2022年春には丸の内に移転することが決まっている静嘉堂文庫美術館。アクセスがよくなるのはうれしいのですが、あの広い庭園とレトロでシックな美術館の建物はとても魅力的です。
移転までにマメにいかなくちゃ、と思っていたら、素敵な展覧会を見つけました。「岩崎家のお雛さまと御所人形」。あの岩崎家のお雛様を拝見できるというこの機会、ひな祭り気分を堪能しに早速おでかけしてきました。
岩崎家といえば、三菱商会、のちの三菱財団を築いた岩崎弥太郎(イワサキヤタロウ)が思い出されますね。2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の渋沢栄一と並び称される明治時代を代表する人物です。
この岩崎弥太郎から数えて四代目、岩﨑小彌太(1879~1945年)が孝子夫人(1888~1975年)のために誂えたお雛様が、今回公開されるお雛様。京都の有名人形司・丸平大木人形店へ特注し、なんと制作に三年もかけたという逸品です。
こちらがそのお雛様です。
(画像引用:静嘉堂文庫美術館サイト)
画像だともう一つゴージャスさが伝わりにくいのですが、衣装の細やかさなんて、たぶん私よりよっぽどお高いものを身に着けていらっしゃいます。白くつややかで丸い顔が幼児なのに、衣装や道具の見事さがほぼ芸術品レベルなので、かわいいというより圧倒されてしまいます。
お道具もこんなものまでというほどのラインナップで、そのすべてが金の蒔絵(たぶん)や螺鈿細工が施されているゴージャス仕様。夏と冬のお布団まで準備されていて、豪華絢爛さにため息が出ます。
客間に飾っていたといいますから、訪問者の目を楽しませるためにもこのレベルなのでしょうが、一年に一度しか使わないものにこれだけの逸品を準備するわけです。さすが財閥と呼ばれる方々は違うなあと感心してしまいました。
あと個人的には、娘のためでなく、自分の夫人のためにオーダーしたというのもちょっとぐっときました。
こんな風に飾っていたようです。
この金の特大屏風の複製が会場外に展示されていたので、記念にぱちり。
そういえば以前、日本に3つしかない国宝「曜変天目茶碗」をめぐる旅(?)について書きましたが、その一つ稲葉天目も今回展示されていて、うれしい再会でした。
折しも庭園は梅が満開。
今年は桜も早いですね。お花見日和の年なのかもしれませんね。
暖かくなってきたのもあり、そぞろ歩きも楽しいです。
高台にある静嘉堂文庫美術館。
二子玉川の街が見えます。
岩崎家もこの眺めを好んでいたのでしょうか。
今回の展覧会はここでのセカンドラスト。次の展覧会で、この場所でもラストだそうです。
その名も「旅立ちの美術」、所蔵の国宝が一堂に会するそうなので、また来なくっちゃ!