【お話を伺った方】
大学卒業後、2019年入社。主にミツバチ産品に関する研究知見や最先端の学術情報をもとに、皮膚科学を根拠とするサービスの企画開発および化粧品のブランドコンセプトの構築などに携わっている。
デセン酸が育毛に関わる細胞を活性化し、頭皮の保湿を促す
〔上の写真:これが累計販売本数160万本という山田養蜂場の育毛剤、薬用 RJ地肌ケア エッセンス<医薬部外品>。自然界では主にローヤルゼリーにしか含まれないという特別な成分が配合されている〕
セトッチ:これまで、漠然と「ローヤルゼリーは体によいもの」というイメージを持っていましたが、健やかな髪を育むということに関しても、すごくうれしい働きをしてくれるんですよね。
吉田:ローヤルゼリーには40種類以上」もの栄養成分が含まれていて、なかでも「デセン酸※」という自然界では主にローヤルゼリーにしか含まれない成分が大きくかかわっています。
デセン酸は、髪を作る司令塔として働く「毛乳頭細胞」を活性化することで、健やかな髪を育みます。
※10-ヒドロキシン-2-デセン酸
セトッチ:デセン酸というのはあまり聞き慣れない名前ですが、そもそも、どういうものなのでしょうか?
吉田:よく調理に使う油に関してオレイン酸とかリノール酸といった名前を聞くことがありますよね。これらは脂肪酸と呼ばれるものですが、デセン酸も、こうした脂肪酸の一種です。
昔からローヤルゼリーは「体によい」といわれ、「養蜂家の手がきれいなのはローヤルゼリーに日常的に触れているからではないか」などと伝承的に言われていましたが、ローヤルゼリーに含まれるどの成分が、どのように働いているのかなど、詳しいことはあまりわかっていませんでした。
でも、最近では研究が進み、ローヤルゼリーがすごくたくさんの働きを持っていることがわかってきました。
そして、さまざまな細胞試験、臨床試験の結果から、その働きに大きくかかわっているのは、自然界では主にローヤルゼリーにのみ含まれているデセン酸ではないかと考えられるようになっています。
前回お話しした、毛乳頭細胞を活性化する働きに加え、「紫外線のダメージから保護する」「肌の水分量を高める」といった働きが確認されています。
セトッチ:ローヤルゼリーエキス配合の化粧品もたくさんありますよね。
吉田:そうですね。デセン酸には、肌の保湿成分のもととなるフィラグリンの産生を促進するという機能があり、肌に対するこの働きが、まっ先に大きな注目を集めました。その一方、毛髪への影響はあまり考えられていませんでした。
しかし、頭皮の乾燥は毛根にある毛母細胞(髪の毛を生成する細胞)の活動を低下させてしまうことから、頭皮の水分保持が重要であると考えられるようなり、その結果、肌の保湿に活用されていたデセン酸が、頭皮と毛髪のケアにおいても注目されるようになりました。
セトッチ:頭皮を保湿して髪の毛が生育する環境を整えつつ、髪を作る司令塔や、髪を地肌につなぎ止める細胞も活性化するなど、デセン酸はあらゆる角度から育毛にアプローチするという感じですね。
吉田:ヘアケア以外にも、弊社の研究ではローヤルゼリーに含まれるデセン酸は「高齢者の筋肉量の回復」「更年期症状の改善」が期待できるなどさまざま研究結果を得ています。
毛髪をサポートする植物成分と浸透を高める新技術
セトッチ:なんだか知れば知るほど、デセン酸の働きってすごいですね!
吉田:弊社のローヤルゼリーエキスはデセン酸の含有率を重視しており、規格を設けています。
実は、生のローヤルゼリーというのは取り扱いが難しく、その成分を損なわないように抽出するには技術が必要になります。弊社では、独自の抽出技術を開発。さらに、デセン酸含有率に規格を設けることで、デセン酸をしっかりと含んだローヤルゼリーエキスを作っています。
セトッチ:「デセン酸含有率がこれ以下では山田養蜂場のローヤルゼリーとは呼べない!」ということですね。
吉田:そういうことですね。
セトッチ:そして、この薬用育毛剤「薬用 RJ地肌ケア エッセンス」には、ほかにもいろいろな成分が含まれていますよね。
吉田:天然由来の有効成分「タマサキツヅラフジエキス」と「グリチルリチン酸ジカリウム」ですね。
まず、タマサキツヅラフジエキスですが、これは、頭皮の末梢神経を刺激することで血行を促進し、毛根に栄養を届け、頭皮の新陳代謝を促して健やかな地肌を育みます。
グリチルリチン酸ジカリウムは、紫外線などの外部刺激による頭皮の炎症を抑え、頭皮環境を整える働きがあります。
セトッチ:あの手この手で、育毛を応援してくれる感じですね。
あと、商品のパンフレットに書いてある、「リポソームカプセル化」ってなんでしょうか?
