軽井沢でにぎやかな通りのひとつは旧軽井沢商店街。
そこから一本外れた通り、別荘地の細い道を入っていくとそこに現れたのは深い木々の緑に溶け込む赤茶色の建物。
壁は紅殻塗り、浅間石を積み上げた暖炉、土管を繋げた煙突のある旅籠を利用した建物は、2013年に国の登録有形文化財に指定されました。
この建物はライシャワー米国大使婦人の松方ハルさんが別荘として所有され、1970年代には作家の森瑤子さんも執筆活動をされた場所でもあります。
明治末から大正初期に建てられた歴史あるこちらの別荘を、間取りを変えず修繕されてオープンされたカフェが“旧軽井沢café 涼の音”です。
昔の佇まいをそのまま感じられるように、なるべく残された軽井沢彫りのテーブルや浅間石の積まれた暖炉など昔のものをそのまま使われている店内。
私の席は、昔の足踏みミシンをテーブルにしたものでした。
木々に囲まれ窓も小さく、しっとりと落ち着いた照明。そのためか、窓の外の緑が余計に鮮やかに目に飛び込んでくるような気がします。
お庭の苔は美しく、木々の中から差し込む木漏れ日の中、テラスや外でお茶を楽しむのもこのお店ならではの楽しみの一つ。テラスやお庭はペットもokなのですよ。
次に続きます。
今回は軽井沢一美しいといわれるフレンチトーストをいただく事が目的です。
実は人気のフレンチトーストは数量限定のため、前の週末に訪れたときはオープン15分後に到着したにもかかわらず、売切れてしまっていたのです。
今回、リベンジできてよかった!
軽井沢ではカフェやレストランオリジナルのフレンチトーストの事を”軽井沢トースト“と呼ぶようになり、現在では40軒ほどで提供されています。その中で一番美しいと評判のフレンチトーストとは、どんなフレンチトーストなのでしょうか。
テーブルに運ばれてきたお皿は、今流行のインスタ栄えしそうな美しい盛り付けです。
食塩多めパンを使用して甘さを引き立てる工夫をされ、季節のフルーツやナッツがたっぷりと添えられていること、食べられるお花エディブルフラワーや大きなイチゴには練乳が隠されていることもうれしいですね!
女子のハートをつかむポイント満載のフレンチトーストですから、人気になるのも頷けます。
軽井沢は古きよきものを大切に残し、新しいものを柔軟に受け入れる懐の深い町だと、私は思っています。大切に保存されている建物の中で、今、若者に人気のスイーツをいただけるとは、軽井沢ならではの楽しみだと思います。
さて、“涼の音”の後には、是非お店の正面にある室生犀星記念館へもいらしてみてください。こちらも昭和6年に建設され詩人・作家の室生犀星が亡くなる前年の夏まで過ごされてという建物です。自然豊かな場所、美しい苔の庭。この場所で創作意欲を掻き立てられたことでしょう。この家で堀辰雄や川端康成などと交流があっと思うと、感慨深いです。
短い軽井沢の夏もそろそろ終わりを迎えます。
避暑地として緑鮮やかな時期も素敵ですが、紅葉と苔の緑とのコントラストも美しい秋の訪れも楽しみにしたいと思います。
旧軽井沢café 涼の音
http://suzunone.main.jp/index.html