水と踊りの小京都 郡上八幡を歩く
前編 町なか編
こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。
全国各地の寺と神社を巡り、旅の情報をお届けしています。
今回は、わたしの故郷、岐阜県の真ん中あたりにある郡上八幡(ぐじょうはちまん)をご案内いたします。
この町には、ほかにはない大きな魅力が二つあります。
ひとつは水にまつわる風景が美しいこと。
もうひとつは、夏のはじめから秋口まで延々と行われる盆踊りです。
まずは水のお話から。
郡上八幡は、日本有数の清流として知られる長良川(ながらがわ)の支流である吉田川、そのまた支流である小駄良川(こだらがわ)の周辺に広がる谷間の町です。
その中心となるのは城山の上に聳える白亜の郡上八幡城。
昔の面影を残す古い町並みがそこここにあり、
古民家や蔵を利用したカフェや小さな博物館などが並んでいます。
町並みに沿って、澄んだ水が流れる水路が張り巡らされています。
これらの水路が整備されたのは江戸時代。人々は、この水路を流れる美しい水を、飲料水として、また、洗い物などの生活用水として使ってきたのです。
水を汲める場所もあちこちにあり、ペットボトルをひとつ持って歩いていれば、いつでも美味しい湧き水を飲むことができます。
郡上八幡は山間の町ですが、真夏はさほど涼しいとは言えません。
でも、このような水路と水汲み場のおかげで、「涼」を感じることができます。
郡上八幡には、ほかにも名物が! 次のページに続きます。
郡上八幡名物がもうひとつ。それは食品サンプルです。
これらはすべて本物ではなくサンプルですが、ちょっと見ただけではわかりません。
むろんお店用に作られているものですが、テレビなどにもしばしば取り上げられ、お土産としても大人気。近年増加している外国人観光客にも大受けだそうです。
郡上八幡の観光に関する情報はこちらをごらんください。
http://www.gujohachiman.com/kanko/
郡上八幡は歴史の古い城下町だけに、お寺や神社もたくさんあります。
散歩がてら立ち寄って、町の歴史を学ぶのも楽しいものです。
数ある寺社の中でも、特にお勧めは慈恩護国禅寺(じおんごこくぜんじ)。
慶長11年(1606)に、八幡城主・遠藤慶隆(よしたか)が開いた臨済宗妙心寺派(りんざいしゅうみょうしんじは)の由緒ある禅寺です。
奥庭のてっ草園は、自然の岩山を背景とし、池の周囲にモミジを加えた素晴らしい庭園。どちらを見ても絵のようです。京都でも、これほど完璧な庭園はめったにないと思います。
今回は、梅雨末期の雨が降る日にお参りさせていただきました。池が雨にけぶり、新緑がしっとりと潤って、格別な風情です。
こちらは水琴窟(すいきんくつ)。水滴が、えも言われぬ美しい音を奏でます。
季節ごとにまた違う趣にきになるとのことで、遠方から何度も通う方がいらっしゃるとか。
とりわけ秋には、このように見事な紅葉に彩られます。
写真提供/慈恩護国禅寺
慈恩護国禅寺ではある体験も! 次のページでご紹介します。
慈恩護国禅寺では、お念珠作りの体験もできます。
こちらではご祈祷もしてくださり、お守り「ご祈祷お念寿」として授けてくださいます。
指導してくださるのは副住職さん。世界各地で産する美しい天然石の珠が何種類も準備され、自分の好みで選べます。
ご祈祷料は、珠代も含めて6~8千円程度(選ぶ珠によって違う)。
お寺の都合によりできないこともあるので、希望者は必ず事前予約してくださいとのことです。
慈恩護国禅寺のホームページ
http://www.jionzenji.com/index.html
さて、いよいよ、郡上八幡の最大の見どころである郡上踊りについてです。
盆踊りで有名な地域は日本各地にありますが、郡上踊りほど、長く行われるところはほかにありません。
他の地域では、主にお盆前後の何日間かしか開催されませんが、郡上では、7月の上旬にスタートし、9月の初めまで、30回以上も盆踊りが行われます。7月下旬から開催日数が増え、気温の上昇と相まって、盆踊り熱はどんどん高まります。
まずは、この日程表を見てください。
http://www.gujohachiman.com/kanko/odori_schedule.html
これほど何度も盆踊りが行われるのは、郡上に神仏が多いから。
日によって場所が違うのは、それぞれの神仏の供養や何らかの記念日のための踊りだからです。
参加してこそ楽しい郡上の盆踊り。詳しくは次のページに続きます。
お盆前後の4日間は、夜8時から朝まで踊り続けです。近年では、全国の盆踊りファンがこの徹夜踊りに参加するためにやってきます。郡上八幡は小さな町なので、それだけの人を収容する宿泊施設などはありませんが、そもそも徹夜なので、その晩の宿は必要ありません。中には、これに参加するための弾丸ツアーでやってきたり、近くにテントを張って滞在する人もいるようです。
徹夜踊りの日でなくとも、夏の間、踊りのある日の郡上は華やぎます。
町には浴衣姿の女性があふれ、屋台も並び、懐かしい夏祭りの風情を存分に味わうことができます。
どんな盆踊りもそうですが、とりわけ郡上踊りは、参加してこそ楽しいものです。
10種類の踊りがあり、中にはちょっとむつかしいものもあるけれど、大方は比較的単純な動きのくりかえしです。
完璧に踊れなくても大丈夫。ぜひ輪の中に入ってみましょう。
浴衣を持ってこなかった方にはレンタルもあるし、着付けもしてもらえます。
事前に少し練習をしたいときは、レッスンに参加してみましょう。
そういった情報は、町のあちこちにお知らせが貼ってあるので、簡単に見つけられます。
郡上踊りの必需品は…。次のページに続きます。
郡上踊りでは、下駄が必需品です。
足を蹴り上げたり跳んだりする振付が多く、下駄の音もリズム楽器のひとつとなるからです。何度も参加する地元の方は、下駄の歯がどんどん減るため、ひと夏に三回は下駄を買い替えるそう。また、踊りの最中に鼻緒が切れて修理が必要になることもあるため、夏の間、下駄屋さんは大繁盛。
歌やお囃子は、録音したものは使わず、必ず生です。
年季の入った方の生声は、艶があって、とても魅力的。
踊りの輪の中には地元の保存会の方も交じっておられるので、特に上手な人を見つけたら、その人のマネをすればいいのだとか。
また、その方々は審査員でもあり、一般の人の中から上手な人を探し出して免状をくださるそうです。参加するからには、ぜひそれを目指してがんばりましょう。
郡上踊りの歴史などについて学びたい方は、郡上踊り博覧館に行ってみましょう。
こちらでは郡上踊りの実演も見られますし、少しですが、踊り方も教えてもらえます。
http://www.gujohachiman.com/haku/
吉田さらさ
公式サイト
http://home.c01.itscom.net/sarasa/
個人Facebook
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