢、 箸の持ち方、食べる順序なども、昔から伝えられた習慣です。これらを守ってこそ、おいしく、そして楽しくいただくことができるのです。
食べるのは、基本的な生きる姿勢です。食べることは身体を維持する当たり前の行為です。生きること=食べることともいえるわけですから、シッカリ、キチンと選んで、最後まで残さず食べる、これは、なにより大切な家庭のしきたりとしなければならないでしょう。
しきたり29
美しく楽しく食べるためにも、
姿勢を正しく、箸使いも綺麗にする
食事もおいしく、美しく食べるのが基本です。おいしく食べるには、まず食事の姿勢が美しくなければなりません。
姿を美しくするには、椅子に深く腰かけ、背筋を伸ばして姿勢をまずきちんとさせます。姿勢を正すのが、基本的に大切なこと。肘をついたり、背中を丸めたり、寄りかかったりした姿勢では、美しく食べることはできません。座っていただくときにも、あぐらをかいたり、背もたれに寄りかかったり、足を投げ出したり、横座りをしたりでは、美しくないのです。食事をするには、まずはきちんと姿勢よく、です。
箸使いも綺麗にするのが基本。箸を持って、いつまでも料理を選んでいたり、箸置きに箸を置かずに持ったままでいたり、箸先を舐めたり、料理を箸で突いたり、取り箸で食べてしまったりなどは禁物。まず、箸を綺麗に使いこなすことが、美しく食べることです。
とはいっても、杓子定規に決まった守り事とするのではなく、それぞれの家庭での箸使い習慣として、前述のような箸使いは禁止という規則にしてはいかがでしょう。こうした家庭の規則があれば、それが習慣となり次第に身についてきます。毎日の食事ですから、身についてしまえば、どこに行っても(例えば海外に行っても)、美しい日本の習慣として箸使いを示すこともできるはずです。
箸使いと並んで、家庭の習慣としてほしいのが、左手を使うこと。左手でご飯茶碗や汁椀を持ったりしますが、置いたまま食べる人もいます。これは少々美しくない食事の姿です。左手は遊ばせることなく、器を持つ、口に料理を運ぶときに添える、魚をほぐすときに器や魚を押さえる、大皿から自分の取り皿に取り分けるとき料理に添えるなど、左手をおおいに活用することも箸使いに伴います。
さらに、箸で皿を引き寄せたり、ご飯茶碗の中をかき混ぜたり、取り皿を大皿に近づけずに分けようとしたり、大皿に取り箸をつけ忘れたり、といった箸の使い方の悪い例は厳禁として、習慣化していきたいと思います。
食卓を整え、姿勢、箸、食べる決まりなどが習慣となっていれば、楽しく美しく食事ができるはずです。
次回は、しきたり30:子どものうちからきちんと毎食、食べるを習慣化する、についてご紹介します。