「コスメ業界では、ボリュームアップ&リフトアップ技術が急速に進歩しています」と話すのは美容ジャーナリストの小田ユイコさん。2020年後半に発表された各社の化粧品の新知見を小田さんがレポートします。
まずは、肌の奥を可視化する技術を新たに開発した資生堂の研究からです。
お話をお伺いしたのは
江連智暢さん
資生堂グローバルイノベーションセンター フェロー。化粧品研究のオリンピックといわれるIFSCCで4回連続最優秀賞受賞を達成
肌のたるみ研究で世界をリードする資生堂
「新たにわかった“たるみ”の原因は、コラーゲンを作り出す線維芽細胞の『孤立化』。線維芽細胞は単独ではうまく働けず、手を取り合ってネットワークを張ることで質のいいコラーゲンをしっかりと生み出すことができるのです」
それを証明できたのは、肌の奥を可視化する技術だといいます。
「電子顕微鏡解析技術を開発し、肌の奥にある線維芽細胞まで立体的に見ることに初めて成功しました。若々しいハリ肌では、実際に線維芽細胞が手と手を取り合い、しかも立体的にネットワークを作っていることがわかりました」
資生堂では“圧”を加えることで肌が弾力を取り戻すことも研究。
「適度な圧は、線維芽細胞の母である幹細胞にアプローチ。コラーゲンで満ちた肌を作り出します」
元気な線維芽細胞のネットワークでハリを生み出す、画期的なアプローチもかなり期待できます。
たるんだ肌は…
線維芽細胞がバラバラでコラーゲンをうまく作り出せない状態
たるみ、しぼみが目立つ肌を、資生堂が共同研究で開発した特殊な電子顕微鏡解析技術で見ると、線維芽細胞がバラバラ。そんな線維芽細胞が作り出すコラーゲンはスカスカです。
線維芽細胞が孤立化した状態。
コラーゲンが少なくたるみ、しぼんだ肌に。
リフトアップした肌は…
線維芽細胞が手を取り合い協力してコラーゲンを生み出しています
若い肌の真皮では、線維芽細胞が立体的に手と手を取り合い、ネットワークを構築しています。このテンションを保った連係プレーにより、密度の高いコラーゲンを生み出します。
線維芽細胞がチームで働いて…。
コラーゲンで満ちた弾力のある肌に。(資料提供/資生堂)
イラスト/いいあい 取材・原文/小田ユイコ