今の化粧品は最先端のサイエンス研究の宝庫。特にポーラの発表は、2020年化粧品サイエンスにおいて大きな話題となりました。
お話をお伺いしたのは
山地史哉さん
ポーラ化成工業 フロンティアリサーチセンター研究員。素材の評価や肌悩みのメカニズム解明を行う
私たちの美しさの98%はまだ眠ったまま
2020年の化粧品サイエンスの中でも話題をさらった、“私たちの美しさの98%はまだ眠ったまま”という、ポーラの発表。
「人が持つDNAのうち、肌を育むタンパク質の設計図はわずか2%で、その他の98%はジャンクDNAと呼ばれていました。しかしそのがらくたから生み出されるLINC00942が後天的な遺伝子発現を調節することを発見。
ハリのもとを生み出す線維芽細胞など肌にかかわる遺伝子のスイッチを一斉にONにするカギであることがわかったのです」
後天的にONになるということは、肌の運命は遺伝や加齢だけでは決まらないということ。これは非常に勇気づけられます!
「ジャンクDNA研究に着手したのが10年前。LINC00942の働きを発見したときは、喜びもひとしおでした。そこからLINC00942を作動させる成分を探すこと1年。
研究チームが一丸となって来る日も来る日も成分を評価し続け、ようやく仙人穀や他の成分に到達。製品化することができました」
お宝遺伝子LINC00942が作動すると…
老化した細胞がエイジレスな状態に
LINC00942が増えると、線維芽細胞の遺伝子スイッチがONの状態に。老化で機能を発揮できなくなったエイジング細胞も、年齢に関係なくエイジレスな状態にリフレッシュ。(資料提供/ポーラ)
そしてエイジレス細胞がどんどん増えていく!
細胞分裂でエイジレス細胞が増えます。ピンク色が濃いほど、細胞活性(ミトコンドリア活性)が高い状態。
細胞分裂でエイジング細胞を増やしてしまいます。ピンク色が濃いほど、細胞活性(ミトコンドリア活性)が高い状態。
イラスト/いいあい 取材・原文/小田ユイコ