雨時々曇りの平日、いつものお友だちと向かったのは、秋田県鹿角郡小坂町にある、国指定重要文化財の小坂鉱山事務所。
曇天で肌寒さを感じる日でしたが、観光に来ている方や、敷地内をブラリとしながら写真を撮っている方、犬のお散歩をしている方、けっこういました。
1905年に建設された、ルネサンス様式の外観であるこの小坂鉱山事務所は、現・DOWAホールディングスである、旧・同和鉱業、当時の藤田財閥の中核・藤田組が敷設したそうです。
モダンな作りの洋館なのは、開業時「お雇い外国人」として日本鉱業界をリードした、ドイツ人のクルト・アドルフ・ネットーの影響なのでしょうか。
螺旋階段やバルコニーなど、とても美しい造りです。
事務所からけっこう近くにある、昔から今も稼働している小坂製錬株式会社は、一緒に出かけたお友だちが仕事の都合で小坂町近辺に住んでいた頃に、通る度に「まるでゲーム・映画の”バイオハザード”に出てきそうな、でっかくて圧倒される建物だな」と思っていたそうで、私は遠目に見ただけでしたが、たしかに怖いボスキャラが登場してきそうな雰囲気がしました。ゲームの世界に浸りすぎな自分たちに、お友だちと2人、笑ってしまいました(^^)
その、明治時代に飛躍的な発展を遂げた小坂鉱山の厚生施設としてつくられた、日本最古の芝居小屋、”康楽館”。藤田組が、こちらは全ての建設を手掛けた建物。
典型的な江戸期のスタイルの造りとなっているこの康楽館は、和洋折衷のモダンな芝居小屋で、画期的な照明設備があったこともあり、「東北一の芝居小屋」と呼ばれたそう。108年の年月を経た今でも現役の芝居小屋です。大衆演劇の芝居から、歌舞伎、寄席、文楽などが楽しめます。誰もが知る有名な歌舞伎役者の方々も、ここ康楽館で公演をしたんですよ。道路沿いにはズラリとのぼりが立っています。壮観!
鉱山事務所と康楽館のセット見学チケットが890円で購入できるので、せっかくだからと見学もしてきました。舞台の奈落は写真OKでしたので、なかなか見ることのできない切穴(すっぽん、役者を手動で下から舞台へせり上げる装置)や、回り舞台のカラクリ、その回りを囲み108年間ずっと積まれている石や照明も、しっかり撮影してきました。 古くても現役。素晴らしいです。
そしてこの日も団体様の観客が大勢いらしてました。本日初日の公演もちょっとだけ目にして、108年続く素晴らしいものを見せてもらいました。
実はこの日1番の目的は、事務所内にある「モダン衣装部」さんで、ウェディングドレスをレンタルして写真を撮ることでした。が、しかし!
……ほんの何日か前から、「3日前からの予約制」に変わってまして、HPを再確認しなかった私たちのミスで、残念ながらドレスを着て写真撮影はできず……でも諦めずに、次はちゃんと予約をして、ウェディングドレスを着てバルコニーや螺旋階段で写真を撮るぞ!と誓った私たちなのでした。
30分レンタルで720円という、とっても良心的なお値段ですので、もう1着レンタル可能なら、カクテルドレスも着てみたい。装飾品もレンタルできるようですよ。
ドレス撮影を楽しみに、でも諦めきれず、玄関を入ったところに飾られているドレスを眺めるお友だちの後ろ姿をパチリ。そして次は必ず!と、楽しみを先にとっておくことにして、事務所の広い敷地内にあるかわいらしい喫茶&お土産店で、私はアカシア蜂蜜がけバニラソフトクリーム、お友だちはバニラとコーヒーのミックスソフトクリームを食べて元気を取り戻しました。
惜しみなくかけられた高級なアカシア蜂蜜は、ふんわりとお花の香りがして、心地よくなる美味しさでした。ソフトクリームと蜂蜜、はじめての感覚です。
ここ、小坂町は明治の時代から鉱山・製錬での煙害対策として、(当時砂防用によく使われていた)アカシア(ニセアカシア)の木をたくさん植えてきたそうです。
煙害の影響を受けることのない今は、町に青々と繁るたくさんの立派なアカシアの木があります。それゆえ、アカシアハチミツは小坂町の特産品として、県内でも名を馳せています。明治百年通りのアカシア並木、綺麗でした。6枚目、康楽館前のぼりの写真に写っている木々が、アカシアです。
5月か6月には事務所敷地内、紫陽花と噴水がある広場でアカシア祭りがあるそうなので、来年は来てみたいなと思います。
今回、少ししか写真に載せられませんでしたが、つい何年か前に引退した寝台列車「あけぼの」が、簡易宿泊施設「ブルートレインあけぼの」として運営されています。小坂鉄道レールパークで観光トロッコに乗れたりと、観光の見所・行楽がたくさんですよ。皆さんのおでかけリストに、小坂町もぜひ入れてほしい、と思います。
小坂鉱山事務所
http://kosaka-mco.com/publics/index/46/
康楽館
小坂鉄道レールパーク