「十和子道」 第17回
「50歳を過ぎたら、美人と思われる秘訣は顔より髪にあり」(前編)
「髪は顔の一部。輝く髪を作りましょう」
「つややかな髪は宝石にも勝る。清潔な色気とエイジレスな魅力を放ちます」
「髪には残酷なくらい、年齢や美意識が表れてしまいます」
これらは今からちょうど10年前、40歳のときに出した「十和子塾」という美容本の中で私がお話ししたことです。
当時から美髪の大切さはわかっていたつもりでしたが、髪のエイジングがいかに女性の印象や容姿に影響を与えるかを50歳になろうとしている今、10年前とは比較にならないくらい痛感しています。
顔はメイクが施せますし、ボディラインは服や下着である程度はカバーできる。でも頭髪は360度全方位で周囲にさらされ、ツヤ、コシ、ボリューム…と、「素材のポテンシャル」が、そのまま露わになるシビアな場所です。陽や光が当たって地肌が透けて見えたり、毛のうねりやパサつき感、頭頂部や分け目、生え際部分の薄毛…など、人目には「老け」をダイレクトに感じさせてしまうパーツなのに、なぜかなかなか自覚しにくい(したくない?)ところでもあります。
40才を過ぎるころになると「実際の年齢よりも髪が先に老けてしまう人」が、急に増える気がするのですが、それは、髪が全体に与える影響の大きさに私たち世代の女性があまり気づいていないからかもしれません。
(人生で一番髪を長く伸ばしているのが今。シニヨン、編込み、ハーフアップ…さまざまなヘアスタイルを楽しんでいる)
でも幸いなことに(?)我が家には「老いの変化」を情け容赦なくというか、屈託なくというか(笑)、助言してくれる人たちが側にいるので(主人と娘です)40代半ばには「逆光だと生え際の地肌が透けて見えるよ」とか「そろそろ育毛ローションを使ったほうがいいかも」とか、自分が髪の衰えを感じる前に、痛烈に指摘されています(笑)。
今思えばありがたい限りなのですが。
自覚としては40代後半にさしかかる頃から出始めた前髪の生え際の強いクセ。これはあきらかな髪の老化のサインだと受け止めています。頭皮が下がったことで毛根が潰され、毛穴が楕円になり、生えてくる髪がある一定方向に偏ってしまう。それが生え癖と言われるものです。
となると、エイジングが始まった髪にとって一番に考えるべきは「頭皮」。下がった頭皮(固くなった)を柔らかくすること。それはイコール頭皮の血流を促すことになり、毛髪の質に直接的な影響を与えます。
自己流ですが、頭皮マッサージを本格的に始めたのは40代後半からでした。それまでもマッサージらしきことはしていましたが、今思えばただやみくもに地肌をこすっていただけだった…と猛省。「頭皮を柔らかくすること」=「頭皮の血流を促すこと」を考えたら、必要なマッサージは「地肌をこする」ことではなく「動かす」ことです。
今では
① 朝晩2回のブラッシングによる頭皮マッサージ
② シャンプー時、スカルプブラシで頭皮クレンジング&マッサージ
③ 隙あらば生え際を指でマッサージ(これは以前「十和子道」第13回で「十和子ツボ」としてご紹介しました。主に耳の両脇など、押し込むように動かすと側頭部も連動して動く、というものです)
という十和子流の3つのマッサージを行なっています。(①②はのちほどご紹介します)
私は、顔は一切マッサージしないかわりに、今その労力と時間はすべて頭皮へ注いでいます。
なぜなら「美肌は髪をフォローしないが、美髪は肌をフォローしてくれる」という頭髪優位の補完関係があるから。今、本気で取り組むべきは「老けない髪」のためのケアだと思うのです。
今回はブラッシングをはじめとする、私の「ヘアケア6つの流儀」をご紹介します。
流儀①朝晩2回の50回ブラッシング!
頭皮の血行を促すため欠かさずにやっているのがブラッシングです。若い頃やっていたような髪の毛の表面にツヤを出すためのブラッシングではなく、あくまで「頭皮の血流を促すため」のマッサージ。加齢や血行不良による硬化で、引き下げられてしまった頭皮を上へ上へと押し戻すことが肝心です。私は頭皮を持ち上げる感じでブラシを入れています。毎日ブラッシングしていると、頭皮の微妙なコンディションの違いもわかってくるもので、あれこれといらぬ考え事をした次の日の朝は、前頭部や頭頂部がちょっと張っていたり硬くなっていたり…。そういうときは、オプションで、両手指でグイッとマッサージを追加します。そんなちょっとしたひと手間が、髪を元気にするからです。
<ブラッシング法1>
髪と髪の間に空気を入れるようにソフトにブラシを通します。絡んだ髪があるとブラッシングの際にダメージを与えてしまうので、やさしく梳かします。毛先は更にソフトタッチで。
<ブラッシング法2>
頭頂部から前方を5ブロックに分けて、ブラシを入れていきます。まずは耳上の生え際から後頭部中央にかけてゆっくり10回繰り返します。各ブロック10回ずつで計50回。
<ブラッシング法3>
2ブロック目は、こめかみの斜め上あたりから頭頂部へ向かって、ブラッシング。生え際にブラシを垂直に当てて、フェイスラインを引き上げるようにゆっくりブラシを動かしてください。
<ブラッシング法4>
3ブロック目は中央。ここは血行が悪く、頭皮が最も固くなりやすい部分。毛量も落ちやすいデンジャラスゾーン。痛みやつっぱり感はありませんか?血行不良になっている証です。
<ブラッシング法5>
4、5ブロック目は逆サイドの斜め。やはり生え際を意識して、顔や地肌からブラシが離れないようにブラッシングしてください。血流がUPし、くすみやむくみにも効果があります。
<ブラッシング法6>
バックサイドは3ブロックに分けて、10回づつ計30回。まずは耳の後ろあたりから頭頂部へ向かって10回。様々な方向からのブラッシングは、地肌や毛根にも刺激を与え、血行を促進します。
<ブラッシング法7>
バックサイドの2ブロック目はうなじの中央から真上に向かって。髪の流れとは逆行する動きなので、ブラシが浮きがち。地肌にブラシをしっかり深く当てながら、ゆっくりと大きく動かす。
<ブラッシング法8>
バックサイドの3ブロック目。頭部や頚部はツボが集中している血流の重要ゾーン。忘れがちになる後頭部も、ブラシを使ったマッサージで毎日お手入れを。日々のコツコツで必ず髪は変わります。
<ブラッシング法9>
シャンプー前には抜け毛や毛髪についた汚れを取るために、軽く髪全体をブラッシングします。勢いよく何度も梳かしたり、毛先まで梳かすと切れ毛の原因になりますので、やさしく、ゆっくり、少しだけのミニマムで。
★ブラッシング法のご紹介で使用しているブラシは…
ACCA KAPPA プロテクションブラシ。ナイロン素材のループ状のブラシが頭皮を刺激し血行を促進。
★他にもあります。愛用のブラシたち
一番手前は豚毛とナイロン毛をミックスしたラ・カスタ ヘッドスパブラシ。手前から2番目は今一番ヘビーユーズのドクターズスカルプヘアケアブラシ。「白い小さめのブラシは出張のときや持ち歩き用。どれもみんな地肌にアプローチするブラシです」
撮影/冨樫実和 取材・文/稲田美保 ヘア/黒田啓蔵
*オールカラー、自宅で撮影、オール私服、収録写真400点
「十和子道」大好評発売中!
電子版には特典としてプライベートを含む計276点の写真とコメントを特別編集した「エブリディ十和子」がついています!