吉田:これは2022年にリニューアルした際に取り入れた技術です。
リニューアルの際、「デセン酸リッチローヤルゼリーエキス」の配合量を従来品の3倍にしたのですが、その際に単に量を増やすだけではなく、さらにプラスになる技術を取り入れようということで採用しました。
この技術は、ローヤルゼリーエキスを100から130ナノメートルという非常に小さいカプセルに入れることで、より素早く頭皮に浸透するようにしています。
また、柔軟性の高いレシチン(リン脂質の一種で細胞膜を構成する物質)によってカプセル化しているので、肌へのなじみがよいというのも特徴です。
シリーズのシャンプーとコンディショナーで、さらに育毛に向けた地肌環境が
セトッチ:そういえばこの「薬用RJケアシリーズ」には、ここまでお話を伺ってきた「薬用 RJ地肌ケア エッセンス」のほかに、シャンプーとコンディショナーがあって、シリーズ全3ステップでのケアができるラインナップになっています。
シャンプーとコンディショナーにもローヤルゼリーエキスが配合されているのですよね?
吉田:はい。シャンプーとコンディショナーは、育毛に向けた地肌環境づくりを重視してローヤルゼリーを配合しています。期待している働きとしては主に頭皮の水分量を高めることですね。
硬くなった地面には水が浸透していきにくいのと同様に、頭皮も成分が浸透していく通り道がないと入っていかないので、育毛剤が入っていきやすいよう、水分量を整えます。
シャンプーは必要以上に皮脂を落とさないアミノ酸系洗浄成分を採用し、潤いを保ちながら毛穴の汚れをしっかりと取り除きます。そして、ローヤルゼリーエキスによって栄養たっぷりの水分を届けることで、ふっくらとした地肌にしていきます。
コンディショナーは、髪と一緒に地肌も同時にケアできるというのが特徴。髪と地肌にたっぷりとなじませたら、そのまま地肌をマッサージしてもOK。地肌パックのように、塗布後にしばらくおいてから洗い流すといった使い方もできます。
デセン酸リッチローヤルゼリーエキスや11種類の植物由来の美容成分が、ダイレクトに地肌に届くと同時に、髪にはハリ、ツヤ、潤いを与えてくれます。
製品開発のきっかけは病気の娘を想う親心
セトッチ:今日、いろいろとお話を伺って、山田養蜂場さんがローヤルゼリーの製品開発に真摯に向き合い、成分においても地道に研究しているということがよくわかりました。
そして、こうした研究からきちんとエビデンスが得られたものだけを製品に生かすという姿勢が、長年愛される製品を生み出している背景になっているのだなと思いました。
ローヤルゼリーは昔からよく知られていますが、そのほかにも「美容や健康によい成分」というのはいろいろあって、はやり廃りもあると思うのですが、山田養蜂場さんがこれほどまでにローヤルゼリー、あるいはミツバチ産品の研究一筋で歩んでこられた理由は何でしょうか?
吉田:それをご説明するために、弊社の歴史を少しお話しさせていただきます。
創業者である先代(現在の社長の父親)はもともと四国の生まれで、トラックに蜂の巣箱を積み、蜂の生育に適した環境を求めて季節ごと各地をまわる「移動養蜂家」でした。
そして戦後間もない頃良質なれんげ畑が広がる岡山県苫田郡鏡野町にたどり着き、ここに定住して養蜂場を作りました。
その後、創業者は結婚し、現在の社長である息子と娘を授かったのですが、娘は生まれながらにして心臓に疾患を持っており、いずれ手術を受けるよう医師から言われていました。そこで、創業者は「なんとか手術ができる体力をつけさせたい」と、さまざまな食品を研究するようになったそうです。
そして、ちょうどその頃、危篤状態のローマ法王(ピオ12世)がローヤルゼリーで回復したというニュースが日本でも話題となり、創業者は早速ローヤルゼリーの研究を始めたというのが、弊社のローヤルゼリー研究の起源です。
セトッチ:そうですか…。「娘さんを助けたい一心で」という親心がきっかけなのですね。その想いが今の製品作りにも引き継がれているということでしょうか。
吉田:はい。その後、娘は残念ながら手術のかいなく亡くなってしまい、娘の死に創業者は大きなショックを受け、打ちひしがれた日々を送っていました。しかし、愛用者の方々からの製品を望む声を聞くうちに、創業者は「娘と同じように、病気で苦しんでいる人がたくさんいる。多くの人々の健康を守るのが使命ということを娘は教えてくれた」と考えるようになり、それ以降、いっそう本格的に養蜂と製品の開発に取り組んでいく決意を固めたとのことです。
6ヶ月周期というヘアサイクルを考えての価格設定
セトッチ:ギリコさん、ただいま…。
ギリコ:セトッチさん、取材お疲れさまでした。いかがでしたか?
