免疫力にも関係しているリンパ節や首の皮膚の特徴など、首が老化しやすい理由を、皮膚科医の髙瀬聡子先生に2回にわたって伺いました。
首の皮膚は薄く乾燥しやすい
●顔の約3分の2の厚さで伸縮性はあるが外刺激に弱い
「大切な首を守っているのは皮膚です。しかし、顔の皮膚の厚さは約1.7㎜なのに対し、首は1.2㎜しかありません。特に真皮が薄く、皮下組織との結合が弱いため、ハリがありませんが、よく動く場所に対応して、伸縮性が高いのが特徴です。
さらに、汗腺が多く汗をかきやすいのに、皮脂腺が少ないため、とても乾燥しやすいのです。さらにターンオーバーが顔などと比べて遅いので、首には老化のサインであるシワやたるみが出やすいのです」(髙瀬聡子先生)
●首の皮膚は薄くて弾力がない
顔の皮膚は真皮が厚く、皮下組織との結合がしっかりしているので弾力があります。一方、首の皮膚は真皮が薄く、皮下組織との結合が弱いため、伸縮性がよく、動きやすい構造です。
リンパ節が多く、老廃物がたまりやすい
●免疫力にも関係している
「私たちの体にはリンパ液が流れるリンパ管があり、その途中にリンパ節があります。これらは各細胞から受け取った老廃物の集積所であり、外から入ってきた細菌やウイルス、体内に発現したがん細胞などの異物がないかをチェックし、免疫機能を発動する『関所』のような役割をします。このリンパ節は全身に800カ所以上ありますが、そのうち、首とデコルテまわりに約200カ所が集まっています」。
首のケアをしてリンパの流れを促し、新陳代謝を活性化することは、顔や首のむくみやくすみ、シワを解消するだけでなく、免疫機能を強化する効果もあります。
「今のコロナ禍に、首メンテを行うことはとても有意義です」
お話を伺ったのは
髙瀬聡子さん
Akiko Takase
1969年生まれ。ウォブクリニック中目黒総院長。皮膚科医。東京慈恵会医科大学附属病院勤務を経て、2003年にスキンケア化粧品「アンプルール」の研究開発に携わる。’07年より現職。丁寧でわかりやすいカウンセリングで、特に美容医療と薄毛治療に定評がある。雑誌やWEBサイト、テレビでも活躍
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/山村浩子