こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。
今回は、現在東京国立博物館で開催中の「建立900年 特別展 中尊寺金色堂」(~2024年4月14日〈日〉)のご紹介です。1月下旬から開催しているこの特別展は、本館特別5室という小規模なスペースではありますが、展示物が充実しているため大人気。連日多くの寺好き、仏像好きの方々が詰めかけているようです。
今回の特別展では、金色堂中央壇の須弥壇上に祀られている11体の仏像を間近で拝ませていただくことができます。中央壇の仏像がそろって寺外で展示されるのはこれがはじめて。また、会場に入ってすぐ大型のディスプレーがあり、8KのCGで原寸大に再現された金色堂とその内部を見ることもできます。
実際に中尊寺に行かれた方はご存じと思いますが、金色堂は鉄筋コンクリートの頑丈な覆堂の中にあり、金色堂本体も、その内部に三基ある須弥壇もガラス越しに拝観します。須弥壇上の仏像は案外小さめでもあり、背後に祀られた像はよく見えません。したがって、大画面で隅々の装飾まで詳細に見られるのは、たいへん貴重なチャンス。会期は4月半ばまで続きますので、ぜひ上野に足を運んでください。
会場に入ってすぐのところに金色堂の復元模型があります。
実際の金色堂をイメージするために役立ちますので、こちらもじっくり見てみましょう。
細かく作られた模型内部には、仏像まではないものの、須弥壇の並び方がよくわかります。
前列中央の一壇と、後列の左右に二壇。海外から輸入した貝や象牙を使った華麗な装飾の様子も、ある程度イメージできます。このお堂の特徴はすべてが金色に輝いていること。そしてもう一つの大きな特徴は三つの須弥壇の下に奥州藤原四代のご遺体が安置されていることです。中央が中尊寺を建立した初代藤原清衡、向かって左側が二代基衡、右側が三代秀衡及び四代の泰衡の頭部が安置された壇です。
今回の特別展で展示されるのは、初代清衡の墓所でもある中央須弥壇上の像です。須弥壇の真ん中に祀られる極楽浄土の仏である阿弥陀如来坐像、その左右に脇侍の観音菩薩立像と勢至菩薩立像。壇の両脇に地蔵菩薩立像がそれぞれ三体ずつの全部11体。その前に仏の世界を守る持国天立像と増長天立像。すべてが国宝に指定された素晴らしい仏像ばかりです。
国宝 阿弥陀如来坐像
平安時代 12世紀 中尊寺金色堂
金色堂に三つある須弥壇の上にはそれぞれ11体の像が祀られており、真ん中は阿弥陀如来坐像です。
この像は、その中でも中央壇に安置されているため、金色堂の本尊と言えます。後頭部の螺髪や衣の造り方の技法が当時としては新しく、京都の仏像より一歩に進んでいた点もあるようです。平泉は辺境ではなく、仏教文化先進の地だったのですね。
(右)観音菩薩立像(左)勢至菩薩立像
いずれも国宝 平安時代 12世紀 中尊寺金色堂
阿弥陀如来の手助けをする役割を持つ脇侍の二体。うっとりするほど優美なお姿です。
地蔵菩薩立像
すべて国宝 平安時代 12世紀 中尊寺金色堂
須弥壇両脇に三体ずつ並ぶかわいらしい地蔵菩薩。皆同じように見えますが、よく見るとお顔や背丈が微妙に違います。現地では、地蔵菩薩は重なり合ってよく見えない部分もあります。一体一体じっくり拝ませていただけるのはこの特別展ならでは。
(右)持国天立像 (左)増長天立像
いずれも国宝 平安時代 12世紀 中尊寺金色堂
仏の世界を守る役割を持つ勇ましい姿の像。
踏んでいる邪鬼は後補(あとから補ったもの)ですが、ユーモラスな表情が印象的です。
重要文化財 金箔押木棺
平安時代 12世紀 中尊寺金色堂
中央の須弥壇下に納められていた棺桶で、藤原清衡の遺体が葬られていました。
遺体はこの中で自然にミイラ化したという説が有力です。
国宝 金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅 第三幀
平安時代 12世紀 中尊寺大長寿院
九重の塔は、近づいてよく見ると、細かな文字で描かれています。文字の連なりは長いお経で、塔の先端から書き始めているそうです。気が遠くなるようなものすごい作業ですが、これがなんと全部で十幀もあるのだとか。信仰の深さが伝わってきますね。
建立200年 特別展「中尊寺金色堂」
東京国立博物館 本館 特別五室
2024年1月23日(火)~4月14日(日)
※詳細は特別展公式サイトをごらんください。
𠮷田さらさ 公式サイト
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