こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。
3月26日から開催の東京国立博物館の特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」の予習記事も書いているのですが、ここでは、現地、京都の東寺を拝観するためのご案内をお届けします。
前回は、基本の金堂、講堂、五重塔を巡りました。第二回は、よりじっくり拝観したい方のための見どころ情報をお届けします。
東寺は、平安時代初期に国営の寺として建てられ、その後、弘法大師空海に任されました。有名な講堂の立体曼荼羅は、空海が中国で学んできた密教の世界観を表現したものですが、そもそも、その空海とはどんな人だったのでしょうか。
こちらは東寺の境内で見つけた空海さんの像です。
教科書などでは、座った空海像をよく見かけると思いますが、これはその像よりもっと若いころの修行時代の姿です。空海は四国に生まれ、平城京で大学に入って学んだ後、各地で修行をしました。その後中国に渡って密教のすべてを学び、日本に伝えました。そして東寺を任され、真言密教を都に広めたのです。
東寺の境内には、高野山奥之院の遥拝所もあります。
遥拝所とは、遠く離れた特定の聖地を拝むための場所で、その聖地のある方角を向いています。空海は816年に和歌山県高野山を下賜されました。その後、東寺と高野山を行き来し、最晩年になって、高野山を入定の地と定め、東寺を後にします。高野山には、金剛峯寺を中心としたさまざまな堂宇が建ち並び、奥之院には空海の廟があります。空海は亡くなってはおらず、今も静かに瞑想していると信じられており、毎日、食事も届けられています。これを「生身供(しょうじんく)」といいます。
生身供は、東寺でも毎日行われています。高野山の生身供は、お供えする食べ物を専用の入れ物に入れて運んでいくお坊さんの姿を遠くから見るだけですが、東寺の生身供は、誰でも参列することができます。
希望者は5時50分くらいに所定の場所に集まります。
鐘が10回鳴らされお堂の中へ。常連の方がたくさんいらっしゃるので迷うことはありません。本来は御影堂というお堂で行われるものですが、この時は修復中のため、大日堂というお堂の中で行われました。御影堂の修理は、2019年12月に完了の予定だそうです。
6時に法要が開始され、一の膳、二の膳、お茶がお供えされます。
法要の最後には、弘法大師空海が持ち帰った仏舎利を頭と両手に授けていただけます。これは「お舎利(しゃり)さん」と呼ばれます。ひじょうにありがたいことなので、近所の方々は、特にこのお授けが目的で通われているようです。
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小子房(しょうしぼう)という建物も見せていただきました。普段は非公開の、特別な場所です。
こちらは天皇をお迎えする勅使の間で、南北朝時代に、足利尊氏が奉じた光厳上皇が、一時期御所としていたところです。現在の建物は昭和9年(1934年)の再建で、昭和を代表する建造物のひとつとされています。今上天皇も平成3年にお見えになられました。こちらの障壁画が下の写真。堂本印象作「渓流に鶴」です。
6室ある部屋の障壁画はすべて堂本印象作。こちら以外も、部屋ごとに雰囲気が違って見ごたえがあります。
庭園の「澄心苑(ちょうしんえん)」は七代目小川治兵衛の作。建物も庭園も、まるごと、昭和美術の宝庫ですね。
観智院は東寺の塔頭(子院)で、大学に例えれば研究室のようなもの。密教に関する貴重な資料がたくさん収められています。
写真の建物は客殿で、江戸時代初期に再建された国宝の建造物です。
重要文化財 五大虚空蔵菩薩坐像
観智院の本堂には、智慧の仏とされる五大虚空蔵菩薩(ごだいこくぞうぼさつ)が安置されています。こちらは中国の唐から請来された像のため、日本の仏像とは少し違う表情をしています。5体それぞれが獅子、象、馬、孔雀、迦楼羅、と鳥獣の上に座っている点にも注目です。
今回の特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」には、東京では初めて、5体揃って出品されます。
東寺の北大門から北総門までの参道は、櫛笥小路(くしげこうじ)といって、平安時代以来そのままの幅で残ってい小路です。そのような小路は京都でもここだけという貴重なもの。観智院はこの道沿いにありますので、拝観の際は、ぜひ撮影を。道沿いには東寺の境内に建つ真言宗洛南学園の中学・高校があり、学生さんが多く通りますので、授業中の時間帯を狙ってください。
特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」
開催場所 : 東京国立博物館 平成館(上野公園)
開催期間 : 3月26日(火)~6月2日(日)
開館時間 : 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※会期中の金・土曜は21:00まで
休館日:月曜、5/7(火)
(ただし4/1(月)[東寺展会場のみ開館]、4/29(月・祝)、5/6(月・休)は開館)
5周年記念企画「黒田知永子さん×吉田さらささん スペシャルトークショー@東寺展」に150組300名様をご招待します!
※イベント詳細や応募方法は、こちらへ。
撮影/藤澤由加〈MyAge取材分〉 撮影協力/東寺
吉田さらさ
公式サイト
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