美しい人やものって、とても影響力があるのです。
キレイは連鎖し、幸福は必ず伝播します。
~書籍「十和子道」P23、P106より~
<担当編集者からみたこの言葉の背景>
「口紅を塗った母の顔がきっかけだと思います」
美容について興味を持つきっかけがお母さんであるときいたとき、あぁやっぱりと思った。
十和子さんのお母さんてきっと一日中家にいるような日でもメイクを欠かさないような方なんだろう、早く大人になってお母さんみたいにキレイにお化粧してみたいという憧れが十和子さんの美容への熱意の原点なんだろう……と私はすぐさま想像した。
けれど意外な方向へと十和子さんの話は続いた。
「子どものとき家には白いお砂糖がなかったんです。
紅茶を飲むときは精製されていない茶色のお砂糖を入れて飲み、おやつは全て母の手作り。
合成着色料などが入ったものは食べさせてくれませんでした」
今の言葉でいうなら、〝ヘルスコンシャス〟または〝意識高い系〟なお母さん。
大事な子どもたちの体を育むものはできるだけよいものを、と心を砕いていたのだろう。
「そしていつも素顔。
メイクはしない人でした。
でもあるとき結婚式か何か特別な場に出かけるときだったのかな、母が口紅をつけたんです。
その顔を見たとき、わぁ、キレイ!って思って。
一本の口紅が起こす魔法を目の当たりにしたんです」
中学生になるとティーン向けのファッション誌を夢中で読み、さらにメイクへの憧れと興味を募らせた。
「そして初めて買ったコスメは忘れもしない『パーキージーン』」
ふふ、と微笑んで十和子さんがそう言うのをきいた瞬間、私もライターも同時に大きな声を出していた。
懐かしい!パーキージーン!
あったあった、パーキージーン!
「当時のテレビコマーシャルをよく覚えてます、モデルが「パァキィジィィン」って外国風の発音で言ってましたよね」
「私が初めて買ったコスメはキャンパスリップでした。パーキージーンは大人過ぎて手を出す勇気がなく、リップクリームで精いっぱい」
「キャンパスリップって唇がうすーくピンク色になるんだよね、私も持ってた!あれだけで鏡を見たときはドキドキでした!」
……同世代の女性3人、もう話は止まらない。
一本の口紅が母親に起こした美しい魔法を心に刻んだ少女は、成長し美容家になった。
〝美しい人やものって、とても影響力があるのです〟
この格言を読むとそのときのインタビューを思い出す。
ちなみにこの記事を読んでくださっているあなたの〝初めてのコスメ〟は何でしたか。
(毎日目にするリビングのテーブルには美しい生花を絶やさない。花材を選ぶのは夫・誉幸さんの役目/「十和子道」P20より)
*オールカラー、自宅で撮影、オール私服、収録写真400点
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