セトッチ:社員の方々が熱心にローヤルゼリー研究に取り組まれているということが伝わってきました。取材に出かける前、ギリコさんに山田養蜂場の研究所の論文発表数326報と聞いて驚きましたが、取材中感じたあの熱意に、その数も納得できました。
そして何よりも、ミツバチとローヤルゼリーへの愛が深くて…。
こういうマインドも製品開発にはすごく重要なのだなということを実感しました。
ギリコ:そういえば私はハイキングや里山歩きが趣味なので、自然保護活動に関する話題をよく検索しているのですが、先日山田養蜂場さんではミツバチが生育できる環境を守るためにということで、植樹活動を長年続けているという記事も目にしました。近年、環境破壊や地球温暖化などから世界のミツバチの数が減少しているということがニュースになっていますからね。
次世代にミツバチが生育し続けられる環境を残していくための取り組みのひとつなのでしょうが、ほかには全国の小学校に自然科学を中心とした本を寄贈する活動も行っているようです。確か、その冊数もすごかった記憶が(※のべ69,953校に、トータル75万冊以上寄贈:山田養蜂場HPより)。
山田養蜂場の製品は長年の愛用者が多いようですが、こうした形で環境保全や次世代育成にかかわっているという姿勢を、SDGsの考えが世間に浸透しつつある今、買う側もしっかり見て評価しているのかもしれません。
セトッチ:そうですね。今回、〝そもそもローヤルゼリーとは何か〟から始まってしっかり学んだら、さっそくギリコさんおすすめの「薬用 RJ地肌ケア エッセンス」を使ってみたくなりました。それも〝なんとなく使ってみようかな〟という漫然とした気持ちではなく、〝よし、ローヤルゼリーのパワーをいただくぞ〟という気持ちで使ってみようかと。
ギリコ:それはすごい! 取材の成果ですね。お米や野菜などの食材もそうですが、作り手の話を聞いてその品への関心が強くなるのは、単に消費しているだけでは味わえない楽しさを感じられるようになると私は思っているので、それを聞いてうれしいです。
それに薬用育毛剤というと1本1万円前後の商品が多い中、これは150mlのボトル入りで6,050円(税込)。育毛剤の中では手頃なお値段といえますので、セトッチさんのような育毛剤ビギナーにも手に取りやすい価格かなと思います。
セトッチ:そうそう。お値段の話も伺いました。1本でおおよそ2カ月使用できるので1カ月あたりにすると3,000円くらいというのもお財布にうれしいと思いました。
この価格を設定するにあたっては、続けやすい価格ということを考えたそうです。毛髪の生え変わりのサイクルを考えると、育毛剤の効果を感じられるのにはおよそ6カ月かかるので、ぜひ6カ月は使い続けてみてほしいとのこと。使い続けられるということも大切ですよね。そういえばお試しセットもあると言っていました。
〔上の写真:これが、30ml入りの薬用 RJ地肌ケア エッセンスとシャンプー、コンディショナーがセットになった「15日間お試しセット」¥550(税込)。「まずはこちらを試してみるのもいいかも」(セトッチ)〕
ギリコ:何度もセトッチさんにはお伝えしてきましたが、髪も肌と同じでケアをすれば応えてくれます。
年齢を理由に美髪を諦めるなんてもったいないですよ、一緒に頑張りましょう。
そのためにも、私はこれからもいろんな製品を試し、よいものがあればセトッチさんや読者の皆さんにご紹介しますね。
〔上の写真:OurAge編集部員ギリコの自宅洗面所の写真。今、お試し中またはこれから試用する予定のヘアケアアイテムがたくさん!しかも「これはほんの一部です」とのこと〕
取材・文/瀬戸由美子