【お話を伺った方】
美容業界で活躍して50年以上という、業界の重鎮。大手化粧品メーカーで商品開発、マーケティングなどを担当し、多くのヒット作を手がけたのち、独立。現在は美容コンサルタントとして講演やセミナー、商品開発・美容教育アドバイスなど多方面で活躍。化粧品の基礎から製品化までを研究してきた多くの経験をもとに、スキンケアを中心とした美容全般をわかりやすく解説し、正しい美容情報を発信している。
OurAge世代になると、やっぱり気になるのがシワ、たるみ。若く見える友人と、そうでない自分の違いはシワ、たるみが大きく影響しているような…。刻まれた目尻のシワやほうれい線、美容液でなんとかできる?!
「医薬部外品」はやっぱり効果が高い
シマコ:男爵、こんにちは。今日はシワ、たるみ対策の美容液について教えてください。これまたたくさんあって、クリームタイプやスティックなど、形状もさまざまです。先日、原宿駅前の某コスメティックショップで「リンクルクリームはクリーム? それとも美容液?」と悩んでしまいました。
男爵:リンクルクリームといわれるものも、美容液のカテゴリーと思ってもよいですね。
美容液は粘性のある液状のいわゆる「セラム」タイプが主流ですが、ジェルタイプや美容クリームと呼ばれるもの、スティック型やパウダータイプなど、種類が増えてきました。
いずれも美容液としての機能をしっかり果たしてくれるのですから、ブランドやテクスチャー(質感、使用感)の好みで選んでかまいませんよ。
シマコ:そうなんですね。それから「医薬部外品」とそうでないものでも悩んでしまいました。
男爵:医薬部外品の化粧品とは、厚生労働省が承認した有効成分が一定濃度で配合され、肌に機能する効果が期待できるもの。
「薬用化粧品」は「医薬部外品」と同じ意味です。「化粧品」は医薬部外品と比較すると効果は緩やかですが、もちろん各社の研究の上に作られていますから、効果は期待できます。要するに、国が承認したかどうかですね。
シマコ:なるほど。もうひとつ質問です。美容好きな方々の記事やSNSで、よく「美容液の重ねづけ」をするテクを見かけるのですが、やはり効果が上がるのでしょうか?
例えばA社の美容液を塗って、そこにB社の美容液を重ねて塗り込む…という感じなんですが。
男爵:僕はおすすめしませんね。化粧品は「用法・用量を守る」ことで、最も効果を発揮するようにできています。
成分が喧嘩するわけではありませんが、化粧品開発に携わってきたプロとして、ひとつの美容液を1カ月(肌のターンオーバーは28日で約1カ月なため)は継続的に使うことが、正しい使い方だと思っています。
シマコ:わかりました。たくさんある中から愛すべき1品を見つけて、1カ月間、そのコスメと二人三脚したいと思います。
男爵:ぜひそうしてください。今日はシワ、たるみにおすすめの3点をご紹介します。
医薬部外品もふたつあり、より効果を実感していただけると思います。
〔上の写真左から:メナード 薬用ラインズリセット<45>[医薬部外品]、花王 ソフィーナ iP ハリ弾力注入美容液、富士フイルム アスタリフト ザ セラム リンクルリペア<薬用シワ改善美容液>[医薬部外品]〕
◆ビタミンEを安定的に配合した名品
メナード
薬用ラインズリセット<45>[医薬部外品]
オリジナル有効成分VEP-M(安定化ビタミンE誘導体)を初めて配合した美容液。VEP-Mはセラミドとヒアルロン酸を生み出し、表皮の柔軟性を高めてシワを改善。
45mL ¥22,000(税込)
男爵:メナードは1959年に名古屋で創業した化粧品メーカーで、創業時からシワ研究を行い、商品の作り込みやブランドの育成に関しても信頼できるメーカーです。
オリジナル成分VEP-M(安定化ビタミンE誘導体)が、シワ改善の有効成分として承認を得て、日本で初めて配合したのが薬用ラインズリセット。
ビタミンEは水に溶けないので、化粧品への配合には高い技術力が求められます。安定化ビタミンE誘導体を完成させたのは、メナードの大きな功績ではないでしょうか。VEP-Mが医薬部外品に承認されたのもうなずけます。
◆特許を取得したハリ付与成分で毛穴レスの肌に
花王
ソフィーナ iP ハリ弾力注入美容液
500種類の美容成分の中から厳選されたハリ付与成分が角層最深部まで浸透。また、「凹凸密着テクノロジー」で毛穴まわりにも密着。ハリ弾力を与え、毛穴を目立ちにくくする。まぶた上のシワやほうれい線にもアプローチ。
40g ¥4,730(税込・編集部調べ)
男爵:SOFINA iPシリーズは、花王の研究・開発の知見がギュッと詰まったスキンケアです。
昨年発表されたハリ弾力注入美容液は「毛穴」がキーワード。
花王はエラスチン線維(真皮の弾力)の研究を長年行っていて、2020年にはハリ付与成分がエラスチン線維形成促進をするということで特許も取得しています。
大手メーカーの魅力は、こういった研究・開発力の高さ。最先端のテクノロジーを試してみたいときにおすすめです。
◆24時間、しわダメージから守るWケア
富士フイルム
アスタリフト ザ セラム リンクルリペア<薬用シワ改善美容液>[医薬部外品]
朝夜それぞれのダメージに着目したWアプローチ。日中笑ったり話したりすることや、夜寝ているときに枕に触れることによって生じる、朝夜それぞれのダメージに着目。朝夜Wのアプローチで24時間*シワ改善ケアを実現。
デイエッセンス(朝用)5g ¥4,290(税込)/ナイトエッセンス(夜用)18g ¥ 4,290(税込)
*朝用、夜用を使用すること
男爵:朝はスティックタイプの美容液でメイク前にひと塗り。UVケアから保湿効果、ツヤ感もプラスします。
夜はマスク級の超濃密クリームを塗るというW使いの美容液です。
こちらもリポソーム技術で、必要な成分を必要な場所へ届ける富士フィルム独自のデリバリーシステムを搭載しています。さらに医薬部外品に承認された「シワ改善有効成分」のナイアシンアミド配合なのも注目です。
ちなみに「美容液は朝と夜、どちらにつけるのがよいのか」という質問を受けることがありますが、肌は夜に再生しますから夜がいいですね。ただし、このアスタリフトの美容液のように朝晩使う設計のものは、そのように使うのが効果的です。
シマコ:それぞれの美容液には、各社の研究成果が詰まっているんですね。男爵のお話を聞いていると、製品を通してメーカーそれぞれのキャラクターというかオリジナリティがよくわかります。なんかコスメと自分の距離が近くなってきた感じで、以前よりコスメ選びが楽しくなってきました!
次回は「しみ、たるみ改善のおすすめ美容液・後編」をお届けします。名品揃いにワクワクすること間違いなし!
取材・文/島田ゆかり イラスト/カケハタリョウ
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