専門医、専門メディカルスタッフによるチーム医療を行い、足の総合的な治療とケアを行う。
かかとのガサガサ、何が原因?
かかとのガサガサの原因は「乾燥」だけではありません。いくらケアをしても改善しないのなら何かほかの理由が隠れているのかも。まずは原因を解明し、正しいケアを意識しましょう。
原因1 ガサガサのループ
ガサガサが摩擦や刺激で悪化する
ガサガサになったかかとは皮膚に凹凸がある状態。凹凸が多いほど、床や靴などとの摩擦が大きくなり、ガサガサが悪化していきます。少しでもガサガサしてきたなと思ったら、専用のやすりで削って保湿するなど、平らに柔らかくするケアを行って。
原因2 乾燥
足は一年を通して乾燥にさらされている
冬はもちろん、肌を出すことが多い夏のかかとも、エアコンによって意外と乾燥しています。さらに、かかとは汗腺が少ないため汗をかきません。バリア機能の低下も加わり、季節に関係なく一年中乾燥にさらされ、ひび割れを起こしやすいのです。
原因3 合わない靴との摩擦
かかとが小さい人が意外と多い⁉
かかとが小さくて靴の中で動き、その摩擦が原因になっているケースも。足にフィットしない靴は、かかとのガサガサだけでなく、歩き方にも影響。足の健康のためにも、お店で相談し、かかとが動かない、足にフィットした靴を選んで。形の崩れた靴は一度見直しを。
原因4 はだし生活
衝撃から足を守るため、角質肥厚に
立っている状態で、かかとにはなんと体重の70%がかかっています。その衝撃からかかとを守るため、角質がどんどん厚みをおび、ひび割れていきます。はだしで過ごしたり、素足にサンダルを履くことが多い人は要注意。できる範囲で、靴下やスリッパを履くなどの心がけを。
原因5 水虫
水疱(すいほう)や虫食いのような皮むけがサイン
ケアをしても改善せず、水疱や虫食いのような皮むけがあったら、それは水虫かもしれません。指の間に発症するイメージが強い水虫ですが、実はかかと周辺にできることも多いとか。気がつかない人も多く、治療が遅れがちに。気になる症状があれば、専門医に相談しましょう。
足の健康や体のクセ、生活習慣が原因の可能性も
「かかとには体重の70%がかかります。年齢とともに筋力、柔軟性が低下してくると、足への負担はさらに大きくなり、その衝撃に反応するように角質は厚く硬くなります。加齢とともに皮膚のバリア機能は落ち、ターンオーバーも乱れますから、乾燥した厚いかかとはひび割れたり、再生に時間がかかったりするのです」と桑原靖先生。
改善しない場合は乾燥以外の原因も。
「水虫や皮膚疾患の可能性もありますし、歩き方のクセや体の柔軟性の低下、生活習慣などが原因の可能性も。巻き爪など足の不調でフットケア外来を訪れる患者さんの多くは、かかとがガチガチに硬くなっています。かかとの状態から足のトラブルや健康上の問題が見つかることもありますので、ガサガサが気になったら、まずは正確な原因を見極めることが大切です」
40代、50代こそ、かかとケアが重要!
●40代、50代はガサガサスパイラルに陥りがち
40代、50代は筋肉量の低下などから血行が悪くなり、皮膚のターンオーバーが乱れ、角質肥厚に。コラーゲンも減少するので、肌の弾力が衰えてバリア機能が低下。水分を保持しにくく、厚いかかとがひび割れてガサガサに。
●ガサガサかかとは放っておくと菌の温床に!
乾燥してひび割れたかかとの溝は、水虫をはじめ菌が入りやすいうえに洗い流しにくく、繁殖しやすい環境に。特に40代、50代は、コーティングの役割を果たす汗や皮脂も少なくなるため、菌の格好の温床に。
●皮膚はターンオーバーによって再生。ケアをすれば改善します
皮膚は約1カ月でターンオーバーするので、頑固なガサガサかかとも、ケアを続ければ改善していきます。年齢を重ねるとターンオーバーも乱れがちになりますが、あきらめず継続し、改善後は予防のケアも忘れずに。
●痛みや歩き方の変化による二次トラブルに注意
かかとのガサガサを放っておくと、皮膚が割れて痛みを伴うことも。無意識に痛みをかばう歩き方になってしまい、その結果、膝や腰に痛みが出るなど、二次的なトラブルや症状を引き起こすこともあるので注意して。
イラスト/かくたりかこ 取材協力/桑原 靖 取材・原文/高田あさこ