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埼玉県の秘境、竹寺で風流な精進料理をいただく

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。

 

今回は、秋のお出かけにぴったりのお寺をご紹介します。埼玉県飯能市の山の上にある竹寺です。千年以上の歴史があり、東日本唯一の神仏習合のお寺でもあります。

竹林に囲まれた境内には寺にもかかわらず鳥居や茅の輪もあり、ちょっと不思議な雰囲気に包まれたパワースポットです。神様と仏様のご利益を同時に受けたい方にお勧めです。

 

こちらのご本尊は「牛頭天王」(ごずてんのう)。

インドの仏教の聖地、祇園精舎の守護神とも言われ、中国に入って密教・道教・陰陽思想と習合して日本に伝わりました。日本では神道とも習合し、スサノオノミコトと同一視されます。京都の八坂神社の祭神としてもよく知られており、祇園祭は牛頭天王=スサノオノミコトをおもてなしして疫病退散を願うためのものです。竹寺では疫難消除、除災招福、出世開運の「天王さま」として信仰されています。

この写真の像はご本尊ではなく、平成4年、中国人民有志により寄贈されたブロンズ像で、先代のご住職をモデルにして作られているとか。

 

ご本尊はこちらの本殿に秘仏として祀られており、御開帳は12年に1度の丑年。次回は2033年です。

木造牛頭天王像とともに眷属の八王子(八人の童子)を従えた姿だそうです。また、本地仏として薬師如来も祀られています。お薬師様も病気を治してくれる仏様なので、体の具合が悪い方もぜひお参りしてみてください。

 

と言っても、山の上にあるためアクセスはなかなか大変です。自家用車なら上まで行けますが、車がない場合は西武線の飯能駅から行きます。以前は山の麓までのバス便もある程度あり、バス停から徒歩で登って行ったものですが、近年はバス便が激減。タクシーなら30分程度、お寺からお迎えに来てもらうという奥の手もあります。お寺で供される精進料理を予約すると、有料で飯能駅まで送迎していただけるのです。わたしたちは今回、その方法でうかがいました。

実はこのお寺の精進料理は、ほかでは食べることができない唯一無二のものなのです。

 

この趣き深い建物の中で食事をします。

タイムスリップするようで、なんだかわくわくしますね。

 

精進料理は事前予約が必要ですが、蕎麦やうどんなど簡単な食事やコーヒー、和風スィーツなどは予約なしでもいただけます。

 

精進料理は、竹林に囲まれた別天地のようなお部屋でいただきます。まだまだ暑い9月半ばにうかがいましたが、エアコンなしでも風が吹き渡って涼しかったです。

 

このお料理は、先代の住職さんと奥様が考案なさったもので、特徴は、多くのものが付近の山から採取してきた自然の食材で作られていることです。また、食器も竹林の竹で作られています。3000円、5000円、6000円の3コースあり、品数が違います。

わたしたちは、今回、5000円のコースをいただきました。

 

お箸もこのように竹で作られており、曲がっているので少し食べにくいです。

しかし、その分集中して食に向き合えるので、心の修行としても有効です。

 

住職さんが食材の説明や食べる時の心得をお話してくださいます。

が、堅苦しい約束事はなく、自由に食べて大丈夫です。

 

山の木の葉のてんぷら。集中して食べると、確かにそれぞれ味が違います。

 

住職さん手書きの季節の言葉や俳句、山の植物が添えられた美しい盛り付け。

一皿一皿が芸術品のようです。

 

このお寺の名物、竹エキスを練り込んだお蕎麦。

ほのかに自然な香りと苦みが感じられます。

 

住職さんが竹の筒からお酒を注いでくださいます。トクトクトクという音がますます風情を増します。むろん竹のお猪口でいただきます。

 

コースの最後は、今季お初の栗ごはん。山でいただくと格別な味わいです。

 

埼玉県出身の著名な俳人、金子兜太さんがこちらのお寺で詠んだ俳句。

「竹寺や お昼御飯に 定家かずら」

 

竹寺では、精進料理体験だけでなく、写経会やミュージックライブ、マルシェなど、さまざまなイベントが行われます。秋が深まれば紅葉も美しいです。ぜひお出かけください。

 

精進料理の予約、イベントの予定などの詳細は、

公式サイトをごらんください。

 

 

𠮷田さらさ 公式サイト

http://home.c01.itscom.net/sarasa/

個人Facebook

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イベントのお知らせFacebook

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