ビューティサイエンティストの岡部美代治さんの協力のもと、しみが生まれるメカニズム全体を見通す図解を実現。化粧品メーカによって変わる表現・しみ予防成分の効きどころもこれで丸わかりです!
ビューティサイエンティスト
岡部美代治さん
Miyoji Okabe
大手化粧品ブランドで商品開発、マーケティングなどを担当し、多くのヒット商品を手がける。 現在は美容コンサルタントとして講演や美容セミナー、雑誌などでも活躍
ランゲルハンス細胞は、肌に異物が進入しないように防御する見張り番役の免疫細胞。紫外線やフリーラジカルの危険を察知すると、メラニン合成指令成分を放出し、メラノサイトがメラニンの合成を促進して紫外線から表皮細胞を守ります
有棘層(ゆうきょくそう)に滞留しているメラニンが、
透けて見えているのがしみです
「しみの原因はさまざまですが、大きくは紫外線や大気汚染など。これらが刺激となって肌内部に炎症を起こし、フリーラジカルや『メラニンを作れ』と命令するメラニン合成指令成分が生まれます。これらが肌の奥の基底層にあるメラノサイトに届くとメラノサイトが活性化。すると、メラノサイトの内部で、酵素チロシナーゼの作用を受けてチロシンというアミノ酸が徐々に変化し、メラニンになります。メラニンはメラノサイトから基底細胞、その上の有棘層にある有棘細胞へと、次々と受け渡されていきます。健康な状態の肌であれば有棘細胞でメラニンは分解・排出されるのですが、さまざまな理由で『メラニンを作れ』と命令され続けることで、メラニンが有棘細胞に滞留。このメラニンが肌表面に透けて見えるのが、しみです。実はメラニンが角質層まで押し上げられることはありません。しみとは、有棘層に留まっている多数のメラニンなのです」と岡部美代治さん。
では、化粧品の美白(しみ予防)成分はどこでどう効くのでしょう?
「効きどころは大きく3つ。タイプAは、フリーラジカルやメラニン合成指令成分が生まれないようにストップをかけるもの。タイプBは、メラノサイト内でメラニンの発生をブロック。タイプCは、できてしまったメラニンを早く追い出したり、分解を促進したりするものです。とはいえ、多くのしみ予防美容液にはこれら複数の効きどころで働く成分が配合されているため、実はその効果には大きな差はないともいえます。しみケアで最も大切なのは、継続すること。使い続けられる価格や好みのテクスチャーの製品で、いかにケアを続けるかがポイントです」
しみケアに終わりはないのです!
TYPE A メラニンの生成指令や発生原因を止める
●γ-オリザノール
●カモミラET
●コウジ酸
●トラネキサム酸
●ビタミンC誘導体
TYPE B メラニンの発生をブロックする
●アルブチン
●コウジ酸
●ハイドロキノン
●ビタミンC誘導体
●4MSK
●ルシノール
TYPE C できたメラニンを還元・排出、分解促進
●エラグ酸
●ニコチン酸アミド
●ハイドロキノン
●ビタミンC誘導体
●4MSK
監修/岡部美代治 イラスト/きくちりえ(Softdesign) 取材・原文/國藤直子(STRIPE)