これからの時期は紫陽花の美しいお寺をめぐる方も多い鎌倉に、朝食をいただく事を目的に訪れるというのもOurAge世代には素敵な時間の使い方ではないでしょうか。
鎌倉駅から市役所方面へ緩やかな坂を上り、トンネルを抜けた先にある佐助一丁目の交差点にこの4月にオープンした“朝食喜心 kamakura”。
メニューは向付けと一飯一汁のコースのみ。
予約枠を5つに分けていて、その枠ごとにスタート時間が決められ一斉にお食事が始まるというシステム。
店内はカウンターとテーブル席が二つ。
カウンターの中のガス台には大きな土鍋がいくつか並べられ、お客様が席についてからお米を計り土鍋に火が入ります。
これから始まる土鍋でご飯が炊きあがる様子がこちらのお店の主役。
その主役を一番よく見る事ができる特等席はカウンターということになります。
ご飯用のお茶碗を選ぶところから、こちらのコースが始まります。
自分の選んだお茶碗に白飯がよそわれた事を想像しながら器を選ぶは楽しいものです。
今時は、どの器がインスタ映えするのかしら?と選ぶ方もいらっしゃるかもしれません。
まず運ばれてきたのは、地元鎌倉野菜を10種類使ったサラダ。
お野菜によって生だったり茹でてあったり、焼かれていたりと、その素材の味を引き立たせる調理法がされておりました。ピンクのゼリーは紅芋のジュレ。お花はパクチーの花。
どちらも良いアクセントになり、鎌倉野菜を引き立てていました。
「炊き上がりました!」とお店の方が土鍋の蓋を取り見せてくださったあと、白飯をほんの一口分お茶碗によそってくださいます。まだ水分が多く固めですが、この状態の時が一番お米の香りが楽しめるそうです。
炊きたてのご飯の香りこそ、日本人でよかったと思う瞬間かもしれませんね。
次に大きなお椀によそわれた汁物が運ばれてきました。
三種類の汁物の中からひとつ選ぶようになっており、友人が選んだのは“海鮮の和風トマトスープ”
たことアサリ、魚介の出汁にトマトの甘みと酸味が調和されているとのこと。
添えられた黒七味もよいアクセントになっていたことでしょう。
私が選んだのは“けんちん汁”。
けんちん汁は鎌倉の建長寺が発祥といわれており、その作り方をこのお店のオープンに際し鎌倉郷土料理・精進料理家の藤井まり氏からご教授いただいたという説明をお店の方がしてくださいました。
私が普段作るけんちん汁はお野菜を薄く切っているのですが、こちらはまるで煮物にするくらいの大きさ。ゴロゴロとしたお野菜は食べ応えがあると同時にお野菜からのパワーをしっかりいただけている感じがします。
汁物が終わるころ、本日のお魚として薄い杉板に巻かれて焼かれた鰆が。
さすが朝食のお店だからでしょうか。朝日に見立てたという清美オレンジが添えられていました。
そして卵を別に注文して黄卵だけの“たまごかけご飯”で締めることに。
白飯との最高のマリアージュといえば、生卵。ほんの少しだけお醤油をたらすことでますます白飯と卵の甘みを堪能することができました。
まず炊きたての白飯の香りで脳を刺激し、次にお野菜を咀嚼しながらお汁をいただくことでさらに脳と身体をしっかりと目覚めさせる効果があるのではと感じました。
まさに、こちらでは理想的な朝食をいただけるということですね。
お店の外に一歩でれば、またバタバタと時が流れる日常が待っているかもしれません。
いつもなら時間を気にしながら急いでいただく朝食も、ゆっくりとご飯や野菜などの食材と自分の健康の事を見つめながら過ごすのも悪くないなと思いました。
メディアからの注目もされはじめているお店。
是非予約をしてお出かけくださいね。
朝食喜心 kamakura