最近、朝晩が寒くなり、すっかり秋を感じる季節になりましたね。
都心から電車で1時間ほどで鎌倉に到着。
普段なら敢えて目的を持たずに散策する事が多い鎌倉、今回は日本初のアンティーク博物館へ行くために訪れました。英国アンティーク博物館 BAM鎌倉です。
鎌倉駅から7分ほど歩いて鶴岡八幡宮の三の鳥居近く、鎌倉のメインストリートに隈研吾氏が鎌倉彫に着想を得たファサードのデザインが見えて来ます。
新しい建物なのに、古都・鎌倉の参道に溶け込んでいて気付けば10分ほど眺めていました。
入口のグランドフロアには、貴重なヴィンテージのロンドンタクシーがあります。
次世代にアンティークの世界を伝え、物や人を引き継ぐ素晴らしさを感じとほしいと、館長で発起人の土橋正臣氏がイギリスを旅して長年かけて集めた100年以上の歴史を持つ本物の英国アンティークの博物館です。
博物館は、時代ごとのアンティークが4フロアに分かれて展示されています。
1F VINTAGE / 1950—1990
2F The Georgian Room / 1714—1830
3F Sherlock Holmes’Room / 1887—1927
4F The Victorian Room / 1837—1901
2階ジョージアン時代の部屋ではシルバーの歴史を愛でることができます。男性が身支度を整えるジェントルマンルームも。
部屋には隠し扉があり、その奥にはトイレが……遊び心に溢れています。
3階のシャーロック・ホームズの部屋を再現した部屋。
「ホームズ物語」で度々登場する、依頼人を迎え入れるリビングルーム。ここは、ロンドンのホームズ博物館に準じて赤を基調とした英国御用達の壁紙が施されており、ヴィクトリアン暖炉と肘掛け椅子が配置されてホームズの生活を表現しています。
博物館の建設された場所は北条氏の旧邸宅があったそうで、建設工事の段階で約800年前の可能性のある木材が出土したのだそうです。泥に埋まっていたため腐食を免れたこの遺構は、北条氏縁の土地であり歴史的な特性も踏まえて後世に伝えていきたいと、4階のヴィクトリア時代の部屋にあるティールーム(茶室)に再生されました。
隈研吾氏曰く「英国と日本のつながりはもともと深く、スコットランドの建築家、チャールズ・レニー・マッキントッシュは、日本の建築・デザインに影響を受け、旧V&Aのティールームをつくりました。そのデザインは日本そのものであり、私が2018年に設計デザインしたV&A at Dundeeにて再現されています。」
隈研吾氏がV&Aのチャールズ・レニー・マッキントッシュがデザインしたティールーム「the Oak Room」へのオマージュとして設えた立礼式茶室。
窓を掛け軸の絵と見立て、縦長の窓からは八幡宮の鳥居が見えます。
鳥居の奥にはイギリス発祥のナショナル・トラスト運動で守られた御谷の森が見え、まるで鎌倉とイギリスを結ぶ架け橋のようにも感じられました。
100年以上の歳月を経たアンティーク、その一つひとつが歴史を感じさせてくれ、その時代へ連れて行ってくれるような感覚に。
イギリスに因み、近衛兵のしゃれ帯に。
世界的建築家である隈研吾氏の建築と英国アンティークコレクター土橋正臣氏のコレクションを堪能し、いつもとは違う鎌倉の愉しみ方を見つけました。
帰りは北条氏所縁の場所、鶴岡八幡宮の「政子石」へ。
旗上弁財天社の社殿裏にある陰陽石で、北条政子が懐妊した際、源頼朝が安産祈願した石だそうで女性の願いを聞いてくれると評判のパワースポットです。