舞妓さん愛用の「ちり紙」ぎをん やま京
夕暮れ時、舞妓さんや芸妓さんが、お座敷に足早に向かう姿は、京都にいることを実感させる情景です。鴨川沿いの「南座」の周辺は、京都五花街のうち、「北野天満宮」のおひざ元にある上七軒を除く、祇園甲部、祇園東、宮川町、先斗町の4つの花街が集まっています。そんなエリア、四条通をちょっと大和大路沿い下がったところにある「ぎをん やま京」は、歌舞伎役者、舞妓、芸妓などが贔屓にする、大正時代創業の紙の専門店。
店内には、舞妓さんの名刺となる千社札や、心付けを渡すポチ袋など、さまざまな品が、天井まで、所狭しと並んでいます。
この店で、密かな人気商品が、「ちり紙」。今やティッシュペーパーが一般的ですが、お座敷で、口元を抑えたりするには、ティッシュでは、あまりに風情がありません。着物の袂などに忍ばせるのは、折り畳んだ薄い「ちり紙」。ひと昔前までは、町の文房具屋さんなどで見かけた品ですが、今や扱うのは、このお店だけだそう。
この「ちり紙」は、和紙作り方と同じ方法で、長い繊維を漉いてできており、そのためティッシュのようにボロボロになったり、細かいほこりが立ちません。「花粉症の方が、よくお求めになります」と、ご店主。絹を思わせる柔らかな感触、花粉症で、荒れた鼻の周りも、これなら…と思わせる使い心地。毛羽立たないので、くしゃみもでません。
メイクの時にも、肌にやさしい「ちり紙」は、大活躍しそう。口紅をそっと抑えたり、ティッシュでは得られない、しっとりとした風情が漂い、女ぷりも上がったような気持ちに。
必要な分だけ、折り畳んでバッグなどで携帯。どんなに折っても、長繊維でできているため、手で伸ばすと、表面のシワが消えてゆきます。
ティッシュに比べ、価格はかなり高め。だから用途に合わせて、使い分けを…。でも、和装の袂や、パーティバッグなどに忍ばせるものとして、かなりステキ!まさに京美人の必須アイテム。
「京都に来たとき、まとめ買いされる方も多いんですよ」とご店主。
花粉症だという東京の友人に見せたところ、「頂戴!」とねだられ、しぶしぶ2枚上げました。友人は、その「ちり紙」を手に取ると、「もったいなくて鼻かめない…」と、大切そうに折り畳みバッグへ。いったいいつ使うのでしょ?触れているだけで、幸せな気分になれる薄い薄い「ちり紙」です。
ぎをん やま京
京都市東山区大和大路四条下ル大和町2
☎075-561-0172
営業時間 9:00~21:00
日曜・祝日10:00~18:00 水曜休み
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」