気持ちよく暮らす「生活のしきたり」/58:正しく分別されたゴミ出しは、ご近所づきあいの基本
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!
ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。
教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。
このパート【上手なおつきあいのための「心得」】では、心地よいつきあいに関するしきたり44~61をご紹介します。
今回は、しきたり58:正しく分別されたゴミ出しは、ご近所づきあいの基本、についてです。
●上手なおつきあいのための「心得」●
家族、友人、恋人、親戚、子ども同士、仕事など、人と人とのコミュニケーション=つきあいほど難しいことはありません。電車の中で肩が触れた、触れないの言い争いから喧嘩となり、重傷を負ってしまった、近所のピアノの音がうるさいと、近所づきあいが疎遠になってしまったなど、つきあいはときとして争い事にもなり、そのために人を傷つけてしまうことだって起こりかねません。
我慢すべきときは我慢、言うべきときは言う、そして、かかわりのないときにはかかわらない、といったように、つきあいにはほどよい距離感を保つことが欠かせません。すべて自分の価値観と同じと思うのではなく、人には人の考え、思い、思惑などがあり、無理してつきあっても決してうまくいくとは限らないのです。
しきたり58
正しく分別されたゴミ出しは、
ご近所づきあいの基本
集合住宅で暮らすにしても、持ち家に住むにしても、近所づきあいを避けて済ませるわけにはいきません。なかでも一番気をつかわなければならないのがゴミ出しです。ゴミは近所づきあいだけでなく、社会、地球とのつきあいになるのです。ゴミの不始末は、社会全体の不始末につながっていくのです。
まずは、地域の決まりに従って、正しいゴミ出しをします。正しいゴミ出しとは、ゴミを決まりに合わせてキチンと仕分けして、指定の方法で出すことです。ゴミの仕分けは地域により違います。暮らしている地域による決まりがありますので、それを守ることです。
自治体によって決まりは異なりますが、おおまかに、可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミの三種類です。でも、資源ゴミなのに、不燃ゴミに出したり、不燃を資源として出したりなど、たった三種類であるにもかかわらず、キチンと仕分けできないのは困りものです。まずは分けること。ゴミ出しは近所づきあいでもあるからです。
次は指定場所に出すというのも決まりであり、つきあいです。一軒一カ所ですから、自宅前がゴミ出し場所というわけです。ところが、出そうと思ったときには収集車が行ったあとだった。では自宅にゴミを戻すのが正しいのですが、それを他人のゴミ指定場所に置く人もいます。これは、自分だけがよければという気持ちが働いているからです。ゴミ出しは近所づきあいの始まり。決まりに沿って守らなければ、近所中が、いや街全体がゴミだらけになります。そんなところに人は暮らしたいはずがありません。決まりはキチンと守ることです。
ゴミ出し時間についても同じです。不規則な暮らしをしていると、つい、時間に間に合わなくなり、夜、夜更けに出すことになります。時間がなかなか守れないこともわかりますが、時間通りに出されないと、狸、カラス、猫などにゴミが食べ漁られ、汚れた近所、街になることが目に見えています。「自分一人だけならいいや」という考えは捨てます。ゴミ出しは、環境を考えた暮らしをするうえでも大切なことです。時間を守れないなら、みんなの理解を得て、蓋付き専用ゴミ箱に変更する、あるいは蓋付きで深夜に出す許可をもらうなどに変えていくことです。
話しはまたドイツのことで申し訳ないのですが、ドイツではゴミは一人一人が持つ責任です。名前を書かないまでも、各戸別に出す決まりで、戸別金額負担もしています。私たちは共同責任ですが、本来は戸別責任であるべきです。共同であるべき責任を守らないときには、町内会、家主さんが住人に断固守るよう指導していくのが、近所づきあいであるゴミ出しなのだと思います。
次回は、しきたり59:ペットを飼うには、一生つきあわなくてはならない、についてご紹介します。